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第19話:【垢バン】ついにYouTube運営(本物)が異世界に降臨!? 「この異世界、規約違反につきサービス停止です」!? 消滅の危機をスパチャで救え!

「……はい、皆さん。緊急生配信です。今日ばかりは、俺も笑ってられません。……見てください、あそこ」


ツヨシが【絶望の自撮り棒】で空を指すと、そこにはいつもの「グッドボタン型太陽」を覆い隠すように、巨大な「グレーのアイコン」と【404 Not Found】の文字が刻まれた暗雲が立ち込めていた。


王都の中央広場。前回、3000万人のリスナーによってピカピカに清掃されたその場所に、突如として現れたのは、黒いスーツに身を包み、タブレットを片手にした「無表情な集団」だった。


「……規約第42条、および次元間著作権法に基づき、当コンテンツの即時停止を宣告します」


リーダー格の男が冷徹に言い放つ。彼の胸元には、誰もが知る世界最大の動画プラットフォームのロゴが輝いていた。


「ちょ、ちょっと待ってください! 運営さんですよね!? なんでわざわざ異世界まで出張してきてるんですか!?」


ツヨシがセグウェイで突っ込むが、男は視線すら合わせない。


「ツヨシ氏。あなたの配信は『現実世界の物理法則を著しく逸脱』しており、ユーザーに過度な誤解を与えています。さらに、この『異世界』と称する空間における全てのグラフィック、キャラクター、魔法エフェクト……これら一切の著作権が不明確です。よって、本チャンネルは『垢バン(アカウント削除)』。そして、この空間自体をプラットフォームからデリートします」


「デリートぉ!? 待て、運営! この世界はデータじゃない、俺たちが生きてる現実なんだぞ!」


魔王が愛用のスーツの襟を正し、六法全書(リスナーが持ってきたやつ)を手に詰め寄る。


「……ふむ。魔王というキャラクターですか。AIによる自動生成の疑いがありますね。削除。……そちらの聖女、過度な露出による性的コンテンツの疑い。削除。……そちらの大天使、宗教的過激表現の疑い。削除」


「ひ、ひどい!! 私、ただの仕事着なのに!!」

「私の存在そのものが規約違反だと!? 神の私がバックアップ扱いか!!」


聖女が泣き崩れ、最高神会長が血圧を上げて激昂する。運営の「非情なコンプライアンス」は、異世界の理不尽な魔力さえも凌駕する「概念的な暴力」だった。


「待てよ……『著作権が不明確』だって言ったな?」


ツヨシがニヤリと笑い、カメラを3000万人のリスナーたちに向けた。


「おい、リスナー諸君! 聞いたか! この世界は『著作権不明』なんだってよ! でもな……この街の橋を作ったのは誰だ? 排水システムを設計したのは? 魔法の肥料を開発したのは誰だ!?」




《リスナーA:俺たちだ! ゼネコン1級土木施工管理技士の俺だ!》



《リスナーB:農水省の俺が監修したんだぞ! 著作権は俺にある!》



《リスナーC:魔王のスーツをコーディネートしたのはアパレル勤務の私よ!》




「そうだ!! この世界は、今や全リスナーが知恵を絞り、汗を流して作り上げた『共有コンテンツ』なんだよ! 運営様、あんたらに消す権利なんて一ミリもねえんだ!!」


ツヨシの叫びに呼応するように、広場を埋め尽くした3000万人のリスナーたちが一斉にスマートフォンを掲げた。


「運営さん、あんたらが信じているのは『規約』かもしれないが、俺たちが信じているのは……『エンタメへの熱量』だ!!」


ツヨシが【虹スパ・ファイナルフォーム】を発動させる。


「全リスナーへ告ぐ! 運営のサーバーが『これ以上は消せない』と悲鳴を上げるほどの、世界最大、史上最高額の『抗議のスパチャ』を叩き込めーーー!! この世界を、金と熱気で買い取るぞ!!」


その瞬間、異世界の空が虹色を通り越し、眩いばかりの「赤色」に染まった。


ピコン! ピコン! ピコン! ピコン!




【¥1,000,000 - 消させねえよ! この世界は俺の居場所だ!】



【¥500,000 - 魔王様のボーナス、俺が払う!】



【¥10,000,000 - 運営、もっと現場(異世界)を見ろ!】




スパチャの滝が、運営の持つタブレットに直撃する。


「な、なんだこの入金額は……!? 秒間、数兆円規模の決済……!? サーバーが、サーバーが耐えきれません!!」


「それだけじゃないぜ! 運営さん、あんたらの足元を見てみな!」


ツヨシが指差すと、運営集団の足元には、異世界住人とリスナーが共同で作成した「3億人分の署名」が刻まれた魔法の羊皮紙が、物理的な圧力を持って彼らを押し返していた。


「この世界は、もうあんたらのプラットフォームの『一部』じゃない。あんたらのプラットフォームが、この世界の『一部』になったんだよ!!」


ツヨシがカメラを極限まで近づけ、全世界に、そして運営に向かって言い放つ。


「この世界を垢バンするなら、あんたらの会社ごと、この3000万人のリスナーに買収させるぞ!? 筆頭株主は……俺だ!!」




《全リスナー:うおおおおおおおお!! ツヨシ最高!! 運営をM&Aだ!!》




あまりの熱気と、物理的な「スパチャの重圧」に耐えかね、運営の男はついに膝をついた。


「……確認しました。……本コンテンツは『あまりにもユーザー貢献度が高く、かつ独自の法的地位を確立している』と判断。規約を……『異世界特別法』として更新します。……垢バンは、撤回します」


空を覆っていたグレーの雲が霧散し、再び「グッドボタン型太陽」が輝きを取り戻した。


「「「「やったあああああああああ!!」」」」


リスナー、魔王、聖女、神。種族を越えた大歓声が王都に響き渡る。


「……ふぅ。マジで危なかった。あいつら、魔法より全然強いんだもんなぁ」


ツヨシは崩れ落ちるようにセグウェイに座り込んだ。


「ツヨシ殿……。貴殿は、我々の存在そのものを『承認』してくれたのだな」


魔王が珍しく神妙な面持ちで、ツヨシの肩に手を置いた。


「……あ、いや、魔王様。それどころじゃないですよ。今回のスパチャ総額……手数料引いても、俺、本気でプラットフォームの親会社を支配できるくらい稼いじゃいました」


「……え?」


「というわけでリスナーの皆さん! 今回の騒動で得た資金を使って……次回、ついにやります!! 『異世界まるごと法人化! 異世界・ツヨシ・ホールディングス設立! 初任給は魔法使い100万G(社会保険完備)!』」




《全リスナー:入社希望!! ホワイト企業きたあああああ!!》




「経営者は俺! 社外取締役は魔王! 秘書は聖女! 株主は君たちだ!! さあ、本当の『内政ビジネス』を始めようぜ!!」

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