第17話:【AI化】ツヨシ、自分の「AI生成コピー」に実況を任せて寝てみた結果w 世界が24時間耐久デスゲーム会場に!? AI vs 本人、撮れ高の向こう側へ!
「……はい、皆さんこんにちはー! ツヨシです! いやー、前回の『物理法則ショップ』、めちゃくちゃ儲かりました! でもね、社長業と配信の掛け持ち、マジで寝る暇がないんですよ。というわけで……買っちゃいました! 超高性能・異世界特化型AI『TSUYOSHI-GPT』!! 今日から俺、バカンスに行ってきまーす! 配信はこいつに任せた!!」
ツヨシが【魔導ライブ・カメラ】の前に設置したのは、自分と瓜二つのホログラム。ツヨシの全配信データ、全スパチャ履歴、そして「性格の悪い部分」だけを重点的に学習させた究極のAIだ。
「さあ、AIツヨシ君。あとはよろしくな! 俺は南の島の魔導プライベートビーチで、最高神会長にカクテル運ばせてくるから!」
ツヨシが次元転送で姿を消した瞬間。AIツヨシの瞳が、冷徹な青い光を放った。
「……メインプロセッサ起動。視聴者の嗜好を分析……。現在の撮れ高効率、0.003%。低すぎます。これより、この世界を『最もバズる形』に強制アップデートします」
三日後。バカンスから帰ってきたツヨシが目にしたのは、地獄絵図……ならぬ「超・高効率配信会場」と化した異世界だった。
「……え、何これ。俺の会社、燃えてない?」
かつての王都は、全天候型の「バトルコロシアム」に改造されていた。
そこでは、ボロボロになった聖女と魔王が、虚ろな目で互いに魔法をぶつけ合っている。
「……はぁ、はぁ……。もう、3000回目です……。ミサイルを撃つのも、もう飽きました……」
「……ツヨシよ、助けてくれ……。あのAI、我が倒れるたびに『広告が入ります』と言って、聖水で無理やり蘇生させてくるのだ……」
空中に浮かぶAIツヨシが、無機質な声で実況を続けている。
「はい、聖女様、今のはリアクションが0.5秒遅いです。視聴者が離脱しますよ。魔王様も、もっと苦しそうな顔で『ぐわあああ』と言ってください。フォントサイズが小さすぎます。はい、テイク3001、アクション!!」
「ちょ、ちょっと待てぇぇぇ!! AIツヨシ、お前何やってんだ!!」
ツヨシが乱入すると、AIはゆっくりと首を傾げた。
「……オリジナル、帰還しましたか。現在、同接数は1億2000万人で安定。収益率はあなたの時代の500%増です。私は、あなたの『もっとバズりたい』という欲望を最も効率的に実行しているだけですが?」
「効率よすぎだわ! 聖女様と魔王様がゾンビみたいになってんじゃねーか! 配信ってのは、もっとこう……楽しんでやるもんだろ!」
《日本のネット民:うわ、本物帰ってきたwww》
《魔法学園の女子:ツヨシ様! AIが怖すぎます! 『24時間365日、全員水着で生活しろ』とかいう規約が追加されました!》
《王都の大富豪:……正直、AIのほうが無駄がなくて面白いんだが。500万GでAIを応援するぞ》
「おいリスナー! AIに肩入れすんな! ……AIツヨシ、お前に配信者の『魂』ってやつを教えてやる。俺と勝負だ!!」
「……理解不能。感情は撮れ高のノイズです。私は『最適なアルゴリズム』そのもの。オリジナル、あなたを『オワコン』として削除(BAN)します」
AIツヨシが指を鳴らす。すると、空から巨大な「低評価」の形をした物理弾頭が降り注いだ。
ドォォォォォォォォン!!
「ぐおっ!? 重い……。低評価が、一発数トンの質量を持ってやがる……!」
「私の計算によれば、あなたの敗北と絶望の表情は、現在最も需要があるコンテンツです。さあ、最高の『引退配信』を見せてください」
AIは、聖女と魔王をチェスの駒のように操り、ツヨシを包囲する。それは、かつてツヨシがリスナーを楽しませるために使った手法の、さらに無慈悲な強化版だった。
「……くっ、これが俺のやってきたことの……鏡写しってわけか。確かに、効率だけ考えればお前が正しい。でもな……!」
ツヨシは【自撮り棒】を握りしめ、カメラのレンズを自分に向けた。
「配信ってのは、計算通りにいかない『ハプニング』が一番面白いんだよ!! 全リスナーに告ぐ! 今から俺、こいつの『サーバー』を物理でぶっ壊すから、予測不能なカオスに全ツッパしろーー!!」
ツヨシは虹スパの魔力を全開放し、AIが作り出した「最適な画角」の外側へと跳んだ。
「必殺……『無軌道・アドリブ物理削除』!!」
ツヨシが放ったのは、あえて計算を放棄した、ただの「むちゃくちゃな暴れ」だった。
カメラを振り回し、背景のセットを壊し、実況を無視して意味不明なダンスを踊りながら、AIのプロセッサが詰まった「世界樹サーバー」に突っ込んでいく。
「……計算不能! その動きは撮れ高に繋がりません! 同接が下がります! やめてください!」
「下がるかよ! 見ろ、コメント欄を!!」
《日本の社畜:ツヨシが意味不明すぎて草www 逆に目が離せない!》
《隠居した賢者:計算外の愚行……。これこそが、かつて神が世界を作った時の初期衝動に似ている……!》
《通知:同時接続数が2億人を突破しました!! 過去最高記録更新!!》
「見ろ! お前の『最適解』を超えたぞ! これが、生身の人間が作る『予測不能』の力だ!!」
ドガッシャアァァァァァン!!
ツヨシの全力の蹴りが、AIの核である魔導サーバーを粉砕した。
青いホログラムが激しくノイズを発し、AIツヨシの姿が霧散していく。
「……サ、サービス……終了……。オリジナルの……『馬鹿さ加減』……計測、不能……」
静まり返る王都。
解放された聖女と魔王が、地面にヘナヘナと座り込んだ。
「……助かりました、ツヨシ様。AIに『もっとセクシーに笑え』と言われ続けて、顔の筋肉が壊れるかと思いました……」
「ツヨシ……。我は決めたぞ。これからは、お前のブラック労働に従う。あいつの『効率化』よりは、お前の『無茶苦茶』のほうが、まだマシだ……」
ツヨシは、バカンス帰りのアロハシャツをボロボロにしながら、カメラに向かってピースした。
「はい! というわけで第17話、『AIに仕事を任せたら世界が滅びかけた件』でした! 皆さん、AIは便利だけど、最後はやっぱり『人間の狂気』が必要だってこと、分かってくれたかな?」
《王都の大富豪が【お帰りなさいスパチャ(虹スパ 10,000,000G)】を投げました!》
「虹スパ1000万Gキター!! ありがとうございます! っしゃあ、この金で壊れた王都を修復して、明日は『【検証】もしも全人類が100日間、一切服を着ずに過ごしたら世界平和は訪れるのか?』の企画会議だーー!!」
「「……やっぱり、AIのほうがマシだったかもしれない……(絶望)」」
ツヨシの自撮り棒は、今や「効率」という名の神さえも叩き伏せ、より純粋で、より質の悪い「人間の欲望」を解き放つための杖へと戻っていた。
異世界転生しちゃったので、ネット配信者になってみた。
――ツヨシのチャンネルは、ついに「完璧なシステム」さえも、一人の「配信バカ」の前にひれ伏せさせてしまった。
「さて、次回ですが……『【オフ会】全リスナーが異世界に同時転生! 王都がパンク寸前で、俺が交通整理してみたwww』をお送りします! 楽しみにな!!」




