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第14話:【神アプデ】魔力が終了してWi-Fiになった件www 魔法使いがルーター持ち歩く時代が来ちゃった!「ログインできない」ってマジ!?

「……はい、皆さんこんにちはー! ツヨシです! いやー、今日の配信はちょっと……様子がおかしいですよ! 見てください、俺の【魔導ライブ・カメラ】。右上にいつも出ている『魔力残量』のゲージが消えて、代わりに……『Wi-Fiアンテナ』と『5G』のアイコンが出てます! 異世界、ついに大型アップデート入りましたーー!!」


ツヨシが興奮気味にカメラを振り回すと、そこには見慣れたはずのファンタジーな街並みが、どこか「デジタル」な質感に書き換わった王都の姿があった。

原因は明らかだ。ツヨシの配信が次元を越え、数億人の熱狂を吸い上げすぎた結果、この世界の基幹エネルギーだった「魔力」がパンク。世界システムが耐えきれず、ツヨシの持ち込んだ「ストリーミング理論」を正規の物理法則として採用インポートしてしまったのである。




《魔法学園の女子:ツヨシ様ーー! 大変です! 杖を振っても火が出ないで『ロード中』のマークが出るようになっちゃいました!》



《辺境のドワーフ:俺の鍛冶場の火力が『パケット制限』で弱くなったんだが!? 誰かギガを分けてくれ!》



《暗黒騎士バラン:……ツヨシ殿、我が魔剣が『最新バージョンへの更新が必要です』と言って抜けない。どうすればいい……?》




「皆さん、落ち着いて! これがこれからの時代のスタンダード、通称『異世界2.0』です! これからは魔力じゃなくて『視聴者の熱量パケット』が全て。魔法を使いたければ、バズるか、俺のチャンネルにサブスク登録するしかないんですよ!」


ツヨシが意気揚々と解説していると、王都の広場に一人の老人が怒鳴り込んできた。

王立魔法アカデミーの学長、通称『アナログの賢者』だ。彼は古めかしい魔導書を掲げ、震える声でツヨシを指差した。


「おのれ、ツヨシ! 貴様、何ということをしてくれたのだ! 数千年の歴史を誇る古代魔法が、貴様のせいで『サービス終了』したというではないか! 魔法とは精神の研鑽、血の滲むような修行の果てに得るもの。それを『ログイン』だの『サブスク』だの……ふざけるなッ! 喰らえ、究極魔法『メテオ』――!!」


老賢者が渾身の力で杖を振る。しかし、空から降ってきたのは巨大な隕石ではなく、巨大な**【接続エラー:404 Not Found】**という半透明のホログラム板だった。


「はい、残念ーー! 学長さん、今の魔法は『旧バージョン』なのでサポート終了サヨナラしてまーす! 今の時代、隕石を落としたいなら、視聴者のアンケートで80%以上の賛成を得るか、俺に『隕石スパチャ』を投げる必要があるんですよ!」


「な……な、何だと……!? 我が人生を捧げた究極魔法が、ただの『エラー』扱いだと……!?」


「時代は変わったんですよ、学長。ほら、見てください。あっちの聖女様なんて、もう完全に対応してますよ?」


ツヨシがカメラを向けると、そこにはかつての「慎ましやかな聖女」の姿はなかった。

彼女は空中浮遊するドローン型のルーターを従え、自撮り棒をマイクのように握りしめていた。


「はい、皆さん! 騎士団の皆さんの傷を治すための『回復ヒール(高画質版)』、現在スパチャ募集中です! あ、虹スパ10万Gキター! ありがとうございます! 爆速5G通信で完全回復、いっくよーー! キュア・ストリーミング!!」


聖女がポーズを決めると、投げ銭のエネルギーが変換され、騎士たちの傷がピカピカの「高解像度エフェクト」と共に一瞬で完治していく。


「……ツヨシ様、これ最高です。昔は祈るだけで疲れましたが、今は『高評価』が増えるほど魔力……じゃなくて帯域が広がって、MPメガ・パケットが無限に湧いてきます!」




《王都の大富豪が【通信環境改善マナ(虹スパ 2,000,000G)】を投げました!》



《大富豪:学長の古臭い魔法より、聖女の4Kヒールのほうが映えるわwww 200万Gだ!》




「キタアアアア! 200万G! っしゃあ! 学長さん、これが『民意アルゴリズム』の力です! 魔法使いもこれからは、ルーターを背負って配信者ストリーマーにならないと生き残れませんよ!」


絶望する老賢者を尻目に、ツヨシは世界の中心にそびえ立つ「世界樹」へとカメラを向けた。

世界樹は今や、巨大な「5G送信アンテナ」へと変貌し、葉の一枚一枚がソーラーパネルのように熱狂を吸収している。


「あ、皆さん。大事なこと忘れてました。この世界の管理権限、アップデートで俺の『株式会社ツヨシ・エンターテインメント』に移譲されたんで。俺がこの世界の『サーバー管理者』です! つまり、俺の悪口を書いたり、低評価を連発する奴は……『世界から垢バン(存在抹消)』できちゃいまーす!」


「「「「ひ、ひえぇぇぇ!! 永久不滅のチャンネル登録しまぁぁぁす!!」」」」


王都中の人々が、一斉にツヨシに向けてスマホ(魔導板)を掲げ、狂ったように高評価を連打し始めた。


「よしよし、いい子たちですね! さあ、新時代の幕開けだ! 今日からの企画は……『【検証】全人類が同時にログインしたら世界サーバーは落ちるのか? 負荷テスト生放送』!! もし落ちたら世界が消滅するかもしれないけど、撮れ高のためなら仕方ないよね! みんな、ログイン準備しろよーー!!」


ツヨシの自撮り棒は、今や一つの世界の「根源」そのものへとアクセスする、最強の管理者ログインキーへと進化を遂げていた。


異世界転生しちゃったので、ネット配信者になってみた。

――ツヨシのチャンネル登録者数は、ついにこの世界の「生存者数」と同義になった。

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