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第12話:【神回】隣の世界の勇者パーティーに凸してみた!魔王戦の演出が地味すぎて勝手に撮り直しwww

「……はい、皆さんこんにちはー! ツヨシです! いやー、前回の嫁オーディションは修羅場すぎて最高でしたね。でもね、俺は気づいちゃったんですよ。この世界の住人、みんな俺に慣れすぎ! 魔王も神様も、俺がカメラ向けても『あ、またか』みたいな顔するんだもん。撮れ高がマンネリ気味なんですよ!」


ツヨシは【魔導ライブ・カメラ】を空に向け、ニヤリと笑った。彼の背後には、次元の歪みを無理やりこじ開けた「虹色の穴」が渦巻いている。


「というわけで、今日はスペシャル企画! 『【潜入】お隣の異世界に勝手に凸して、勇者パーティーの実況解説をしてみた』!! 拍手ーー!! ちなみに今の同接、次元越えの瞬間だけで5000万人突破! 歴史が動く瞬間を、皆さん目に焼き付けてください!」


ツヨシが虹色の穴に飛び込むと、景色が一変した。

そこは、どんよりとした暗雲が立ち込め、荒廃した大地が広がる、見るからに「シリアス度100%」の別世界。

前方では、満身創痍の勇者パーティーが、禍々しいオーラを放つ魔王と対峙していた。


「……ハァ、ハァ……。これで最後だ、魔王! 我が命と引き換えに、聖剣の真なる力を――!」

「ククク……愚かな勇者よ。その命、我が深淵の闇で飲み干してくれるわ!」


まさに物語のクライマックス。勇者が涙を流し、世界中の人々の祈りを背負って最後の一撃を放とうとした、その瞬間。


「ハイ、カーーーーット!! はいそこ、動き止めて! 画角が悪い、画角が!!」


「「……えっ?」」


魔王と勇者の間に、自撮り棒を掲げたツヨシがポップなBGMを鳴らしながら乱入した。


「勇者さん、今の決め台詞! 『我が命と引き換えに』のところでちょっと噛みましたよね? あと、魔王さんも笑い方がテンプレすぎ。もっとこう、視聴者の不安を煽るような、ネットリした感じでお願いしますよ!」




《魔法学園の女子:えええええ!? ツヨシ様、本当に別世界に行っちゃった!》



《辺境のドワーフ:向こうの勇者、マジで困惑してて草。世界観の温度差で風邪引くわwww》



《王都の大富豪が【次元越え応援マナ(虹スパ 5,000,000G)】を投げました!》




「虹スパ500万Gキター!! ありがとうございます! っしゃあ、この資金で演出グレードアップだ! はい、魔王さん、今の暗黒オーラ、地味だからこれ使って!」


ツヨシが指をパチンと鳴らすと、虹スパの魔力が変換され、魔王の背後にド派手なレーザー光線と、「THE END」という巨大なネオンサインが出現した。


「な、何だこれは……!? 我が魔力が……勝手に書き換えられている!? 貴様、何者だ! 聖戦を邪魔するな!」


「邪魔じゃないですよ、プロデュースです! ほら勇者さんも、その錆びた聖剣じゃ映えないでしょ? はい、これに持ち替えて! 虹色に発光して、振るたびに大歓声のSEが流れる『ゲーミング聖剣』です!」


「……えっ、あ、はい……。って、何を受け取らせているんだ私は! 私は今、世界の命運をかけて戦って――」


「世界の命運より、今の『同接』ですよ! ほら、今の困惑顔、最高にバズってます! はい、じゃあテイク2、いきますよ! 勇者さん、もっと熱血な感じで! アクション!!」


ツヨシの「配信ロジック」は、もはやその世界の物理法則さえも上書きし始めていた。

勇者が戸惑いながらもゲーミング聖剣を振るうと、空から数千万人のリスナーのチャット欄が「弾幕」となって降り注ぎ、魔王の防御結界を物理的に粉砕していく。


「ぐわあああ!? なんだこの、文字の羅列による物理攻撃は!? 『魔王乙』『演出助かる』……文字が重い、重すぎる!!」


「あー、魔王さん、今のやられ方いいですよー! でも、最後はもっとこう、爆発四散してキラキラしたエフェクト出してほしいな! 視聴者が『スカッとした』って思えるようにね!」


ツヨシはポップコーンを片手に、魔王と勇者の命がけの死闘を、まるでバラエティ番組の収録のようにディレクションしていく。勇者が聖剣を振るたびに、ツヨシが勝手に「必殺! 爆死確定斬り!」という派手な字幕を空中に挿入し、感動的なBGMを無理やり爆音で流す。




《聖女:……向こうの世界の勇者様が、だんだんツヨシ様の顔色を伺いながら戦い始めてます……。可哀想……》



《隠居した賢者:運命そのものが再生数のために改変されている……。これが次元を越えた『エンタメの暴力』か……》




「はい、フィナーレきたーー!! 勇者さん、最後の一撃! カメラ目線で、キメ顔お願いしますよ! はい、どんっ!!」


ドゴォォォォォォォォォン!!


魔王は、ツヨシが勝手に発注した「100万発の魔法花火」と共に、史上最高に派手で、史上最高にしまらない最期を遂げた。

静まり返る戦場。勇者は、手に持った虹色に光り輝くゲーミング聖剣を見つめ、呆然と立ち尽くしていた。


「……勝った。勝ったはずなのに……。なんだろう、この……全然感動できない、やらされてる感……」


「はい、お疲れ様でしたー!! 今日の生配信、同接は驚異の8000万人を記録! お隣の異世界の魔王討伐、無事成功です! 勇者さん、最後に日本のリスナーに向けて一言どうぞ! 『チャンネル登録よろしくな!』って!」


「……チャンネル、とうろく……よろしく……な……(魂の抜けた声)」


ツヨシは満足げにカメラを次元の裂け目へと向け、自分の世界へと帰還する準備を始めた。


「いやー、やっぱり環境を変えると撮れ高が違いますね! 向こうの魔王さん、リアクションが新鮮で助かりました! さて、次回は……『【検証】もしも最高神が現代日本のコンビニ店員だったら、万引き犯を神罰で裁けるのか?』をお送りします! 楽しみにな!」


ツヨシが次元の穴を閉じた後、その世界には、魔王は消えたものの、空に浮かぶ「高評価ボタン」と、消え残った「虹色の弾幕」だけが永遠に残り続け、伝説の「配信勇者」として語り継がれることになるのだが……それはまた、別の話である。


異世界転生しちゃったので、ネット配信者になってみた。

ツヨシの「物理削除」は、ついに「物語の整合性」という名の壁さえも、粉々に砕き去ってしまった。

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