中幕 辿り着いた第一歩
〜また謎の原理を突き止めようと動く者あり
その動き封じなくてはいけぬ、贄の価値を高めるためにも、、、この事は必ず口外すること赦さず
もし破ればそこへ神からの罰が下るだろう〜
鬼瓦「それは充分あり得るな。俺としての可能性は伊福の言うことが割合としては大きい。やはり親が子どもの目的を知らないのは変だ、そりゃあ大学生ともなると大人になったも同然かもしれない。だがご飯の準備だったりをしなくてはいけなかったりする。それに親は心配するしな。それらをどうやって言いくるめたか説得したのか。明日聞くことがたくさんあるな」
刑部「あぁそうだな。それにすぐに言わないとこの共通点をオレなりに考えてみたんだがな?恐らく俺たちがしている捜査の妨害なんじゃねぇのか?」
鬼瓦「一体何のために…?!」
祓櫛「それはまさか!何者から2人に対して命令したということなのか?」
刑部「御名答!おそらくな。俺の推察だと辻褄が合う」
祓櫛「威嚇の言う通り一体そんなことしてなんになる」
刑部「俺の考えたことを今から話す。まず、2人もしくは被害者の親全員口封じを何者から指図されている。それは何故か、それはこのくがたち村という場所と住民が関係してるのじゃないのかと考えた。そして、被害者5人は一旦自宅に帰って来ているという事実。これは住民たちからすれば、村全体の失態だ。故に帰らなければならない理由を前もって作っておいた、それに5人が引っかかりそして戻った。戻ったところで5人を殺害もしくは監禁している。そのことを伝えられた被害者の家族は、ニュースか新聞かSNSで知ったかはしらねぇが俺たちがその捜査に関して動き始めたことを知り、わざと今になって依頼や相談しにきた。そりゃあ家族は変だと察知した瞬間に警察に届け出をしたかったはず。だが、何かしらで家族に伝え言うことを聞かなければ殺す等の脅しをされ言うがまま命令を嫌々受け入れている。なんなら、俺が威嚇に話した全国の伝承という本に出てくる謎の伝承、これはおそらくくがたち村の伝承なんじゃねぇのか?そしてこの伝承を文中に何回も言及しているこの悪珠先生。村の関係者か村民なんじゃないのか?俺から言わせれば、村というのは村八分や情報を部外に漏れさせないほどの徹底ぶりだ。それが漏れるということはいや、敢えてそうし食いついてきた者を1人残らず、、、といったところが俺の推察だ」
この刑部の推察を聞いた2人は驚きそして開いた口が塞がらなくなっていた。当然だ、無理やりだが一番しっくりくるからだ。2人が心の中や頭の中で何かが引っかかっていた疑問が全て堰を切った水のように一気に解決したような顔をしている。
鬼瓦「なぁるほどなぁ、言われてみれば俺は見落としていたことがいくつもあったようだな。伊福お前の推察は的を射すぎているな笑そうかもしれんがいくつかの通りも自分の頭の中に入れておいて損はないな」
祓櫛「そうだな、伊福の推察だけを是としすぎると他のパターンが想像出来なくなるからな。しかしもしそうだとすると、俺たちの居場所や俺たちのことも村民を使って監視されてるんじゃないのか…!?」
刑部「それも考えたんだが、どうもそう思えねぇ。何故かというと、それならわざわざ被害者を使うという回りくどいことをしないはずだからだ。村八分やえげつない儀式や風習があるのが村という俺の勝手な先入観がある。そんな大胆なことをする奴らがこんな遠回りなことはしないとみた。もししてたら今こう話してないかもしれん。向こうがそれを出来ない何かが起きているかそれともそこまで俺たちを危険分子と判断してないかのどちらかだな」
鬼瓦「そうだな、それは言えてる。さすがにその先入観が村というイメージが定着しすぎるのも良くないが、そういう要素も含まれているのも事実だ。実際、戦時中のときご近所付き合いを更に組織化したのが隣組という仕組みだった。それを歌にしそういったイメージを払拭するため広く歌われ戦後ドリフターズのテーマソングにされそのときのイメージは薄れていったのも事実だ。話を戻すが、村という一種の監視システムを全体に広めそしてより強固にしているのにこういった書籍で紹介されるほど口軽くなく情報も漏れない、ならばこの書籍は悪珠奴人の罠に利用したということか」
祓櫛「信じられねぇが一理ある。実際、その村のシステムを忌み嫌い都会に上京したり地元から離れたいという若者がいたかもしれないしな。俺も祓いでこういった集落に行ったりしたが実際外の部外者といった顔をされたこともあるし歓迎されていないなと思ったことも何度かあった。それに身障者を幽閉したり一族の恥とし生涯外に出さなかったこともあるのも事実だ。その人たちが死に祓ってくれという依頼が何度もあった。伊福!そのまま考えを止めねぇでくれよ?」
刑部「分かってるよ笑というか2人の言ったこと納得いく。俺もここまでじゃないが、村出身だ。やはり皆がいちいち監視し善意な目をして家族のことをやたら聞くことも恐怖だった」
3人は夜も遅くなり家族が心配するとのことで今日はこのくらいでお開きにし、明日続きを話そうと言い帰路に着いた。
鬼瓦「ただいまぁ!」
妻「おかえりなさぁい!」
桜「お父さんおかえりなさい!お疲れ様だね」
鬼瓦「おぉ桜ただいま、まだ起きてたんだな!」
桜「うん、学校の課題もあるし普通にこの時間まで起きてるよ?」
鬼瓦「そうか、あまり無理せず眠たくなったら寝ることだ。体調は大事だからな?」
桜「もうそれ耳にタコ出来るくらい聞いた〜笑」
鬼瓦「当たり前だ〜笑心配するんだから笑」
桜「あそうだ。聞きたいことあったの」
鬼瓦「ん?なんだ」
桜「お父さんさ、5人の神隠しって事件知ってる?」
鬼瓦「んっ!?おほおほ。全くなんだ!?藪から棒に!知ってるけど」
桜「それね学校で有名なの。多分お父さん知らないと思うから言うけど、あれってどこの村か知ってる?」
鬼瓦「いや知らんが、桜知ってるのか?」
桜「うん、漢字で書くと盟神太刀村って書くみたいなの。めっちゃ珍しくない?」
鬼瓦「あ、あぁそうだな。珍しいな」
桜「なんか匂うよね笑」
鬼瓦「なにを刑事みたいに笑ドラマの観すぎだ笑笑」
桜「あ笑笑バレた?笑せっかくカッコつけてたのに〜笑」
鬼瓦「つけなくていい笑まぁそういうのは話をするだけに限るぞ」
桜「そりゃそうだよ、私そんなんに興味ない。じゃあ私は勉強してくるね!おやすみ〜!おやすみ〜お母さん」
鬼瓦「おやすみ〜」
妻「おやすみ〜!」
鬼瓦「なぁ馨」
馨「ん?どしたの」
鬼瓦「実はな、今俺たちが捜査してるのはその5人の神隠しってやつなんだ」
馨「え…!?そうだったの?!」
鬼瓦「俺もびっくりしたよ、まさか桜から名前の詳しいことが聞けるとはな」
馨「あの娘には黙っとくから。あなた被害者の無念を晴らしてあげて」
鬼瓦「あぁ任せろ。こんなことは繰り返してはいけん」
まさか娘から5人の神隠しについて言及されるとは予想だにしなかった。だがそのおかげで、名前の漢字を聞けた。これで後は、被害者が行方不明になった現地盟神太刀村に行くだけだ。果たして、3人は被害者の無念を晴らすことは出来るのか…そして被害者の親2人はちゃんと当日に来、最後まで話してくれるのか…
鬼瓦「じゃあ行ってくるな!」
馨「気を付けてね」
桜「お仕事頑張って来てね!」
鬼瓦は家族の送りを見届け事務所へ足早に向かうのだった。
鬼瓦「おはよう!」
刑部「お〜!速えこってぇ、なんか嬉しいことでもあったかぁ?」
鬼瓦「嬉しいことかは分からんが、発見があったぞ!」
刑部「聞かせてもらおうかと言いたい所だがまだ神楽の野郎が来てねぇ。あいつが来てから聞かせてもらうぜ」
鬼瓦「あぁそうだな、神楽が来ないと何も始まらんな!」
祓櫛「すまんすまん!遅れたか?」
刑部「あぁ遅れてるぜ〜と言いてぇが遅れてねぇ!」
祓櫛「ならよかった。実は驚く情報を手に入れてな!」
刑部「おめぇもか」
祓櫛「おめぇもかってこたぁ」
刑部「あぁ、威嚇も新しい発見があったみてぇんだよ」
祓櫛「そらぁ偶然か!?すごいな!まず威嚇から聞かせてくれ!」
鬼瓦「おう、俺が見つけたというより娘から聞いたことなんだ」
刑部「桜ちゃんか!一体何なんだ」
鬼瓦「くがたち村の漢字なんだが、嘘か真かそれすらも分からねぇが漢字で書くと盟神太刀村と書くみたいなんだ」
祓櫛「ん?これは」
刑部「なっ、これでくがたちと読むのかぁ?!ホントかぁ!!信じられねぇなぁ、確かに日本には難読の地名や言葉は存在するがこれでくがたちと読むのかぁ?!本当にぃ」
祓櫛「これはそう読むぞ」
刑部「なんでそう思う?」
祓櫛「俺の家系は歴代祓い師でもあり宮司を務めてきた。ガキの頃から親や祖父母から教わったり聞いてきた。その中に古来の日本で実際行われたと言われている盟神探湯という儀式というのかなんというのかそういうのがあったみたいだ」
鬼瓦「やはりさすが宮司だな!俺も真っ先にそれが頭に浮かんだんだ」
刑部「盟神探湯…?なんだそりゃあ」
祓櫛「盟神探湯というのは、古来の日本で加害者かそうでないかを決めるのに難儀した場合この方法で決めたと言われているものだ。まず煮えたぎった所へ手を入れ、火傷しなければそれは無実そして手に火傷するとその人が有罪であるというなんとも倫理に欠けた判断方法だが本当に日本であったものだ。それが裁判の由来とか言われてる。まさかそれをしてるわけじゃ…」
刑部「いや分からねぇぞ、してる可能性は無きにしもあらずだ。それに他の方法をしてるかもしれんしな」
鬼瓦「それはあり得る。まさかここに来て、本当にヤバイ村とはな。正直まだ半信半疑だ」
祓櫛「そりゃそうだ。なんてったって、今の日本でそれをすると法に引っかかるし大問題になるからなぁ」
刑部「それが今の時代でも罷り通ってしまってるってことかぁ。ふざけてやがる、罪もない人間を村の奴らの匙加減で判断し殺すか監禁してるかもしれんと考えると胸糞悪ぃし腸が煮えくり返そうだ」
祓櫛「それにもっとヤバイと思うのは、そういう古来の方法を当て字にして村名にするということだ。普通だったら、そんな方法を自分たちの村名にするかぁ?」
鬼瓦「しかしこの字はまだ憶測の域から越えん。確証になる物や場所などを見つけない限りな」
刑部「まぁな、俺たちなら見つけられる」
祓櫛「あぁ!そうともさ」
鬼瓦「よしその意気だっ!」
すると複数の訪問客が来た。それは3人が予想だにしない人物たちだったのだ…
夜咲「おはようございます。後日と言って翌日来て大丈夫だったでしょうか…?」
刑部「はい、ご心配なさられなくても大丈夫ですよ」
夜咲「皆さん、だそうです」
文月「どうも」
新緑「お久しぶりです、祓櫛さん」
鬼瓦・刑部・祓櫛「?!?!」
祓櫛「あ、ど、どうも新緑さんお久しぶりです」
刑部「中へお入りになっておかけになってください」
夜咲・文月・新緑「ありがとうございます」
鬼瓦「今日は正直驚いています。まさか御三方が共に来られるなどとは思いもよりませんでした。これを聞くのは野暮というものですが、御三方は今日会うのが初めてなんですか?」
夜咲・文月・新緑「………」
鬼瓦「あ、もしかして失礼なことをお聞きしましたか…?!もし左様であればお詫びします」
夜咲「いえ、その必要はありません。お気になさらないで下さい」
刑部「では御三方は以前にも会ったことがあるんですね?」
夜咲・文月・新緑「………」
何故かいっこうに認めようともせず否定しようともせず、ただ黙りこんだまま。それには一体何の意図があってそのようなことをしているのか…
夜咲「…もうここまできたので、正直に言います」
文月・新緑「?!?!?」
新緑「ダメですよ…」
文月「そ、そうです…新緑さんの言う通りです。私たちがここまでしてきたことが水の泡に帰すかもしれないんですよ…?」
夜咲「そ、それはそうですけど…私は嘘をずっと通すなんて出来ない!!そんなことして、本当に…」
新緑「なに言ってるんですか!そんな綺麗事今更言っちゃいけないですよ。私たちだって貴女と同じ気持ちでずっと過ごしてきたんだ」
文月「そう言いますけど、なら何故新緑さんは祓櫛さんのところに行かれたんですか…?」
新緑「!?そ、それは」
文月「僕も人のこと言えません。ですが、ここに来ている僕たちは同じ気持ちであることに変わりはないはずです。子どもたちに対する思いは、子どもが大きくなればなるほど強く大きく深くなるのが親なんですから。それにこの方々なら、そう安々と口にしないでしょうし」
新緑「まぁそうではありますけど…」
夜咲「では皆さん…お伝えして良いということでよろしいですね?」
文月・新緑「構いません」
夜咲「申し訳ありません。今から事の始終を全てお話させて頂きます。まず謝らなければならないことがあります」
刑部「それは?」
夜咲「子どもに関する依頼なのに、翌日と言ってすぐに依頼しなかったことです。ここへ来て打ち明けたのだからすぐに依頼するものと思いますよね…私たちも出来ることならそうしたかった。でも出来なかったんです」
鬼瓦「やはり心苦しかったということですか?それとも別の理由が?」
文月「別の理由です。僕たちは口封じされていたんです」
刑部「それは一体誰から?」
新緑「その人物は、赤舘顰と名乗る人物です。この人は、行方不明の赤舘千賀くんのお祖父様らしく私たちに接近といいますか手紙が届いたんです。おそらく女藤くんのご家族にも届いているはずです。その手紙がこれです」
鬼瓦「拝見させて頂いても宜しいですか?」
新緑「構いません」
刑部「拝見する前に2つ御三方にお聞きしたいことがあります。よろしいですか?」
新緑「あ、はい。構いません」
文月「もちろんです」
夜咲「はい」
刑部「こんな重要な物を何故警察にではなく私たちに?不可解ですよねぇ、3年もの間口封じをされていたとしても今こうして行動に移されている。ならば、その足で3人で京都の最寄りにある警察署に行くはずです。あそこがこの捜査をしている所ですから、何故私たち探偵事務所に?それと何故ここが探偵事務所であることがお2人はお分かりになっていたんですか?」
鬼瓦「おい、さすがに」
夜咲「構いません、私たちはお2人に嘘を付いていたのですからお話させて頂きます。まず、警察に行けば情報を公開若しくは報道関係に流れる恐れがあり私たちが言ったことが赤舘さんに知らされるのは時間の問題だと考えたからです。それと、ここが探偵事務所だと知ったのはやはり知名度によるものです。1つ目の質問に関してはこの手紙にも行かなかった理由が書かれています。お読み頂ければ分かるかと」
刑部「なるほど分かりました。では拝見させて頂きます」
そこに書かれていた手紙は3人が驚愕する内容だった。
手紙全文「初めてがこのような手紙であることを先にお詫び致します。私は赤舘千賀の祖父赤舘顰と申します。私も孫が行方不明になり心が苦しく寂しい思いでした。おそらく皆様も同じであることと存じます。心中お察し致します。では本日手紙をお送りさせて頂きました理由は単刀直入に申しますと、行方不明の5人は盟神太刀村にある十千国に生け贄として確保している。孫含め5人の安否は心配しなくてもよろしいですが今から言うことを守って頂けなければ命は無いものと思って頂きたい。一、この手紙を他人に見せるべからず一、この内容を言うべからず一、警察等に持って行けばすぐ分かるため贄が生きる確率はない。以下のことを遵守すれば良い。ではこれらを守りつつ行なってもらうことがある。そうすれば生け贄は解放するだろう。それは、捜査の撹乱や妨害をする。またこの行方不明事件を警察とは別の組織が動こうとした場合も含める。これらの2つを厳守すれば望みはあるだろう。吉報のみ待つ。赤舘顰」
鬼瓦「なんだこれは…」
刑部「まさか身内の犯行だったとはなぁ…」
祓櫛「一体なにが本心でなにが作られた気持ちなのかよく分からんなぁ…気味が悪い」
夜咲「私のところにも同じ内容の手紙が届きました。ものすごくショックを受けましたし、同時に反応が分からなかったです…まさか仲良くしていた子のお祖父様が事件の首謀者だったなんて…しかも命はないとも書かれていましたので、娘を助けたかったので書かれている通りに動いていました…」
文月「僕もこれが送られてきたときは半信半疑でした。そのとき新緑さんがちょうど連絡をして下さって」
新緑「こういう物を送られてきたときは、私と同じ被害者の家にも届いているはずだと思い連絡したんです。そして3人と会って本当に事実だったことを知ったんです」
刑部「話を遮ってしまって申し訳ないのですが、1つ疑問に思っていたことがあるんですが」
新緑「なんでしょうか?私たちが知っていることであればなんでも話します」
刑部「では。女藤さんのご家族にも連絡を差し上げたんですよね?」
夜咲「はい」
刑部「何故女藤さんのご家族はなにも情報がないんでしょうか?」
文月「つまり」
刑部「そうです。少し妙ですよね、本来であればここにいない被害者の家族の方が何を仰っているのか皆様の誰かが言って下さると思うのですがいっこうに女藤さんのご家族のことを言わないので疑問に思ったんです」
新緑「…なるほど」
夜咲「そりゃあ疑問に思いますよね」
文月「まぁそうですよね…」
鬼瓦「なにか知っていることがあるんですか?」
新緑「私がお話致します。女藤くんの家族の方はまだ連絡がついていないんです」
鬼瓦「そうなのですか?」
夜咲「はい。私も電話をしたんですが、繋がるには繋がるんですが不在着信になって連絡がつかないんです」
刑部「なにか事件に巻き込まれているという可能性はありませんか?」
新緑「いやぁ、前のご両親の特徴で言えば巻き込まれるような方々ではないと思うんです」
祓櫛「俺からも1つ質問いいですか?」
新緑「はい」
祓櫛「女藤さんと他の被害者の方とは幼稚園からの幼馴染とお聞きしていますがそうなのですよね?」
夜咲「はい、そうです」
祓櫛「女藤さんのお家にお子さんが行かれたことありますか?」
夜咲「あ〜、何回かお邪魔してると思います」
新緑「そうですね、何回か行ってると思います」
文月「僕は恥ずかしながら再婚でございまして、妻から聞いていないんですがおそらく行ってると思います。今まで交流しているのを見れば分かります」
鬼瓦と刑部そして祓櫛の3人は心の中でやはりと確信した。蓮川文月が来訪したときより年齢と子どもの年齢が合わなかったからだ。若くして親になる者も少なくないが、それにしては妻の年齢と夫の年齢が妙に合わないからだ。しかしだからといって、子どもに対する気持ちは本当の父親でなくてもその情は深いのだろうと3人は文月を見ながらそう感じた。それほどしっかり自分の子どものように接し関係を深めてきた結果であろう。
刑部「それと何の関係がある?なんか理由がありそうだなぁ」
祓櫛「あぁ関係ある。では、女藤さんの家に皆様は行かれたことありますか?」
夜咲「はいあります」
新緑「はい私も」
文月「僕も結婚したとき、わざわざ女藤くんのお家で皆でお祝いしてくれたんです」
祓櫛「今聞いた中では、文月さんのお話が1番新しいとみました。大体で構いません、女藤さんの家になにか気になる物置いてませんでしたか?」
夜咲「ん〜ありましたかねぇ」
新緑「そういわれると〜なにかあったかなぁ」
文月「急ですね笑なんかあったかなぁ」
祓櫛「なんでも構いません。少しでも気になる物があれば言ってほしいです」
夜咲「そういえば、リビングに神棚あったと思います。でもそれは宗教のことだから、私もそんなこと聞けませんでしたけどある時奥様から言ってくれたことがありました」
文月「言われてみればありましたね!」
新緑「私も覚えてます。確かリビングと庭に置いてましたよね」
夜咲「あ、そうだったんですか?!私は庭にあったの知らないんですけど、奥様が旦那の家系が代々神職なのでこうやって居間に祀っているんですって言ってました」
祓櫛「やはりそうでしたか、実は女藤さんのお祖父様と私の祖父は交流がありましてもしかしたらそうなのではないかと思ってたんです」
刑部「なんでそんな重要な情報を今まで黙ってたんだぁ?」
祓櫛「まさかあの女藤さんだと思わねぇだろぉ!それに、女藤さんとはもう長いこと会ってないんだぞ。忘れてしまうだろがぁ」
鬼瓦「てことは、女藤翔真さんも神職を継ぐつもりだったってことですか?」
夜咲「いや、確かお祖父様の代で絶えるだろうって言ってました。女藤くんのお父さんは神職を継がなかったそうですから」
鬼瓦「なるほど、では女藤さん自身も神職であったということは知っていないかもしれないってことですね?」
夜咲「おそらくそうだと思います。女藤くんは、どちらかというとスポーツが大好きな子でしたから」
祓櫛「女藤さんのご家族はどこに住まわれているかご存知ですか?」
刑部「おいおい、俺の仕事を取るんじゃねぇよぉ!テメェはなむなむ言ってたらいいだけなんだぁ」
祓櫛「なむなむとは聞き捨てなんねぇなぁ!オメェだって足跡ばっか探してるじゃねぇか、今の奥さんもそうやって探偵の悪い癖がついつい出ちまったんじゃねぇかぁ?笑」
刑部「貴様ぁ万死に値する」
祓櫛「望むところぉ!」
鬼瓦「おい2人とも、帰りたいか?」
刑部「すまねぇ、ついついアガっちまった」
祓櫛「そう怒んな、な?俺たちはこの通り、ほら!仲直りしたからよ」
刑部「そ、そうだ笑皆さんもご迷惑おかけしてすみません」
夜咲「い、いえ私たちは」
新緑「え、えぇ笑」
文月「喧嘩するほど仲が良いと言いますから笑」
鬼瓦「御三方に気を遣わせて!全く」
祓櫛「気を取り直して笑今女藤さんのご家族はどこに住まわれているかご存知ですか?」
夜咲「あ〜、言われてみればぁ」
文月「僕が結婚したとき車で向かったんですけど、確か滋賀県だった気がします」
刑部「滋賀県のどこかお分かりになりますか?」
文月「えっとぉ確か〜どこだったかなぁ」
新緑「俺は嫁の車で行ったんですけどそのとき寝てましたから笑分からないですねぇ笑」
夜咲「あれでしたよね、由緒ある所でしたよね?その市の名前を聞けば歴史好きなら誰でも知ってるっていう」
鬼瓦「滋賀県で有名とすれば、野洲や安土、甲賀に信楽や朽木、坂本と佐和山」
夜咲「ん〜、どれも違うと思います」
鬼瓦「そうですかぁ、では小谷や国友、長浜や世界遺産で有名な比叡山延暦寺がありますねぇ」
文月「あ!!今のやつですよ!」
鬼瓦「ん?どれですか?延暦寺ですか?」
文月「いやそっちじゃなくて、確か長浜ですよ!お城がありましたよね?」
鬼瓦「滋賀県にはお城はいくつかあります。そのなかで文月さんが調べたときお城として出てきたのはおそらく安土城ではありませんか?」
文月「そうだったかなぁ」
鬼瓦「ちなみに、長浜は豊臣秀吉が初めて城持ちとして与えられた場所で有名なんです。長浜という名前も秀吉が付けたと云われてますね」
文月「そうだったんですかぁ!」
刑部「どんどん道が逸れていっちゃいねぇかぁ?今歴史の授業だったかぁ?」
鬼瓦「おぉ笑うっかり脱線しそうだった笑ありがとな笑」
刑部「人の事言えねぇぞ?笑」
鬼瓦「すまんすまん笑」
夜咲「あ、文月さんそれおそらく違うかと」
文月「え?」
夜咲「今思い出したんですけど、周りにお城なかったと思います。多分文月さんが仰っているのは道中なのではと」
鬼瓦「それは長浜に行く道中ですか?それとも別ですか?」
夜咲「別です。確か元々そこは村であったけど村独自の掟であったりを村人たちだけで作りそして繁栄していた所だったと思います」
鬼瓦「もしかしてそれは世界遺産にも登録されている場所では?そのシステムを惣村と呼称されているのですが、滋賀県に2カ所あるんですよ。今津と呼ばれる所と菅浦と呼ばれる所です」
夜咲「そうそう!!確か菅浦ですよ!!」
鬼瓦「本当ですか!?もしそうであったなら、私すごく興奮しますよぉ笑今でも抑えるのに必死なのに笑」
刑部「おいおい笑俺たち以上じゃねぇかぁ?全くよぉ笑シャーロック・ホームズの名が泣くぜぇ笑ワトソンとしては情けねぇよぉ笑」
鬼瓦「おい!笑それは言わねぇ約束だったんじゃねぇのかぁ?笑しかも認めてやがる笑案外そういうの気に入ってたりしてなぁ笑」
刑部「ふざけんじゃねぇぞぉ笑いくら冗談で言ったからって認めたわけねぇし、気に入ってねぇよぉ!」
鬼瓦「さすがに脱線しすぎたか笑話を戻しますが、女藤さんのご家族は滋賀県の菅浦にお住まいなされているということで合ってますか?」
夜咲「はい、引っ越ししてなかったら今でも住んでいると思います」
刑部「ありがとうございます。他になにか覚えていることがあればなんでも構いません。なにかありませんか?」
新緑「これは証言というより、疑問なんですがそれでも構いませんか?」
刑部「構いませんよ」
新緑「何故このようなことをする必要があったんでしょうか。その目的は本人に聞かないと分からないことですが、やはりどうしても疑問なんです。今はもう昔と違ってちょっとしたことやなにも考えないで発言したことが取り上げられ問題に発展する時代ですよね。なのにこんなこと今の時代でも存在していることが本当に驚いてるんです」
鬼瓦「本当にその通りです。このようなことが二度と起きてはいけない、起こしてはいけないと私共はその一心で何事にも真摯に取り組んでいるんです」
文月「そういった方がまだこの時代におられるからこそまだ保てているのかもしれないですね」
夜咲「申し訳ありません、そろそろ家に帰らないといけない時間なのですけど大丈夫でしょうか?」
刑部「はい、今日は有難う御座いました。皆さんが決心して行動に移して頂いてくれたからこそ私たちは貴重な証言を聞けたんです。ではこの度は有難う御座いました」
そしてこの日は、多くのことを聞けそして女藤さんのご家族が住んでいる所も聞けた。後は行くだけだ。果たして家族はまだその場所に住んでいるのか、はたまた住んでいたとしても会ってくれるのか、、、次の日鬼瓦と刑部そして祓櫛は早速女藤さんの家に行くことを決め朝早くから準備していた。
鬼瓦「改めてみんなすまんな!こんな朝早くに」
刑部「いや俺は大丈夫だ。だが会う前なのに緊張するなぁ」
祓櫛「そうだな、それに会ってくれる保証もない。無駄骨を折るようなことにならなかったらいいが」
鬼瓦「おい神楽、それはなんでも言ってはいけないぞ。まだ傷心しているかもしれないんだ」
祓櫛「あぁそうだな」
鬼瓦「さっ、高速に入る。滋賀に着くまで時間がある。中間のサービスエリアで運転手交代だからな?」
刑部「わぁった!中間っつうことは京都かぁ」
鬼瓦「あぁ、そうだ」
祓櫛「高速から見えっかなぁ〜くがたち村?だっけか笑」
刑部「けっ、もし見えたら今から行く目的が無駄になんだろうがぁ」
祓櫛「まぁ笑そらそうだわな笑」
鬼瓦「分からんぞぉ?もしかすれば見えるかもなぁ」
刑部「おいおいやめてくれよぉ、よしてくれよぉ、やめてよして触らないで子ども出来ちゃう〜ってか?」
祓櫛「また懐かしいネタを笑笑」
鬼瓦「今そんなことTVで発言したら問題発言として炎上するぞぉ?笑」
刑部「そうだなぁ笑ありゃああの時代だったから言えたことだもんなぁ笑さすが志村けんと石野陽子の夫婦コントだぜぇ笑」
祓櫛「なぁ、そういえば今はもうどこら辺なんだ?なんかもう田舎が見えるぞぉ」
鬼瓦「ん?多分京都に入ったんじゃねぇかな〜」
刑部「あの濃い緑色は茶畑か?稲とはまた違う感じがするもんなぁ」
鬼瓦「あのな、俺は今運転してんだ。あ〜だこ〜だ言って俺に聞いてるが見れねぇから無理なんだよ!ったくそれを分かってわざと言ってんだろぉ?」
刑部「そうだったそうだった笑わりぃわりぃ笑ついつい笑」
祓櫛「まぁそうカッカすんなって〜笑俺たちのために運転してくれてるのは分かってんだからぁ笑感謝してるって笑」
鬼瓦「中間のサービスエリアでお前たち2人ずつ何か奢らすからな」
刑部「激怒されるよりはマシだな」
鬼瓦「なんか言ったか?」
刑部「いえなにも」
祓櫛「シッシッシ笑言われてやんの笑」
鬼瓦「さぁここへ降りたいやつはいるかぁ??」
祓櫛「すんません」
鬼瓦「全く、小学生じゃねぇんだから頼むぞ?まるで悪ガキどもを引率してる先生みてぇだぁ」
そうこう話してるうちに中間のサービスエリアに到着した。そして刑部が運転手交代し鬼瓦は刑部に家族へのお菓子を買ってもらい、祓櫛には京都名物のお茶を1番高い物を買ってもらった。そして中間のサービスエリアを離れてから刑部があることに気付く。
刑部「おい2人ともあれ見てみろ」
鬼瓦「ん?どしたぁ」
祓櫛「よそ見は禁物だぞぉ」
刑部「いいから、あれ見てみろ!」
鬼瓦・祓櫛「ん?あれは〜」
刑部「田舎だがただの田舎じゃなさそうだなぁ。俺は元田舎者だからな、普通の田舎かそうじゃないかどうかの見分けは付く。威嚇、ここは今どこかナビで見てみてくれ」
鬼瓦「おぉ任せろ」
ピッ、ピッ(ナビの操作音)
鬼瓦「出たぞ、今の場所は大山崎町ってとこだ」
刑部「大山崎町?分かんねぇなぁ」
祓櫛「どおりで合点がいったよ」
鬼瓦「もしかして神楽もか?」
刑部「ん〜?2人は知ってるのか?大山崎町」
鬼瓦「知ってるもなにも、ここはかの山崎の戦いがあった場所だ」
刑部「お、それは聞いたことがあるぞぉ。確か本能寺の変で織田信長を討った明智光秀が味方を増やすために工作を色々してる最中、羽柴秀吉後の豊臣秀吉が中国地方の備中高松城を水攻めしていたが毛利側と講和しすぐさま引き返した、それが通称”中国大返し”と呼ばれている。そしてそのとき準備を万全にしていなかった明智光秀は予想より早く引き返して戻ってきた羽柴秀吉と戦い負けたのが山崎の戦い。その際ある要所を取れば勝ったも同然といわれ今では受験生に先生や塾講師が得意げに言う言葉の語源になった。それは天王山を制した者がこの戦いの勝者だと。そして京都の小栗栖村にて逃亡中落ち武者狩りに遭い殺されたとされているな」
鬼瓦「よく知ってるじゃないか〜!」
刑部「まぁな、この出来事だけはくまなく調べたんだからなぁ!いっぱい知ってるぞぉ」
鬼瓦「さすがだ!だがここがそうだとはなぁ」
祓櫛「俺は中間のサービスエリアに到着してからそれを感じてたんだ。やはりそうだったんだな」
刑部「やっぱり他とは全然違うのかぁ?」
祓櫛「全然ってどころじゃないな、はっきりと分かる。ここはドロドロとした出来事やそれこそ戦いで亡くなった兵士も供養されてはいるかもしれないが念はそこに残るからなぁ」
鬼瓦「そのドロドロとした出来事ってなんだ?」
祓櫛「そこまでは分からん。だが唯一判るのは、山崎の戦いの舞台がここでというだけの理由じゃないってことだ。特に、俺が見ている先はここよりどんよりとして陰湿だ。まるで大昔処刑場だったんじゃねぇかってくらいな」
鬼瓦「なるほどなぁ」
刑部「俺からしたことだがこの話はこれくらいで終わりだ!」
祓櫛「なんだなんだぁ?笑怖くなっちまったのかなぁ〜伊福笑」
刑部「おめぇここに降ろすぞぉ」
祓櫛「わりぃわりぃ笑冗談が過ぎた」
刑部「ったく、お前ら2人はそういうとこ全然変わってねぇなぁ」
鬼瓦「そのままそっくり伊福に返す笑」
祓櫛「確かに笑」
刑部「けっ、悪かったな。さてさてそんなこんな話してるともう滋賀に近えとこまで来たぞぉ」
鬼瓦「琵琶湖見えるかもなぁ!」
祓櫛「そういえば滋賀に来てもこっち方面に行く用事なかったからよく知らなかったぁ、威嚇教えてくれよ!」
鬼瓦「お、いいぞぉ!」
刑部「まぁた話が長くなるぞぉ?よしてくれぇ笑いらんこと言うんじゃねぇよぉ!」
祓櫛「別に聞いてもいいだろぉ!伊福は聞かなくていいじゃねぇか」
鬼瓦「おいおい笑3人で旅行に来てるんじゃねぇんだぁ、頼むから喧嘩しねぇでくれ笑」
刑部「すまん笑笑話は変わるが、これでもし今向かってる村が赤舘千賀さんの村みたいに普通じゃなかったらどうする?」
鬼瓦「やはり考えてたか」
刑部「やはりってことは威嚇も予想はしてたんだな」
祓櫛「まぁそのときはそのときと言いたいが、そんなんが通用しねぇからな〜」
刑部「その通りだ、俺も最初はヤバくないと思ってたがそんなわけないよな」
鬼瓦「対抗したいのは山々だが、人数が次から次へと出てこられてはこちらも不利だ。やはり偵察のように慎重に事を進めなくてはな」
祓櫛「あぁそうだろうな、なんてたって俺たちはその村からすれば部外者だ。そうなっても仕方ねぇがタダでは死なねんな」
鬼瓦「死なさせはせんし死にもさせん、俺たちは3人で1人だ。三人よれば文殊の知恵と言うだろぉ?なにかあったときは3人で助け合えばいい!だから安心しろ」
祓櫛「かっけぇこと言うぜぇ笑さすが威嚇!まっ三本の矢の教えに近ぇな。なら俺たちは鬼瓦両川となって支えるしかねぇな!笑俺が小早川で伊福が吉川だな笑」
刑部「けっ、勝手にすんなっての笑まぁ間違いはないな笑」
鬼瓦「これは心強いなぁ笑なら俺は毛利元就となり謀神と謳われるほどの知謀を披露しねぇとな笑笑」
刑部「カッコつけんなって笑」
祓櫛「あとどんくらいだ〜?」
鬼瓦「あと少しだ!もう少しで着くぞ」
刑部小声「ん?」(バックミラーに目線を少し落とす)
そしてようやく菅浦に到着し、目の前には琵琶湖が眺められ長閑な景色が広がる。果たして女藤の両親に会え話を聞き出すことは出来るのか、、、3人の後をつける謎の人物は味方か…若しくは…
〜中幕『辿り着いた第一歩』終読〜




