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第50話:ライルの決死深夜逃亡作戦!? フルプレートアーマーの夜間警備網(絶対防衛要塞)に阻まれた件

ついに記念すべき第50話を迎えることができました!これもひとえに、いつも温かく(そしてハラハラしながら)見守ってくださる読者の皆様のおかげです!本当にありがとうございます!

さて、前回の第49話では、パパとママ、そしてシルヴィアの三人が「真・桃園の誓い(神聖三位一体の誓い)」を交わし、勝手に結婚式のスケジュールが決定するという地獄の結納会議をお届けしました! そして迎えた第50話は、追い詰められたライルが敢行する「決死の深夜逃亡作戦」! 果たしてライルは無事に実家から脱出できるのか、それともシルヴィアの愛の包囲網に沈むのか!?

それでは、記念すべき第50話のスタートです!

「……よし、みんな寝静まったな」

深夜二時。ヴェルナー伯爵家の暗い廊下に、ライル・フォン・ヴェルナーの忍び足の足音が小さく響いた。

リビングでの「真・桃園の誓い」と、それに続くウエディングドレスの採寸決定という恐怖の宣告から数時間。ライルはベッドの上で一睡もできず、真剣に今後の人生(というか生存確率)について考え抜いた結果、一つの結論に至っていた。

――このままここにいたら、俺は自分の意志とは無関係に帝国皇帝に即位し、そのままフルプレートアーマーの花嫁と結婚させられる。逃げるなら、今しかない……ッ!!

ライルは必要最低限の着替えと全財産の入った小さな革袋を背負い、音を立てないように慎重に階段を降りていた。床板のきしむ音を聞き分ける神経は、極限まで研ぎ澄まされている。

父さんは「明日の結納の算段」の夢でも見ているのか、自室から微かにいびきが聞こえている。母さんの部屋も静まり返っている。今ならいける。勝負は裏口からの脱出だ。

ライルはそっと勝手口のドアノブに手をかけた。ガチャリ、と鍵を開ける音もほとんど立てずに、彼は夜の冷たい外気を吸い込んだ。

「やった……! 脱出成功だ……!!」

月明かりに照らされたヴェルナー家の庭。ここまで来れば、あとは近くの森を抜けて街道に出るだけだ。ライルは胸を撫で下ろし、勢いよく庭の敷居を踏み出した――その瞬間だった。

ピカァァァァァッ!!!!

「なっ……!?」

突如として、夜空の彼方から――あるいは庭のあちこちに巧妙に隠されていた魔導ランタンの光が一斉に起動し、ライルの全身を容赦なく照り抜いた。それはもはや夜間警備の域を超えた、軍事基地の索敵サーチライトそのものだった。

ジャキンッ――!!

さらに、庭の草むらや塀の上から、重厚な金属音が響き渡る。

「夜間パトロール、お疲れ様ですわ我が君!」

澄んだ、しかし凛々しすぎる声とともに、闇夜を切り裂いて舞い降りた影があった。フルプレートアーマーを完璧に纏ったシルヴィアである。彼女は夜闇の中でも一分の隙もなく、神銀ミスリルの大剣を背負ったまま、ライルの目の前に着地した。

「な、なんでお前がここにいるんだよ……!! まだ深夜の二時だぞ!?」

ライルが青ざめて叫ぶと、シルヴィアは真面目な顔で胸を張った。

「何を仰いますか! 暗黒帝国の皇帝陛下が、夜陰に乗じて単独で『前線の視察(あるいは極秘の夜間散策)』に出られるかもしれないと予測し、この私が夜を徹してヴェルナー家周辺の完全包囲防衛網を敷いていたのですわ!」

「防衛網ってなんだよ!! ここは俺の実家の庭だぞ! 地雷原みたいなトラップを仕掛けるな!!」

実際、ライルが踏み出した一歩の先には、踏むと一瞬で体がひっくり返る落とし穴や、微量の麻痺魔法を帯びた結界ロープが張り巡らされており、一歩間違っていれば盛大に爆散していた。

「不審者や反乱軍の侵入を完璧に防ぐためです! ……ですが、まさか我が君ご自身が、その防衛網の突破テストを自ら率先して行われるとは……さすがは冷徹にして全知全能の皇帝陛下、部下の警備体制を身をもって試されるとは恐れ入ります!」

「テストじゃねぇよ! 俺は本気でここから逃げ出そうとしてたんだよ!!」

ライルが絶叫しながら後ろに飛び退こうとした瞬間、シルヴィアは風よりも速い身のこなしで間合いを詰めた。

「逃げる……? いえ、陛下がお疲れで夜風にあたりたかっただけですわね。夜更かしはお体に障ります。さあ、温かいお部屋にお戻りになりましょう!」

シルヴィアは抵抗する暇すら与えず、一瞬でライルの体を軽々と抱え上げた。いわゆる、完璧すぎる「お姫様抱っこ」である。ただし相手はフルプレートアーマーなので、抱き心地は鉄の塊のように硬い。

「おろせ! おろしてくれシルヴィア! 俺を部屋に戻すな、俺は自由になりたいんだぁぁぁっ!!」

「暴れては危ないですわ、我が君! さあ、明日は盛大な結納の儀が控えておりますので、今夜はしっかりと睡眠をとっていただきます!」

シルヴィアは重装甲のまま一跳びで二階の窓を突き破り(※開け方が分からなかったので実力行使)、ライルを丁寧にベッドの上へと寝かしつけた。

ベッドの上に転がされたライルは、天井を見上げながら、遠い目をして力なく呟いた。

「もうだめだ……この絶対防衛要塞から抜け出す方法なんてない……俺の青春は、こうして暗黒帝国と結婚式に飲み込まれて消えていくんだ……」

窓辺で直立不動のまま「夜間警備続行します!」と敬礼するシルヴィアの背中を見ながら、ライルは静かに白目を剥き、深い絶望の眠り(気絶)へと落ちていくのだった――。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

記念すべき第50話、「ライルの決死深夜逃亡作戦!? フルプレートアーマーの夜間警備網(絶対防衛要塞)に阻まれた件」いかがでしたでしょうか!

実家からの決死の夜逃げを試みたライルでしたが、シルヴィアの敷いた「ガチすぎる夜間警備網(絶対防衛要塞)」によって完璧に阻止され、お姫様抱っこでベッド送りにされてしまうという絶望の逃亡劇をお届けしました! 鉄の塊に抱えられて連れ戻されるライルの哀愁を感じていただけたなら幸いです。

無事に(?)第50話を突破した本作、次なる第51話ではいよいよ「結納の儀」が始まってしまうのか……!?

それでは、また次回の第51話でお会いしましょう!

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