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第49話:ヴェルナー家・神聖三位一体の誓い!? 母が参戦して始まる真・桃園の誓いと勝手に結納の儀の件

勘違い過保護ラブコメ、第49話をお届けします!

前回の第48話では、ライルの中学生時代の黒歴史ノート(思春期のポエム)がシルヴィアによって「暗黒帝国建国の神聖予言書」と大誤解され、盛大に朗読されるという地獄のシチュエーションをお届けしました! そして今回は、そのショックから立ち直れないライルの耳に、さらなる絶望のニュースが飛び込んきます。父と母、そしてシルヴィアの三人が、なぜか三国志の「桃園の誓い」を超える狂気の血盟式典をリビングで勝手に開催してしまう大暴走回です! ライルの絶叫とともに、物語はさらにカオスの加速へ――!

それでは、第49話のスタートです!

ヴェルナー伯爵家の二階の廊下。

ライル・フォン・ヴェルナーは、冷え切った床に突っ伏したまま、文字通り白目を剥いていた。

「あぁ……もうだめだ……。俺の人生はここで終わった……。あの黒歴史ノートの内容を全世界に発信されるくらいなら、今すぐこの家の床板と同化して木くずになりたい……」

二階の自室から響いてきたシルヴィアの朗読ボイスは、彼の精神を完全に粉砕していた。もはや立ち上がる気力すらない。このまま静かにフェードアウトさせてほしい。ライルが本気でそう祈っていたその時だった。

階下のリビングから、信じられないほど重々しく、そしてどこか別の世界の歴史書から引っ張り出してきたような緊迫した声が響いてきた。

「――我らは血の繋がりこそなけれど……今日よりは運命共同体! 滅びるときは領地も一族も、すべて同じ日、同じ時を――っ!」

(……は?)

ライルはビクリと体を震わせ、床に這いつくばったまま耳を澄ました。それは父・エルンストの声だった。だが、そのセリフはどう聞いても地方の田舎貴族が出すようなものではない。どちらかといえば、歴史の歴史的大乱世を生き抜く英雄の決起集会のそれだった。

リビングの中では、恐怖の限界を突破し、逆に精神が変な方向へ振り切れたエルンストが、震える手でお茶のカップを差し出しながら、命がけの当主会談のクライマックスを迎えていた。

(ここまで来てしまった以上、中途半端に怯えて領地を取り潰されるくらいなら……! この王国最強の騎士団長殿とガッチリ組んで、我がヴェルナー家の安全保障を完全に確立するしかない……!)

父・エルンストの脳内では、すでに領地防衛のための政治的駆け引きが最高潮に達していた。

その父の鬼気迫る宣言を聞いたシルヴィアの瞳は、これ以上ないほどの神々しい光を放って輝いていた。

(なんと……! お義父様が自ら運命の川を渡り、我が帝国との『完全なる縁組および運命共同体の血盟』のサイコロを振られた……!)

シルヴィアはガチャンとフルプレートアーマーの金属音を響かせ、一歩前に踏み出そうとした――その瞬間だった。

「あら、ステキな誓いねぇ。私も混ぜてちょうだい」

優雅にお茶をすすっていた母・ソフィーが、ふっと柔らかく微笑みながら、スッと立ち上がった。

彼女はまったく怯むことなく、エルンストの隣に並び立つと、まるで上品なティーパーティーの続きを語るかのように恐ろしいことを言い放った。

「生きては同じ屋根の下で息子の成長を愛で、滅びるときは……そうね、お墓も三人一緒の、とっても大きくて立派な特注のものを建てましょうか。ねぇ、あなた?」

「母さんまで何を言い出すんだ!? 三人一緒のお墓ってなんだ、俺はまだ死にたくないぞ!」

父が素で慌ててツッコミを入れるが、シルヴィアの脳内フィルターを通すと、それは完全に別の壮大な意味へと変換されていた。

(な、なんと……ッ!!)

シルヴィアの全身のプレートアーマーが、あまりの感動に激しく震え出す。

(お義父様だけでなく、お義母様までこのシルヴィアを血族として温かく迎え入れ、生も死も、そして墓所すらも共にするという……これぞまさに歴史の教科書にも載らない、『ヴェルナー家・神聖三位一体の誓い(真・桃園の誓い)』……ッ!!)

彼女は神銀ミスリルの手甲で自分の胸元を強く叩き、凛然とした美しい声でリビングの空気を支配した。

「お義父様、お義母様……! その深遠なる御心、しかと受け止めましたわ! 我ら血の繋がりはなけれど、お互いの魂の帝国のために死なば諸共――このシルヴィア、命に代えてもその神聖なる『三位一体の盟約』、決して違えませぬ!」

「(なんか我が家の次男の嫁ポジションが、いつの間にか国家転覆レベルの巨大な血盟組織の幹部みたいになってしまったが……まあ、領地と命が助かるなら!)う、うむ! 頼んだぞ、シルヴィア君!」

「あら、心強いわねぇ。じゃあ、誓いも無事に済んだことだし、お祝いに特製のごま塩お煎餅を三枚に割って、みんなで美味しくいただきましょうか」

リビングの空気が、完全に「世界征服を成し遂げた極秘結社の幹部会」のそれになっていた。

階下のその恐ろしくも和やかな(?)光景を聞いた瞬間、二階の廊下でうずくまっていたライルのなにかがプツリと音を立ててブチ切れた。

「ふざけんなぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ライルは驚異的な身体能力で跳び起きると、一目散に階段を駆け下り、リビングの扉を盛大にブチ破って突入した。

「なんで父さんと母さんとシルヴィアの三人でどこぞの英雄の誓いみたいな重い血盟を結んでんだよ!! しかも最後にお煎餅を三枚に割って分け合うな! うちの実家のリビングがいつの間にか天下分け目の決戦場になってるじゃねぇか!! 誰かこの狂ったクーデター劇を止めてくれぇぇぇーーっ!!」

ライルが床に崩れ落ちて号泣しながら絶叫するのを見て、母のソフィーはニコニコと微笑みながらティーカップを置いた。

「あら、ライル。ちょうどよかったわ。あなたたちの『ヴェルナー家・神聖三位一体の誓い』も無事に済んだことだし、話は早いものね。――じゃあ、来週の吉日に向けて、盛大な『天下分け目の結納の儀』とウエディングドレスの採寸をさっそく始めましょうか」

「そうだな、それが我が家の平和の――って、おい勝手にスケジュールを進めるな!! 誰が結婚するって言ったんだよーーっ!!」

ヴェルナー伯爵家のリビングルームは、ライルの悲痛なツッコミの絶叫と、シルヴィアの「いよいよ帝国建国ですわね!」という輝く笑顔に包まれ、さらなるカオスの深淵へと突き進んでいくのであった――。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

第49話、「ヴェルナー家・神聖三位一体の誓い!? ママが参戦して始まる真・桃園の誓いと勝手に結納の儀の件」いかがでしたでしょうか!

父の命がけの覚悟から始まった歴史パロディに、まさかのソフィーが「お墓も一緒」というホラーなワードで参戦し、シルヴィアがそれを「真・桃園の誓い(神聖三位一体の誓い)」と大真面目に昇華させてしまうという、家族全員がグルになった地獄の結納会議回をお届けしました! ライルの絶叫のキレもいよいよ最高潮です。

実家に帰っても一筋縄ではいかないライルの明日はどっちだ……!?

それでは、また次回の第50話でお会いしましょう!

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