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第47話:フルプレートアーマーでティータイム!? 肝っ玉ママのお煎餅と命がけの当主会談の件

勘違い過保護ラブコメ、第47話をお届けします!

前回の第46話では、静かに暮らすはずの実家に逃げ込んだライルの前に、神銀ミスリル製のフルプレートアーマーと国家予算級の大剣を背負ったガチ武装のシルヴィアが門を粉砕して突撃し、「両家顔合わせの正式な結納の儀ですわ!」と宣言するという大爆笑の展開をお届けしました! そして今回は、破壊されたリビングで繰り広げられる、パパの命がけの当主会談と、ママによる恐怖のお煎餅ティータイムのダブルパンチをお送りします!

それでは、第47話のスタートです!

ヴェルナー伯爵家のリビングルーム。

その中央には、王国最高の技術で作られた神銀ミスリル製のフルプレートアーマーを纏ったシルヴィアが、まるで不動の巨像のように鎮座していた。その背負った国家予算級の大剣から放たれる圧倒的な重圧感のせいで、床板はミシミシと悲鳴を上げ、部屋全体の空気が完全に凍りついている。

「は、はひぃ……っ……!」

父エルンストは、恐怖と冷や汗で顔面を真っ青にしながら、机の陰からブルブルと震えて這い出してきた。

彼は当主としてのわずかなプライドと、家族の命を守るという必死の執念だけで、恐る恐るシルヴィアの前に歩み出た。

「こ、こうなったら……当主である私自らが直接交渉するしかない……!」

エルンストは膝をガクガクと震わせ、シルヴィアに向かって深々と、額が床につきそうになるほどの土下座をした。

「お、恐れながら、王国最強の騎士団長殿……! 我がヴェルナー領は、中央の政争などには一切関与しておりません! ただの地方の小さな領地でございます……! どうか、我が領民と土地だけはお救いください……! 命ばかりは……命ばかりはお助けを……! この通り、我が家の全財産でも何でも差し出しますから――っ!!」

命がけの当主会談。それは、恐怖の限界を超えた父親による必死の命乞いだった。

――しかし、それを聞いたシルヴィアの瞳は、なぜか神々しいまでの深い感動に満たされてい発光した。

(なんと……っ!)

シルヴィアの脳内で、エルンストの必死の命乞いが瞬時に華麗な別の言語へと変換されていく。

(お義父様は、我がヴェルナー領の全権と財産を差し出すことで、私と我が君の未来への障害をすべて自らの手で排除しようとなさっている……! そして「我が領地と家族を救ってくれ」という言葉は、すなわち「これより我ら一門は、暗黒帝国の血脈として一つになるという魂の誓約(義理の親子としての決闘・覚悟の儀式)」にほかならない……ッ!!)

シルヴィアはガチャンとフルプレートアーマーの金属音を響かせながら、エルンストの前にキリッと立ち上がり、力強く頷いた。

「お義父様……! その言葉、しかと受け止めましたわ!」

「ひっ……!? ひ、否定したわけではないが、命だけは……っ!」

「ふっ、言葉は不要です! 我が君を生涯支え、暗黒帝国を共に導く者としての『魂の誓約、および義理の親子としての熱き決闘の誓い』ですね……! このシルヴィア、命に代えてもその誇り高き覚悟、完遂してみせますわ!」

「決闘なんて一言も言ってないーーっ!! なんで俺の父さんとシルヴィアが命がけの同盟を結んでるんだよ!! 話を勝手に斜め上に進めないでくれ!!」

ライルが頭を抱えて絶叫しているその時だった。

リビングのドアが、パタンと上品な音を立てて開いた。

そこに現れたのは、母・ソフィーだった。

彼女は手元に銀のトレイを持ち、その上には湯気が立つお茶のセットと、一皿の「ごま塩お煎餅」が優雅に乗せられている。先ほどのパニックが嘘のような、あまりにもマイペースすぎる佇まいだった。

「あらあら、お若いお嬢さんがいらしているのに、いつまでそんなところで地面に這いつくばっているのかしら、あなた」

「ま、母さん……っ!? 近づいちゃダメだ、あの鎧の人は王国最強のバケ……いや、騎士様だぞ!」

ライルが青ざめて母親を止めようとするが、ソフィーは気にする様子もなく、シルヴィアの目の前にすたすたと歩み寄った。

そして、フルプレートアーマーの圧倒的な重圧感の真ん前で、まったく怯むことなくニッコリと微笑んだのである。

「初めまして、お嬢さん。うちの愚息がいつもお世話になっているのかしらね。……それにしても、立派でとってもお美しい鎧だこと。なんだか重そうねぇ」

「はっ……! はじめまして、お義母様……っ!」

シルヴィアは、王国最強の騎士団長としての威厳を一切忘れ、急に背筋をピンと伸ばして直立不動になった。目の前にいるのは、愛する我が君を産み育てた「最強の義母」である。その存在感は、ある意味でドラゴンよりも恐ろしい。

ソフィーは優雅にトレイを差し出した。

「お話し中悪いけれど、せっかく遠くからいらしていただいたんだから、うち特製のごま塩お煎餅とお茶を召し上がれ。焼きたてで美味しいのよ」

リビングの空気が、一瞬でピタリと止まった。

王国最強の公爵家に連なる最強の騎士に対し、田舎の伯爵夫人が「ごま塩お煎餅」を勧めるという、全大陸の歴史を揺るがすシュールすぎるティータイムの開幕である。

シルヴィアはゴクリと固唾をのんだ。

(お義母様からの直接のおもてなし……! これは何かの罠でも毒殺の試練でもない……! 次の結婚式(第二回戦)に向けた、厳正なる『花嫁修行および家庭的試練』に違いありませんわ……!)

彼女のなかに、かつてないほどの戦慄と緊張が走る。

シルヴィアは震える神銀ミスリルの手甲で、ガチャリと重厚な兜のバイザー(面当て)をギリギリと上に押し上げた。そこから覗いたのは、気合の入った真剣すぎる美少女の顔だった。

「……ありがたく、いただきますっ……!」

シルヴィアは両手でお煎餅を受け取り、ガリッ、バリボリボリッ!! と、フルプレートアーマーの重装備姿のまま、ものすごい勢いでお煎餅を噛み砕いた。

香ばしい醤油とごまの風味が口いっぱいに広がるが、今のシルヴィアにとっては「これは義母からの愛の試練、絶対に完食しなければ暗黒帝国の嫁として失格になる……!」という強迫観念で頭がいっぱいである。

「美味しいかしら?」

「はっ……! 非常に美味でございます……! この香ばしさと硬さは、我が君との堅い絆を噛みしめるがごとき、素晴らしい修行のお味ですわ……!」

「そう? よかったわぁ」

ソフィーは満足そうに微笑み、お茶のカップを差し出した。

その光景を端で見ながら、ライルは自分の頭をガシガシとかきむしり、ついに号泣しながら崩れ落ちた。

「なんでだよ!!! なんで実家のリビングで最強の騎士団長が母さんとお煎餅をバリボリ食べて、父さんと命がけの同盟を結んでんだよ!!! 俺はただ普通の平穏な実家に帰りたかっただけなのに、なんで我が家が魔王軍の迎賓館みたいになってんだよぉぉぉっ!!」

ライルの悲痛な絶叫は、地方都市の青空へパーンと高く響き渡り、ヴェルナー伯爵家のティータイムは、さらなるカオスの深淵へと突入していくのであった――。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

第47話、「フルプレートアーマーでティータイム!? 肝っ玉ママのお煎餅と命がけの当主会談の件」いかがでしたでしょうか!

パパの命がけの命乞いがシルヴィアの脳内で「義理の親子としての決闘の誓約」に変換され、さらにママのソフィーが放った「特製ごま塩お煎餅」が、シルヴィアにとっての「厳正なる花嫁修行の試練」としてガチの真剣勝負でバリボリ食べられるという、シュールさと爆笑が詰まったカオス回をお届けしました!

実家に帰っても一向に休まらないライルの明日はどっちだ……!?

「パパの土下座とシルヴィアの解釈のズレが面白すぎる」「フルプレートアーマーで真面目にお煎餅食べるシルヴィアの絵面が浮かんで腹痛い」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や作品への評価(★)、感想などをよろしくお願いいたします! 皆様の応援が執筆の大きな力になります!

それでは、また次回の第48話でお会いしましょう!

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