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第46話:ライルの実家逃亡と、パパの遺書書き&ママのお煎餅返し!? さらに最強の鎧姿で突撃してきたシルヴィアの件

登場人物

エルンスト・フォン・ヴェルナー

ライルの父親で、地方都市を治めるヴェルナー伯爵家の当主。

ソフィー・フォン・ヴェルナー

ライルの母親。ヴェルナー家の真の支配者にして最強の肝っ玉ママ。

前書き

勘違い過保護ラブコメ、新章第46話をお届けします!

前回の第45話では、元暗殺者たちがアルバイトに挑戦した結果、街中が経済パニックに陥るという大爆笑のエピソードをお届けしました! そして今話からは待望の新章に突入! 度重なる狂気から逃れるため、ライルがついに地方の大都市にある実家(ヴェルナー伯爵家)へ逃亡します。今回はヴェルナー家の愛すべき常識人ぶりと、いつものフルプレートアーマー&国家予算級の大剣を背負ったガチ武装のシルヴィアが巻き起こす、純度100%のドタバタ劇をお楽しみください!

それでは、新章・第46話のスタートです!

黄金の要塞都市をこっそり抜け出し、ライル・フォン・ヴェルナーは数日かけて地方の大きな都市にある実家――ヴェルナー伯爵家の門を叩いていた。

「はぁ……はぁ……ついに着いたぞ……。あの狂気に満ちた街から離れ、格式高い実家の門をくぐれば、今度こそ普通の家族に囲まれて静かに暮らせる……!」

ライルは後ろを何度も振り返りながら、安堵のため息を吐いた。幸い、あの狂気の元暗殺者集団の影はどこにも見当たらない。彼らはあの街の「治安維持(という名の破壊活動)」で忙しいのか、あるいはライルの逃亡に気づいていないのか、とにかく今のライルには誰もついてきていなかった。

「よし……! 完全な勝利だ! これで俺の平穏なスローライフが始まる……!」

ライルは疲れ果てた顔で門をくぐり、実家のリビングのソファにドサリと倒れ込んだ。全身にはまだ前回の名残である「黄金の神聖衣:ゴールデン・エンペル(皇帝仕様)」のキラキラしたパーツがわずかに残っていたが、実家にさえ着いてしまえばどうにでもなるという油断があった。

リビングの扉が開き、そこに現れたのは、ヴェルナー家の当主である父・エルンストと、母・ソフィーだった。

「おや、ライルじゃないか。数ヶ月ぶりだな。……って、おい、その全身から発光している黄金の鎧みたいな服は何だね? お前、辺境でいったいどんな危険な特殊部隊に就職したんだ……?」

父エルンストは、息子の奇抜すぎる姿を見て目を丸くした。

ライルは力なく首を横に振った。

「父さん、聞いてくれ……俺はもうあの街にはいられないんだ。トマトは神聖化されるわ、ゴミ捨ては聖堂儀式になるわ、愚痴を言えばクーデターにされるわで、俺の精神力は限界なんだよ……。しばらくこの実家で、ただの引きこもりとして普通の生活をさせてくれ……」

ライルの必死の訴えに、母ソフィーはふっと優しく微笑み、息子の頭をなでた。

「まあ、色々大変だったのねぇ。うちの家はいつでも歓迎するから、ゆっくりしていきなさい……と言いたいところだけど、実はね、ライルが帰ってくる直前に、とんでもないものが届いたのよ」

「……は? とんでもないもの?」

ライルが首をかしげた瞬間、執事が青ざめた顔で、何やら物々しい鉄の檻のような木箱をゴロゴロとリビングに運び込んできた。

箱には、王国最強の公爵家である「ローゼンブルク家」の厳重な封蝋が押されている。

エルンストは額の汗を拭いながら、震える声で言った。

「こ、これを見てくれ……。今朝方、王国最強のローゼンブルク家から、直々に我がヴェルナー家に宛てて届いた使者からの贈り物だ……」

木箱の蓋を恐る恐る開けると、中から出てきたのは、眩いまでに虹色の光を放つ、大陸に数個しかない国宝級の超巨大鉱石と、なぜかその隣に添えられた「飲むだけであらゆる生命活動が強制加速しそうな、ドス黒く発光する怪しい特製ドリンク(劇薬)」だった。

それをひと目見た瞬間、父エルンストの顔から完全に血の気が引いた。

「お、おしまいだ……我がヴェルナー家は、ついに中央の超大物貴族に目をつけられたんだ……!」

「父さん? いったい何を言ってるんだ、ただの綺麗な石と、なんか体に悪そうなジュースじゃないか」

「ただの石だと……!? バカを言うなライル! これは王国最強の公爵家からの無言の圧力だ……! 『我が家の機嫌を損ねれば、お前たちの領地など一瞬で鉱山ごと消し飛ばすぞ』という、恐ろしい最後通告に違いない……!」

エルンストはガタガタと全身を震わせ、すでに顔面蒼白のまま机の引き出しから分厚い羊皮紙と羽ペンを取り出した。

「父さん、しっかりしてくれ!」

「もうダメだ、おしまいだぁ……! 私が当主でいるうちに、せめて家族の安全を担保するための遺書を書いておかねば……!!」

エルンストは狂ったようなスピードで羽ペンを走らせ、サラサラと遺書を書き始めた。

『遺言:第一項、我がヴェルナー家の全財産をローゼンブルク家に寄贈する。第二項、領民は全員速やかに他国へ逃亡せよ。第三項、私の墓には「チキンだった男」と刻んでくれ……』

「父さん!! 遺書を書くのが早すぎるだろ!! なんだそのリアルすぎる内容は!!」

ライルが血涙を流しながら父親の羽ペンを取り上げようと必死にしがみつく。

そのパニックの真ん中で、母ソフィーだけは微動だにせず、その「国宝級の鉱石」と「ドス黒い劇薬」をじっと眺めていた。

彼女は優雅にカップでお茶を啜ると、ニッコリと微笑みながらこう言ったのだった。

「あら、あなたたち、そんなに慌てなくてもいいじゃないの」

「母さん……? 何言ってんだ、外敵が攻めてくるかもしれないんだぞ!」

「ふふっ。お隣の公爵家からわざわざこんな重い石を送ってきてくれたんだもの。無碍にするのは失礼だわ。そうねぇ……お礼の品として、うちの納屋に余っている『特製のごま塩お煎餅』をひと箱、送り返してあげましょうか」

「お煎餅を返すなァァァァァッ!!!!! 相手は王国最強の武闘派公爵家だぞ!? そんな田舎のお菓子を送ったら『我が家の権威をバカにしているのか!』って一族総出で大軍勢が攻めてくるわ!!」

ライルは頭をかきむしり、父の遺書と母のお煎餅の提案というダブルの衝撃に耐えかねて、その場で盛大にひっくり返った。

――だが、そのヴェルナー家の平穏(?)は、ほんの数分で容赦なく打ち破られることになった。

ドゴォォォンッ!!!!

突如として、ヴェルナー伯爵家の重厚な正門が、まるで紙細工のように粉々に吹き飛んだ。

地響きとともに邸宅全体が激しく揺れ、リビングの天井からパラパラと埃が落ちてくる。

「な、なんだぁ――っ!? 敵襲か――っ!?」

父エルンストは書きかけの遺書を放り出し、恐怖で腰を抜かした。

「ち、父さん、しっかりしろ! 一体何が……!」ライルが青ざめながら窓の外を覗き込む。

砂煙が舞う中、砕け散った門の瓦礫を踏みしめて、一人の人影がゆっくりと歩いてきた。

そこに立っていたのは、見慣れた、しかしこの実家の敷地内においては圧倒的な異物感を放つ「恐怖の象徴」だった。

身にまとっているのは、王国最高の技術で作られた神銀ミスリル製のフルプレートアーマー。月光のような冷たい輝きを放つその重厚な鎧は、あらゆる魔導攻撃を完全に無効化する絶対防壁のオーラを纏っている。さらに、その背中には一般的な人間の胴体ほどもある巨大な国家予算級の大剣が背負われており、地面を踏みしめるたびにガキィン、と恐ろしい金属音が響き渡っていた。

――そう、王国最強の騎士団長、シルヴィア・フォン・ローゼンブルクその人であった。

「……見つけましたわ、我が君」

シルヴィアは冷徹かつ麗しい美声を響かせながら、ゆっくりとヴェルナー家のリビングの窓の前に歩み寄った。その瞳には、ライルへの激しい愛と、不法に実家へ逃亡した男を連れ戻すという強い決意の炎がメラメラと燃え盛っている。

「なっ……! なんだあの重装備の化け物は……っ! 王国最強の騎士団長シルヴィアだと……!? なぜ我がヴェルナー家にそんな大物が……っ!」

父エルンストは気絶寸前の顔でぶるぶる震え、先ほど書いたばかりの遺書を慌てて自分のポケットに押し込んだ。

ライルは窓の向こうに立つシルヴィアを見るなり、絶望のあまり頭を抱えてその場で崩れ落ちた。

「おいおい嘘だろ……!? なんでこんな地方の片田舎の実家まで追ってきたんだよ!! ここまで来れば安全だと思ったのに……っ!」

シルヴィアは神銀ミスリルの手甲をカチャリと鳴らし、巨大な国家予算級の大剣を地面にドンと突き立てた。その衝撃でリビングの床板がミシミシと悲鳴を上げる。

「我が君! 私を置いてお一人でご実家へ帰られるなど、あまりにもお労しい……! ですがご安心ください。これは我がローゼンブルク家からお贈りした国宝級鉱石に対するお返事――すなわち、次の結婚式(第二回戦)に向けた『両家顔合わせの正式な結納の儀』を進めるために、私が直接参りましたわ!」

「誰も結納なんて頼んでないわ!!! なんで俺の実家で勝手に結婚式の準備が進んでるんだよ!! 帰れ! 今すぐその国家予算級の大剣をしまって国に帰れぇぇぇっ!!」

ヴェルナー家のリビングに響き渡ったライルの悲痛な絶叫は、地方都市の青空を切り裂き、パパのさらなる追加の遺書書きと、ママの「あら、お友達がいらしたのね。お煎餅を差し上げましょう」というマイペースな一言を巻き込んで、次なる修羅場へと突入していくのだった――。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

新章第46話、ライルの実家逃亡と、パパの遺書書き&ママのお煎餅返し、そして神銀ミスリル製フルプレートアーマーと国家予算級の大剣を背負って突撃してきたシルヴィアのエピソード、いかがでしたでしょうか!

元暗殺者たちをあえて外し、ヴェルナー家の愛すべき常識人パニックと、シルヴィアの圧倒的な武装ビジュアルのギャップを存分に描かせていただきました! パパの遺書のクオリティがさらに上がっていく姿や、マイペースすぎるママの肝っ玉っぷりも健在です。

実家に逃げ込んでもなお逃れられない、ライルの過酷すぎるスローライフ(?)の運命やいかに……!?

「パパの遺書の内容がリアルすぎてお腹痛い」「シルヴィアの登場シーンの装備描写がガチすぎて笑う」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や作品への評価(★)、感想などをよろしくお願いいたします! 皆様の応援が執筆の大きな力になります!

それでは、また次回の第47話でお会いしましょう!

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