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第44話:胃痛同盟の深夜の愚痴会がクーデター計画に!? 極秘のお疲れ様会が最悪の勘違いを生む件 登場人物

勘違い過保護ラブコメ、本編の第44話をお届けします!

前回の第43話では、部屋の片付けで出した普通のゴミ袋が元暗殺者たちの狂気によって「世界滅亡の触媒・旧世紀の呪具コレクション」に祭り上げられ、大聖堂の儀式レベルの厳戒態勢でゴミ捨て場へ運ばれるという大爆笑のエピソードをお届けしました! そして今回は、度重なる精神的限界から、胃痛同盟の3人が深夜にこっそり集まって「普通のやけ酒(愚痴会)」を開くのですが……それがまたしても最悪の勘違いを引き起こすという、逃げ場なしのシュール回です!

それでは、本編第44話のスタートです!

黄金の要塞都市と化した街が、深い夜の静寂に包まれていた頃。

街の片隅にある、普段は誰も使っていない古い隠れ家の地下室で、三つの影がテーブルを囲み、重苦しい溜息をついていた。

――それは、ライル、アルベルト、ルキウスの「秘密の胃痛同盟」の面々だった。

テーブルの上には、高級ワインでも、国家機密の魔導書でもなく、街の普通の酒場からこっそり調達してきた「普通の安いエールビール」と「少し焦げた串焼き」が無造作に置かれている。

ライルはグラスをガチャンと乱暴に置き、血走った目でテーブルを睨みつけた。

「……もう、限界だ」

ライルのその一言に、アルベルトとルキウスは深く頷き返した。

「あぁ、私もだ、ライル殿……。先日のゴミ捨ての件以来、私の精神力はすり減り、いよいよ胃の粘膜が悲鳴を上げている」とルキウスが青白い顔で頭を抱え、アルベルトも静かに特製胃薬のボトルをテーブルの真ん中にドンと置いた。

「昨日の今日で、私の管理下にある騎士団の書類棚まで『暗黒帝国の武器庫』に改築されかけていたからな……。このままでは、私たちの平穏どころか、人生そのものがあの元暗殺者たちの狂気に飲み込まれて消滅してしまう」

「そうだろ……!? だから俺は言いたいんだ!」

ライルは頭をかきむしり、声を潜めながらも切実に訴えかけた。

「このままだと、マジで俺の人生が持たない……! どうにかして、この異常すぎる現状を打破しなければならないんだ……っ! 何か手はないのか!? この街のシステムを根本からひっくり返すか、あるいは俺たち三人で密かに計画を立てて、この状況から脱出するための『構造改革』を起こすしかないぞ……!」

ライルの必死の叫び。それは、日頃のストレスに耐えかねた男たちが、ただ単に「普通の愚痴を言い合い、どうにか日常を取り戻そうと足掻いている」だけの、ごくありふれた(しかし切実な)お疲れ様会だった。

――だが、その地下室の小さな通気口のすぐ外。

闇夜に紛れて周囲を完全警戒していた、元暗殺ギルド「黒い夜の翼」のリーダー格の男が、その会話の一言一句を耳にしてしまった。

男の背筋に、ビリリと凄まじい稲妻が走った。

(な……っ……!? いま、何とおっしゃった……!?)

(「このままだと人生が持たない」「現状を打破しなければならない」「システムを根本からひっくり返すための構造改革を起こす」だと……!?)

男の脳内で、これまでのすべての点と線が、恐ろしいほどのスピードで一本の巨大な陰謀として繋がり始めた。

(そうか……! すべてはそこに帰結する……!)

(我が君(ライル様)は、これまでの度重なる緩んだ街の治安や、一部の過剰防衛組織(我々以外のエージェント)の暴走を深く憂慮されていたのだ……! しかし、表立ってそれを指摘すれば、街の権力構造に大きな亀裂が入る……だからこそ! 財務官僚のルキウス殿、騎士団副団長のアルベルト殿という組織の最高幹部を深夜の密室に極秘招集し、暗黒帝国の体制を根本から刷新するための『極秘クーデター計画(内部粛清)』の最終協議を行われているのだ――ッ!!)

男の目から、感動と興奮の涙がポロポロとこぼれ落ちた。

「なんてことだ……! 我が君は、自らの手で組織の腐敗を断ち切り、真の暗黒帝国を築き上げるための『血の粛清』を決意された……! これは我々影の暗殺部隊にとっても、最大の正念場だぞ……!」

彼は音もなくその場から姿を消すと、夜の闇に潜むすべての部下たちへ、震える声で最高機密の指令を飛ばした。

「全部隊に通達! 陛下、アルベルト殿、ルキウス殿の三柱の最高幹部により、今夜、暗黒帝国の体制刷新に向けた『極秘クーデター計画』が発令された……! 決行は明日! 街のすべての組織、および反乱分子(と疑われる者たち)を完全制圧するため、全軍、戦闘モードに移行せよ――ッ!!」

「「「了解――ッ!!」」」

漆黒の闇のなかで、元暗殺者たちの殺気が一斉に最高潮へと跳ね上がった。

そして――翌日の朝。

ライルは昨夜のやけ酒のせいで少し重くなった頭を抱えながら、自室のベッドから重い足取りで起き上がった。

「ふぅ……昨日は散々愚痴を吐き出したけど、結局何も解決しなかったな……。まぁ、今日も今日とて静かに引きこもるか……」

そう呟きながら、ライルがリビングの窓から外をそっと覗き見た瞬間――。

彼は自分の目を疑い、心臓が止まりそうになった。

「なっ……なんだあれは……っ!?」

街のメインストリートは、昨日までののんびりした雰囲気から一変していた。

街の自警団や住民たちが全員、いつの間にか迷彩服や戦闘用の重装備に身を包み、街のあちこちに臨戦態勢のバリケードや特設の要塞砲(もちろん手作り)がズラリと並べられている。元暗殺者たちに至っては、完全武装のステルス迷彩をまとい、通りを往来する怪しい影(ただの配達員)を片っ端から取り押さえて「身元調査だ!」と叫んでいる。

街全体の空気が、完全に「これから内戦が始まる一歩手前の戒厳令状態」になっていた。

「ちょっ、まっ、待て待て待て――っ!! なんで街中が戦争前夜のようになってんだよ!!」

ライルが青ざめながら外へ飛び出すと、ちょうど同じタイミングで、自室から飛び出してきたアルベルトとルキウスが顔面蒼白のまま廊下でバッタリと鉢合わせした。

「ライル殿……! 外をご覧になりましたか……!? 街の財務システムと自警団の警備網が、いつの間にか誰の許可も得ずに完全に『軍事クーデター体制』に切り替わっています……! 私の管轄する帳簿がすべて戦時特例予算に書き換えられているんです……!」とルキウスが半狂乱になって叫ぶ。

アルベルトも冷や汗をダラダラと流しながら、震える手で頭を抱えた。

「一体昨夜の間に何が起きたんだ……!? 私たちが隠れ家でただの愚痴を言い合っていただけだというのに、なぜこんな大々的な内乱の準備が進んでいるんだ……っ!」

そこに、音もなくスッと影のように現れたのは、元暗殺者たちのリーダー格の男だった。

彼はアルベルトたちの前にひざまずき、忠誠に満ちた熱い眼差しでこう告げた。

「アルベルト様、ルキウス様! そしてすべての最高幹部の皆様……! 昨夜の『極秘クーデター計画』の会議、しかと拝聴いたしました! 我々『黒い夜の翼』、および街の治安維持部隊の総力を挙げ、体制刷新のための『内部粛清』の準備はすべて完了しております! いつでもご命令を――ッ!!」

「「「クーデターじゃねぇよ!!!!」」」

ライル、アルベルト、ルキウスの三人の絶叫が、黄金の要塞都市の青空へパーンと同時に響き渡った。

「俺たちはただ昨日、人生の愚痴を言い合ってやけ酒を飲んでいただけだ! なんでそれが内部粛清の会議にすり替わるんだよ!! クーデターなんか起こしたら俺たちの胃が真っ先に死ぬわ!!」

ライルが必死に弁明しようと両手を激しく振るが、元暗殺者たちは「フッ……さすがは最高幹部の皆様、いざという時までのカモフラージュの演技すら完璧です……! その『愚痴』という偽装工作、しかと見習わせていただきます!」と、なぜかさらに深い感動の涙を流して感心している。

その騒動を遠くから見ていたシルヴィアは、頬を赤らめながらうっとりと呟いていた。

「あぁ……! 我が君は、自らの組織のなかに巣食うかもしれない慢心や腐敗を未然に防ぐため、あえて自ら『極秘のクーデター(内部粛清)』を演出し、部下たちの忠誠心と戦闘力を限界まで高めようとなさっている……! なんという深遠なる帝王学的カリスマ、そして完璧な組織統率力ですわ……! 私、胸がいっぱいで気絶しそうです……!」

「誰も組織の腐敗を正そうとしてねぇよ!! 俺たちはただ平和に愚痴をこぼしたかっただけなんだよぉぉぉっ!!」

ライルが黄金の神聖衣(※また着せられている)を揺らしながら地面に突っ伏して絶叫する姿は、黄金の要塞都市の青空へどこまでも高く吸い込まれていき、胃痛同盟の三人組は、その場で同時に特製胃薬のボトルをあおるのだった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

本編第44話、「胃痛同盟の深夜の愚痴会がクーデター計画に!? 極秘のお疲れ様会が最悪の勘違いを生む件」いかがでしたでしょうか!

度重なるストレスに耐えかねた胃痛同盟の3人が深夜にこっそり集まって開いた「普通のやけ酒(愚痴会)」が、元暗殺者たちの狂気的なフィルターによって「暗黒帝国の体制刷新のための極秘クーデター計画(内部粛清)」に大誤解され、街中が戦時体制の戒厳令状態になってしまうという大爆笑のエピソードをお届けしました! ルキウスとアルベルトの絶望っぷりも絶好調でしたね。

ライルたちの平和な愚痴会は、果たして無事に終わるのか……!?

「普通の愚痴が国家転覆のクーデターになってて腹筋崩壊した」「シルヴィアの全肯定フィルターがいつ見ても斜め上で最高」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や作品への評価(★)、感想などをよろしくお願いいたします! 皆様の応援が執筆の大きな力になります!

それでは、また次回の第45話でお会いしましょう!

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