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第43話:ライルの部屋の片付けが禁断の呪具封印解除に!? ゴミ捨てが神聖な儀式と化す件

勘違い過保護ラブコメ、本編の第43話をお届けします!

前回の第42話では、普段着を買いに行っただけなのに仕立て屋の暴走によって「神聖衣:ゴールデン・エンペル皇帝仕様」が爆誕し、ライルが発光する要塞のように夜道を照らしながら絶叫するという大爆笑のエピソードをお届けしました。そして今回は、そんな怒涛の衣替え騒動のあと、「部屋の中がごちゃごちゃしてきたな」と一念発起したライルが、ただの机の引き出しの片付けとゴミ捨てを行おうとするだけのお話です! しかし、そこはやはり一筋縄ではいかない狂気の街。普通のゴミ袋が「世界滅亡の触媒」に仕立て上げられる大騒動の幕が上がります!

それでは、本編第43話のスタートです!

黄金の要塞都市と化した街の真ん中にある、ライル・フォン・ヴェルナーの自室。

部屋の真ん中にポツンと座ったライルは、自分の机の引き出しを開け、溜まりに溜まったガラクタを眺めながら深くため息をついていた。

「……はぁ。黄金のギラギラ衣装を着せられかけたり、トマトが不老不死の秘宝になったり、最近は我が人生ながらファンタジー成分が過剰すぎて胃がもたない。せめて、自分の部屋の机の中くらいは綺麗に片付けよう……」

世間の喧騒から逃れるように、ライルは地味な作業に没頭することにした。

引き出しの奥から出てきたのは、飲み終えたジュースの「空き缶」、インクの出なくなった「使い古したペン」、そして何かのメモ書きがグチャグチャに書き殴られた「使い捨てのメモ用紙」など、どこからどう見ても正真正銘の「普通のゴミ」ばかりだった。

「よし、これらは全部不要だな。まとめてゴミ袋に入れて、今日の燃えるゴミの日に捨てちまうか」

ライルは手近にあった普通のビニール袋にそれらのゴミをガサゴトと放り込み、口をキュッと縛ると、部屋の隅の床に「ポイッ」と無造作に置いた。

――だが、その何気ないワンシーンを、窓の隙間から命がけで覗き込んでいた一団がいた。

そう、元暗殺ギルド「黒い夜の翼」の部下たちである。

彼らは、ライルがゴミ袋を床に置いた瞬間、まるで恐ろしい怪獣でも目撃したかのように、全身の毛を逆立てて一斉に青ざめた。

(い……いま……っ!?)

(陛下が、自らの手でご自身の執務室の最深部から、あの『忌まわしき封印』を解かれたぞ……!)

(見ろあの黒い袋の中身を……! あの不気味にひしゃげた金属製の円柱(空き缶)は、かつて大陸を二分した禁断の魔導呪具『虚無の弾倉』……! そして隣にある黒い棒状の物体ペンは、触れた者の魂を吸い取るという呪いの死神の筆……!)

(間違いない……! あれこそは暗黒帝国の歴史から闇に葬られた、世界滅亡の触媒――『旧世紀の呪具コレクション』そのものだ……ッ!!)

元暗殺者たちの脳内で、勝手に宇宙規模の終末戦争と古代遺跡の封印解除シナリオが爆誕した。

彼らにとって、ライルが片付けのついでに床に置いたゴミ袋は、「我が君が封印を解き放った、世界の命運を握る最高機密の危険物」として脳内変換されてしまったのである。

リーダー格の男は、冷汗をダラダラと流しながら、周囲の部下たちに血走った目で命令を下した。

「全軍、耳をかっぽじって聞け……! 陛下が今、その『呪具』を部屋の隅に放置された。もしもこのまま明日の朝を迎えて一般のゴミ収集車などに回収されようものなら、世界は一瞬で崩壊する……! 我が影の組織の全力を挙げて、あの呪具袋を安全に、かつ厳重に『特別処理(神聖廃棄)』しなければならん……!」

「「「了解――ッ!!」」」

男たちは、まるで世界を救う特攻部隊のような鬼気迫る表情で頷き合った。

そして――翌日の朝。

ライルは「さて、今日は燃えるゴミの日だし、あのゴミ袋を普通に家の外のゴミ捨て場に持って行くか」と、軽い気持ちで自室の隅へ向かった。

しかし、部屋のドアを開けた瞬間、ライルは自分の目を疑って硬直した。

「……は……? なんだこれ……!?」

ライルの自室から玄関、そして家の外へと続く廊下にいたるまで、ありえない光景が広がっていた。

床には、何重もの魔法陣のような幾何学模様のテープが貼り巡らされ、窓や通気口には「対・呪術用特殊シールド」と書かれた札がベタベタと貼られている。さらに、あの「普通のゴミが入ったビニール袋」は、なぜか黄金の神輿みこしの上に厳かに安置され、四人の元暗殺者たちが数珠つなぎになりながら、ガチガチの武装状態でそれを囲んでいた。

「ちょっ、まっ、待て待て待て――っ!!」

ライルは頭を抱えて絶叫した。

「なんだこれ! 俺が昨日の夜にポイッと置いた、ただの空き缶と使い古したペンのゴミ袋だぞ!? なんでそれが黄金の神輿に乗せられて、大聖堂の秘宝みたいな扱いになってんだよ!!」

すると、神輿を担いでいたリーダー格の男が、涙を流しながら深々と頭を下げた。

「お言葉ですが陛下! その『ゴミ袋』などという謙虚な偽装表現はおやめください! 我々は昨夜、命がけでその結界を張り、あの『世界滅亡の触媒(空き缶たち)』から発せられる呪いの波動を完璧に鎮静化させました……! これより、我が軍の最高機密ルートを通って、街の果てにある『不燃・呪具専用の極秘焼却炉』へと神聖なる廃棄に向かいます!」

「ただの近所のゴミ捨て場に行くだけだろ!! なんでそこに命がけの極秘ルートが出てくるんだよ!!」

ライルが必死に突っ込んでいるその横を、アルベルトとルキウスが青白い顔で通り過ぎていった。二人はその異様な光景を見て、重い足取りで立ち止まる。

「……ライル殿」

ルキウスは焦点の合わない目で呟いた。

「私は昨日から、あのゴミ袋を処分するための『特別行政廃棄申請書』のフォーマットを探しているのですが、王国のどの法律集をめくっても、『世界滅亡の触媒を安全に燃やすための地方自治条例』の条文が見つからないのです……。私の知る法律のすべてが、この街の狂気の前には無力です……」

「当たり前だろ、そんな法律あるわけねぇよ! ただの俺の部屋のゴミだ!」

ルキウスの言葉に、アルベルトは静かに頷き、慣れた手つきで懐から特製の胃薬を取り出した。

「まあ、そう絶望しなさるな、ルキウス君。ゴミの廃棄一つに大聖堂の儀式レベルの警備網を敷くなど、もはや我が『秘密の胃痛同盟』のメンバーにとっても日常茶飯事だ。……さあ、胃薬を飲むんだ」

「ありがとうございます……先輩……」

二人は静かに胃薬を流し込みながら、遠い目を虚空へと向けた。

その騒動の真ん中で、黄金の神輿を先頭にした元暗殺者たちの「極秘ゴミ捨てパレード」が、ついに邸宅の玄関から表通りへと盛大に繰り出し始めた。

「――全軍、前進! 呪具の封印が解けないよう、周囲の一般市民を完全にシャットアウトし、厳戒態勢でゴミ捨て場へ突入せよ――っ!!」

元暗殺者たちが気合の入ったときの声を上げながら、たかが「空き缶の入ったゴミ袋」をまるで地球を救う聖剣のように大切に抱え込んで走っていく。

その周辺を通りかかった一般の住民たちは、その厳かすぎるパレードを見て、一同に涙を流しながら両手を合わせた。

「おぉ……! 見てくれ、あの神々しいまでの行進を……!」

「陛下がご自身の執務室から出された『過去の厄災の封印物』を、命がけで浄化の地へと運んでおられるのだ……!」

「さすがは我が街の治安維持部隊……! 我が国の平和は、あのような方々の血を流すようなゴミ捨て(儀式)によって支えられているんだわ……!」

住民たちが勝手に感動の渦に包まれ、「陛下万歳! ゴミ捨て万歳!」と謎の歓声を上げ始めた。

その様子を見ていたシルヴィアは頬を赤らめながらうっとりと呟いていた。

「あぁ……! 我が君は、自らの手で過去の不浄なる汚点や古い厄災をすべて断ち切り、新たな未来――すなわち、私たち二人だけの聖なる結婚式(第二回戦)に向けて、身の回りのすべてを完璧に清め去ろうとなさっている……! なんという決意の美しさ、なんという潔さですわ……私、胸がいっぱいで息ができません!」

「誰が結婚式に向けて身を清めてるかぁぁぁっ!! 俺はただ机の引き出しを片付けて、普通の燃えるゴミを出したかっただけなんだよぉぉぉっ!!」

ライルが黄金の神聖衣(※昨日の名残)を揺らしながら地面に突っ伏して絶叫する姿は、黄金の要塞都市の青空へパーンと高く響き渡り、今日も今日とて、胃痛同盟の胃袋に新たな深い穴を刻み込むのだった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

本編第43話、「ライルの部屋の片付けが禁断の呪具封印解除に!? ゴミ捨てが神聖な儀式と化す件」いかがでしたでしょうか!

「部屋の中を片付けて普通のゴミを捨てよう」と思っただけのライルでしたが、元暗殺者たちの狂気的な勘違いによって、空き缶や使い古したペンが入った普通のゴミ袋が「世界滅亡の触媒・旧世紀の呪具コレクション」に祭り上げられ、大聖堂の儀式レベルの厳戒態勢でゴミ捨て場へ運ばれるという大爆笑のエピソードをお届けしました! シルヴィアの結婚式へのこじつけ解釈も絶好調でしたね。

ライルの平穏な片付けの日は、果たしてやってくるのか……!?

「普通のゴミ捨てが世界救済の儀式になってて腹筋崩壊した」「ルキウスの法律に関する絶望っぷりが毎回美しすぎて草」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や作品への評価(★)、感想などをよろしくお願いいたします! 皆様の応援が執筆の大きな力になります!

それでは、また次回の第44話でお会いしましょう!

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