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第39話:アルベルトの街頭パトロールが死の軍事演習に!? 元暗殺者たちの過剰解釈が暴走する件

勘違い過保護ラブコメ、本編の第39話をお届けします!

前回の第38話では、ライルが「ちょっと散歩をしようとしただけ」なのに、元暗殺者たちのピュアすぎるステルス護衛によって国家要人警護演習へと様変わりしてしまう大爆笑の日常回をお届けしました。そして今回は、ついにあの「比較的まともだったはずの苦労人・アルベルト副団長」が、元暗殺者たちの暴走によって「死の軍事演習の鬼教官」へと祭り上げられてしまう不条理なエピソードです!

それでは、本編第39話のスタートです!

黄金の要塞都市と化した辺境の街。

その朝の清々しい空気が漂う中、王国騎士団副団長・アルベルト・フォン・シュタインは、街の中央広場で一人、深く息を吸い込んでいた。

「……ふぅ。最近はどうも、ライル殿やルキウス君に巻き込まれて胃薬の消費量がマッハを超えている。こういう時こそ、初心に帰るべきだ。日常を取り戻す基本は、地道なパトロールと住民への爽やかな挨拶運動に限る……!」

アルベルトは、自分自身の精神の安定と健康維持を図るため、自ら率先して朝の街頭パトロールを行うことを決意したのだ。気合を入れるために軽くストレッチを済ませ、彼は街の自警団や、周辺をウロウロしていた元暗殺ギルド「黒い夜の翼」の男たちに声をかけた。

「よし、君たち。本日は朝の健康的なウォーキングを兼ねて、街の治安維持のための簡単なパトロールを行う。気負わず、普段着のまま私に続け!」

アルベルトのその爽やかな号令を聞いた瞬間、元暗殺者たちの背筋に「ビキィン!」と凄まじい稲妻が走った。

(な……んだって……!?)

(副団長殿自らが、我々影の部隊を引き連れて『朝の挨拶運動』だと……!? いや、待て! 王国騎士団の副団長が、そんな表向きの理由で動くわけがない!)

(これは……! 暗黒帝国の精鋭部隊に向けられた、極秘の『スパルタ式・秘密潜入演習』の号令に違いない……ッ!)

元暗殺者たちの脳内で、勝手に戦慄のミリタリーフィルターが全開で起動した。

彼らにとっては、アルベルトの何気ない「健康のための散歩」すらも、すべて高度な軍事教練や敵襲に備えたサバイバル訓練に見えてしまうのだ。

リーダー格の男が血走った目で周囲の部下たちに合図を送る。

「聞いたかお前たち! 副団長殿からの直接のご指導だ! 決してただの散歩などと思うな! これは我々の暗殺スキルを帝国仕様へと完全に叩き直すための『死の試練』だぞ……っ!」

「了解! すべての教えを全身全霊で完遂する!」

男たちは一糸乱れぬ敬礼を決め、気合十分の表情でアルベルトの背後にピタリと張り付いた。

アルベルトは、彼らが急に目をギラギラさせて戦闘態勢に入ったことに微かな違和感を覚えつつも、「お、なかなかやる気があるな。さすが自警団だ」と勝手に納得し、前を向いて歩き出した。

「では、出発しよう。まずはこの大通りをまっすぐ進み、市民の皆様に明るく挨拶をして――」

「――了解! 第一段階、市街地突破における『完全ステルス・低姿勢包囲網訓練』を開始する!」

男の掛け声とともに、元暗殺者たちは一斉に姿勢を低くし、地面スレスレを這うような忍者走り(あるいは特殊部隊のタクティカル・ムーブ)で大通りへ飛び出した。

「ちょっ、まっ、待て! なんだその不審者みたいな動きは! 普通に歩け普通に!」

アルベルトが慌ててツッコミを入れるが、時すでに遅し。

元暗殺者たちは、周囲の一般市民が驚かないように(つもり)建物や電柱の影を完璧に利用し、一瞬で視界から消え去るほどの超高速ステルス移動を展開し始めた。道行く一般市民たちは、頭の上を黒い影がビュンビュン通り過ぎるのを見て、「おぉ……さすがは帝国軍の精鋭部隊だ……朝からキレッキレの隠密訓練を……!」と勝手に感心して拍手を送っている。

「ちがう、私はただ普通に歩きたかっただけだ……!」

アルベルトの悲鳴むなしく、パトロール隊(?)は次のステージへと突入した。

街の北側に差し掛かった時、そびえ立つのはあの眩しく輝く「黄金の防衛壁」だった。

アルベルトが「えーと、この壁の脇を通って外周へ……」と言いかけた瞬間、元暗殺者たちが目の色を変えて壁の前に立ち塞がった。

「フッ、なるほど……! ここを『敵の城壁の垂直登攀とうはん演習』の場と見なされるのですね、副団長殿!」

「なっ、違う、私は壁に登れなんて一言も――」

「全員、武器を捨てろ! 素手と肉体の限界のみで、あの黄金の防衛壁を最速で踏破せよ! 副団長殿に対する我が方の忠誠を示すのだ――ッ!!」

ボキボキッ、と何やら物騒な気合の入った音を立てながら、元暗殺者たちは命綱すらないまま、垂直にそびえ立つ黄金の防衛壁を素手で猛烈なスピードで登り始めた。

「待て! 命綱をつけろ! そこは観光スポットだぞ!!」

アルベルトの叫びも届かず、わずか十数秒後には、男たちは全員壁のてっぺんに到達し、「異常なし――ッ!!」と敬礼して見せた。一般の住民たちは下から「すごい! あの急な壁を素手で登り切ったぞ!」と大歓声を送っている。

(……私は一体、何を見せられているんだ……?)

アルベルトは眩暈めまいを覚え、震える手で懐から特製の胃薬を取り出し、その場で一気に飲み干した。

しかし、悪夢はこれだけでは終わらなかった。

「続いての訓練は、『市街地における過酷な障害物競走アーバン・サバイバル』です!」

「い、いつの間にそんなメニューが追加されたんだ……!」

元暗殺者たちは、勝手に街の路地裏や屋根の隙間を使って、丸太跳びやロープ渡り、さらには非致死性スモーク(自作)を焚いた完全武装のサバイバルコースを数分で造り上げてしまった。

「さあ副団長殿! 我々をご指導ください!」

「いやだ! 私はただ朝の散歩と挨拶運動をしたかっただけだ――っ!!」

アルベルトが絶叫しながらその場に崩れ落ちた時、少し離れた路地裏の陰から、その惨状(?)を一部始終目撃していたライルが、頭を抱えてプルプルと震えていた。

「……あ、あれ、アルベルトじゃないか……?」

ライルは冷や汗を流しながら、目の前で繰り広げられる地獄絵図を見つめた。

「ちょっと待て、なんであの真面目な騎士団副団長が、元暗殺者たちを引き連れて垂直の壁を素手で登ったり、煙の中でスパルタの鬼教官みたいなことやってんだよ……!? いつからあいつは脳筋のスパルタ教官にジョブチェンジしたんだ……っ!」

ライルが絶句している中、遠くの特設ステージの端では、この光景を眺めたシルヴィアがうっとりとした表情で両手を胸の前で組んでいた。

「あぁ……! 我が君の街の治安を守るため、王国騎士団の副団長自らが精鋭たちを率いて、命がけの過酷な軍事演習を実演してくださっている……! なんという強固な防衛体制、そして素晴らしい統率力ですわ! 我が暗黒帝国の未来は鉄壁です!」

「どこが暗黒帝国だぁぁっ!! ただの健康被害だろこれじゃあ!!」

ライル絶叫のツッコミが、黄金の要塞都市の青空へパーンと響き渡る。

アルベルトが普通の散歩を取り戻そうとした挑戦は、元暗殺者たちの特大すぎる過剰解釈によって粉々に打ち砕かれ、今日も今日とて、胃痛同盟のメンバーたちの胃薬の消費量は右肩上がりに増え続けるのだった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

本編第39話、「アルベルトの街頭パトロールが死の軍事演習に!? 元暗殺者たちの過剰解釈が暴走する件」いかがでしたでしょうか!

比較的まともな苦労人枠であったアルベルトが、「健康的な朝の散歩と挨拶運動をしよう」と思い立っただけなのに、元暗殺者たちのミリタリーすぎる過剰解釈によって、いつの間にか「死の軍事演習の鬼教官」に祭り上げられてしまうという大爆笑のエピソードをお届けしました! 壁を素手で登るパトロールなんて聞いたことがありませんね。

アルベルトの平和な日常への道は、あまりにも険しすぎる……!

パートナーや仲間たちの暴走が止まらないこの街の運命やいかに!?

「アルベルトまで巻き込まれてて草」「元暗殺者の脳内フィルターが優秀すぎて逆に迷惑なの面白すぎる」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や作品への評価(★)、感想などをよろしくお願いいたします! 皆様の応援が執筆の大きな力になります!

それでは、また次回の第40話でお会いしましょう!

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