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第36話:真夜中の極秘・式典阻止作戦!? 胃痛同盟が不毛な抜け穴探しに奔走する件

勘違い過保護ラブコメ、本編の第36話をお届けします!

前回の第35話では、まさかの勘違い暗殺ギルドが乱入するも、シルヴィアによって秒速で宇宙の彼方へ飛ばされ、さらに「第二回戦・結婚式準備計画」が発令されるという最悪の(しかし笑える)結末を迎えました。

「このままでは本当に二度目の結婚式が始まってしまう……!」と危機感を抱いたライルは、深夜、秘密裏にあの男たちを自室へと招集し――!?

それでは、本編第36話のスタートです!

月明かりが静かに差し込む、深夜のライルの自室。

部屋の隅に置かれた小さなテーブルを囲むように、三人の男たちが深刻な面持ちで頭を突き合わせていた。

「――状況は最悪だ」

ライルは声を潜め、血走った目で目の前の二人を睨みつけた。

「昨日の今日で、シルヴィアはすでに『第二回戦の準備』を始めている。あの様子じゃ、今度は前回よりもさらに盛大で、かつ逃げ場のない鉄壁の要塞結婚式を企てるに違いない……! 俺たちはこのままでは、文字通り強制的にゴールインさせられてしまうぞ!」

ライルの切羽詰まった訴えに、王国騎士団副団長・アルベルトは静かに頷き、ルキウスは持参した分厚い六法全書(王国の法律書)をペラペラとめくりながら冷や汗を流していた。

「おっしゃる通りです、ライル殿」

ルキウスはメガネを押し上げ、血走った目をさらに見開いた。

「私は昨日から徹夜で王国の民法、刑法、および貴族婚姻特例法をすべて洗い直しました。しかし……異常事態です。王国の法律のどこを見ても、『王国最強の騎士団長が、突如として辺境の一般市民を強制的に皇帝に仕立て上げて結婚式を挙げる行為』を直接取り締まる条文が存在しないのです!」

「なんでだよ! そんなピンポイントな法律があるわけないだろ、普通に『強制結婚の禁止』とかないのかよ!」

「それがですね……」ルキウスは青ざめた顔で頭を抱えた。

「この街全体が、住民の総意によってすでに『独立した暗黒帝国(※誤解)』として機能しているため、王国の地方自治法が適用されない空白地帯と化しているのです。さらに、婚姻届の保証人欄には、すでに街の有力者や元監査官である私の名前が勝手に代筆・登録されかけており、法的な抜け穴が完全に塞がれています……!」

「詰んでるじゃねぇか!! 俺の意思はどこに行ったんだよ!」

ライルが頭をかきむしって絶叫すると、アルベルトは慌てて自分の胸ポケットから特製の胃薬を取り出し、ライルの口にそっと……ではなく、自分の胃に流し込みながら落ち着いた声で言った。

「まあ、そう慌てなさるな、ライル殿。法律がダメなら、実力行使による一時的な国外逃亡という手もありますが……外の様子を確認しましたか?」

「外……?」

ライルが怪訝な顔をしながら窓の外をそっと覗き見ると、そこには思わず二度見したくなるような光景が広がっていた。

街の路地裏や、ライルの家の周囲を、黒マントをまとった怪しい一団――昨日の今日で命乞いをして生き残った、元暗殺ギルド「黒い夜の翼」の面々が、なぜか忍者のような完璧なステルス陣形を組んで、近所のゴミ拾いや雑草むしりを真面目に行っていたのだ。

しかも、その動きが異常にキビキビしている。

「おい……あいつら、昨日の今日で何やってんだ……?」

ライルが引きつった声を漏らす。

アルベルトが静かに説明した。

「昨夜、彼女シルヴィアから『我が君の結婚式の邪魔をする不届き者は、全員庭の肥やしにします』と温かいお言葉をいただいたそうですよ。それ以来、彼らは『もし次の式を失敗させたらあの騎士団長に全員消される……!』という恐怖から、死ぬ気で街の治安維持と防衛警備を自主的に始めているのです」

「普通の一般市民のフリをするのすら怪しすぎるだろあいつら!! なんか野良猫を保護するのに特殊部隊の包囲網みたいなフォーメーション組んでるぞ!!」

「さらに、害虫駆除には非致死性の暗殺用毒針を使っているとか……。治安が良すぎるのか悪すぎるのか分からない、奇妙な平和がこの街に定着しつつありますね」

アルベルトの言葉に、ルキウスも深々と頷いた。

「もはや外への逃亡も不可能です。私たちがこの街から一歩でも外に出ようものなら、あの元暗殺者たちが『まさか陛下(ライル様)の極秘任務ですか!? 私たちもお供します!』と言って、背後にピタリと張り付いて逃がしてくれません。実際に先ほど、私がトイレに行こうとしただけで特殊部隊に護衛されました」

「どんな過剰防衛だよ!! 俺のプライベートはどこへ行った!」

ライルはガクリとテーブルに突っ伏した。

王国の法律も使えない。物理的な逃亡も、過剰防衛すぎる元暗殺者たちによって封じられている。そして何より、肝心の「花嫁」であるシルヴィアの戦闘力と愛の重さは、もはや自然災害の域に達している。

「……もうだめだ。俺の平穏なスローライフの夢は、ここで完全に潰えたんだ……」

ライルが床に這いつくばって絶望に浸っていると、アルベルトとルキウスは顔を見合わせ、そして静かに立ち上がった。

「ライル殿。諦めるのはまだ早いです。私たち『秘密の胃痛同盟』は、いかなる絶望の淵にあっても、共に胃薬を飲み干す絆で結ばれているのですから」

「そうです。第二回戦の準備が進むというのなら、その準備の過程でいかにして式を『合法的にカオスにして自然消滅させるか』、その作戦を明日から再び練りましょう」

二人が差し出した胃薬のボトルを、ライルは涙目で受け取った。

こうして、真夜中の極秘作戦会議は、具体的な解決策が何一つ見つからないまま、ただ「胃痛の連帯感」だけを強固にして幕を閉じたのだった。

外では、元暗殺者たちが「陛下たちの夜会を邪魔するな――!」と音もなく警備を固め、黄金の要塞都市は、今日も今日とて奇妙な平穏(という名の地獄)に包まれていくのだった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

本編第36話、「真夜中の極秘・式典阻止作戦!? 胃痛同盟が不毛な抜け穴探しに奔走する件」いかがでしたでしょうか!

結婚式第二回戦を阻止するため、ライル、アルベルト、ルキウスの「胃痛同盟」が深夜の密談を行い、法律の抜け穴を探そうとするも完全に詰んでいることが発覚するというシュールなエピソードをお届けしました! さらに、命乞いをした元暗殺者たちが恐怖のあまりガチの治安維持部隊として街に溶け込み始めているという、おかしな日常の定着も描かれましたね。

逃げ場のないこの街で、ライルの運命はどこへ向かうのか……!?

「法律の抜け穴がなさすぎて草」「元暗殺者がすっかり街の便利屋(過剰防衛)になってて面白い」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や作品への評価(★)、感想などをよろしくお願いいたします! 皆様の応援が執筆の大きな力になります!

それでは、また次回の第37話でお会いしましょう!

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