表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

第4ラウンド:インファイトってのは勇敢な奴にしか務まらねぇ

エルフのリンドに無理やり肉を食わせ、ガリガリの体に「芯」を通したところで、俺は次なる地、ドワーフの鉄鋼都市へと足を踏み入れた。


「……おい、なんだ。この里は全員、横に広いな」


見渡す限り、岩のような胸板と、地面に届きそうな長い髭。


ドワーフ。こいつらなら、ヘビー級のパワーはある。だが……


「リーチ(腕の長さ)が、俺の半分もねえじゃねえか」


俺はため息をついた。

ボクシングは距離のスポーツだ。これじゃジャブを打つ前に、俺の腹に潜り込まれちまう。


「おい、人間! 何をブツブツ言ってやがる! ここは職人の街だ。用がねえなら、そのヒョロ長い腕を畳んでけえれ!」


一人のドワーフが、巨大なハンマーを振り回して威嚇してきた。


身長は俺の腰ほどだが、前腕の太さは俺の太ももくらいある。


「ハンマーか。お前、その道具がねえと何もできねえのか?」


「なんだと!? この『大地の槌』をバカにするか! 喰らえッ!」


ドワーフが猛然と突進し、ハンマーを振り下ろす。


俺は一歩も引かねえ。

その代わり、相手の懐に自分から飛び込んだ。


「……!? 消えた……!?」


「消えてねえ。……ここだ」


ドワーフの顎の真下。

ハンマーの柄の内側に、俺は潜り込んでいた。

ドワーフの短い腕じゃ、この至近距離インサイドでは何もできねえ。


俺はそいつの太い腹を、軽く左のフックを「置いた」。


「グハッ……!?」


「いいか、チビ。お前みたいな短足短腕には、それ相応の戦い方があるんだよ。……『インファイト』。聞いたことねえだろ?」


俺はそいつの首根っこを掴んで立たせた。

ドワーフは目を白黒させている。


「な、なんだ……今の動きは……。一瞬で懐に入り、逃げ場を塞ぐ……。これこそ、伝説の『転移魔法か!」


「いや、ただのステップだ。お前らドワーフは、その太い足と低い重心がある。……いいか、ハンマーを捨てろ。拳を握って、相手の懐でひたすら潜って打て。酒樽の中にいるつもりでな」


俺がそう言った瞬間、周りにいたドワーフたちが、一斉に金槌を投げ捨てた。


ガランガランと、高価な魔導武器が地面に転がる。


「おい、お前ら、何やってんだ?」


「師匠! 気づきました! 我らドワーフが武器を打っていたのは、この『拳』を鍛えるための準備運動だったのですね!」


「たぶん…そうだ! この短い腕こそ、超至近距離で相手の臓物を粉砕するための、最強の武器……!」


ドワーフたちは、狭い酒場で肩を寄せ合い、お互いの腹を叩き合う「ボディ打ち」の修行を開始した。


ドスッ、ドスッという重い音が響くたび、床が揺れる。


「……まぁ、威力は十分だし、いいか」


俺はドワーフ特製の、度数90パーセントはありそうな火酒を呷った。


喉が焼ける。だが、悪くねえ。


「師匠! これで俺たちも、あの『ヘビー級』になれますか!?」


「……ああ、お前らは今日から『ドワーフ級』

だ。…よし、次はもっとこう、さらにデカい……壁みたいな奴を探しに行くか」


俺の視線の先には、雲を突き抜けるような巨大な山脈。


そこに住むという「オーガ」たちの影が見えた気がした。

ジョン・L・サリバンの異世界階級制覇。

いよいよ、怪物(ヘビー級)どもの領域へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ