第6話「おじさん副局長」
『.....』
「.....」
セイのセリフに対して霧平がダンマリを決め込んだことで部屋はかなり冷え切っていた。
話し出すタイミングを見失い、ただただお互いを見つめ合う状態が続く。
(どうする....?気まずいったらありゃしねぇ、この状況で口を開くは大分キツい...)
そんなことを考えながらこの状況をどうにかすることを考えていた時だった。
エレベーターが開いて人が入ってくる。
「セイちゃん、お仕事お疲れ〜!!!」
その男はアロハシャツに短パン、そしてサングラスをかけていた。
「あぁ....いや、お〜ん....」
霧平は驚きを通り越して、ただただ戸惑う。
しかしこの男が来てくれたおかげで部屋の地獄のような雰囲気が解消されたのは事実。
『ありがとう、本当にありがとう....』
現にセイはこの状況が本当に苦痛だったらしく、机に頭を擦り付けながら男に感謝している。
「どうしたんだい、セイちゃん?また仕事で嫌なことでもあったのかい?それとも彼が何か?」
感謝しすぎて、もはや涙まで流しているセイを心配するようにそう問いかける。
『いや僕がカッコつけたのが悪いんだけどね?確かにいきなり連れて来られて「ようこそ」は意味わかんないだろうけど何も返さないのはつらいじゃん!?』
「あぁ〜、まぁうん。しょうがないね........ところで君と君が抱えている女の子は新しく入ってきた子かな?」
男はセイの愚痴を軽く流した後、こちらの方を向いて誰なのかと問うてくる。
「....館山霧平だ、こいつはさっきからずっと気絶してるから詳しくは知らん」
霧平はここで変に何かしても得はないと判断し、大人しく自分の名前と抱えている女のことを軽く説明する。
「なるほど....まぁその様子ならそんなに問題はなさそうだね!おじさんは田辺昌幸、一応ここの副局長をやってるんでよろしく!」
若干ぶっきらぼうな霧平の言葉を咎めることもなく、気さくに自分のことをそう紹介した。
『彼は本当によくしてくれてるよ....。ちょっと局長が真面目すぎるからね、職員の交流とかそういうものを色々やってくれているよ』
愚痴を繰り返す状態から復活したセイが昌幸を紹介する。
『昌幸、僕はこの2人の申請を出さなきゃいけないから。とりあえず彼女を寝かせて、この男だけでも局を案内してあげて』
「了解!....じゃあ悪いんだけど霧平くん、その子を抱えたまま着いてきてもらえるかな?その子だけベッドに置いたら君にこの局を案内しよう!」
セイのお願いを了承した昌幸はそう言うとエレベーターの方へ歩き出した。
霧平は大人しく着いていくのであった。
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