第10話「わからせ」
「....こいつ本当に俺らがどうにかする必要あるのか?」
「う〜ん....落ち込んだりしている人はおじさんも見たことあるけどこんなにすごいのは初めて見たよ」
ベッドの上をゴロゴロと転がり、呑気に寝言を言っている女を見て昌幸と霧平はお互い渋い表情を浮かべる。
「アキちゃんが困ってるのもわかるな....しょうがない、おじさんがなんとかしよう。霧平くんカーテン閉めて下がってくれる?」
昌幸は少し顔を引き締めると霧平にそうお願いする。
何かするつもりなのを察し、巻き込まれるのを避けるために大人しく従う。
「ほらいい加減に起きなさい!みんなに迷惑かけてるんだ、ここに来るって選択したんだからちゃんと働いてもらうよ!はっ!」
昌幸の声が響いた後、カーテンの中が恐ろしく明るくなる。
「みぎゃー!!!」
カーテン内から女の悲鳴が上がる。
少し経って、カーテンが開く。
「うぅ....ひどい。気持ちよく眠っていたのにこんな方法で起こすなんて」
先ほどまでベッドに寝転がっていた女が昌幸にシャツの襟を掴まれて持ち上げられていた。
「ほら行くよ、顔合わせの準備は終わっているんだ。これ以上おじさん達を困らせないでくれよ」
「いやです、後もう30分は寝ないと気がすみません!」
昌幸はなんとか自分で動いてもらおうと説得するが女は聞く耳を持たない。
流石にイライラしてきた霧平は昌幸に手を離してもらって、自分が女を持ち上げる。
「おい、女。あんまりふざけた真似ばっかしてるとこれで1発殴るぞ?」
左手でバットをちらつかせながら脅しをかけると女の表情がどんどん青ざめていく。
「ハイっ、動きます!まだいまいち何が何だかわからないですけど動きます!」
そう言いながら、先ほどの体たらくからは考えられないほどのスピードで立ち上がった。
「あんまり手荒なことをしちゃダメだよと言いたいところだけど....今回はナイスだよ!霧平くん、本当にありがとう」
昌幸はそう言って霧平に感謝する。
「ほらおっさんについていけ。お前のせいで俺は色々と面倒なことになったんだ、早く進め!」
「ハイ....!」
少し強めの口調で命令すると女は面白いように動く。
その後も同じように時々命令しながらエレベーターに乗って、他の職員と顔合わせする場所へ向かったのであった。
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