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Blood&Curse  作者: 果実 佑
第1章 ユーヴェル
3/4

2話 紅の騎士 前半

ごめんなさい!!

今後重要になってくるキャラの登場回なのですが本当に説明だけです…。

今後後何話かでしっかり話として出すので…

人混みをかぎ分け一番前へ出ると、少女に向かい一方的に話しかけている男の姿があった。


「えっと…ギルドに何の用かな?」


……


「ここは戦闘狂の馬鹿どもが集まっててガヤガヤとうるさいしティータイムにはあまり適さない場所だと僕は思うんだけどな」


ニコッと笑顔を作り


「どうかな?こんなうるさいところで1人でティータイムを楽しむよりあっちに静かな場所があるんだ。そこで俺と2人でお茶でも」


勿論返事は返ってこない。

男の顔がぴきりと固まった。


少女はギルドに着くなり紅茶のセットを注文した。勿論無言で指差しで。


見慣れない髪色で1人ティータイムを楽しむ少女。顔立ちも綺麗なことから徐々に野次馬が出来上がっていったらしい。彼女は気にも止めていない様子だけど。


話しかけても無反応を続ける少女についに男が折れた。


「ふぅ」


「ようビュー。お前がお手上げとは珍しいな」


「カナ。本当にお手上げさ。この子は誰が相手をしても無理なんじゃないかなって思うよ」


自分が無理なら誰にもできないという意味だろう。

事実ビューは女性相手にこんな反応をされた経験は無い。


ビューテ=ネスク。紅色の髪と真紅の瞳を持ち、《紅の騎士》の異名を持っている。腕も立ち、ユーヴェルのギルド内でも五本の指に入る実力の持ち主だ。爽やかなルックスと誰とでもすぐに打ち解けられる性格は俺も正直羨ましいと思っている。気さく故に恨みを買うことも多いが、それでも余りある好感を得ている。


ビューテ自身も自分ならいけると判断して声を掛けたわけだが結果はご覧の有様だ。ギルド内もビューテが白旗を上げたことに驚いている者、ざまぁと笑いをこらえてる者の半々に分かれている。ほぼ男女でだ。


「それにしてもお前にも無反応とはちょっと驚いてるよ」


「うん。これは自惚れかもだけど僕もちょっと信じられないかな」


__本当に自惚れんな!


「でもまぁ俺たちだってよくここにふらっと立ち寄って行くことだってあるし、あの子もそんな感じなんじゃないか?」


「そうだね、綺麗な子だしあの髪の色はここでは目立つからみんな興味しんしんみたいだけどその内飽きるだろうからね」


「だな。ほとぼりが冷めるまでそっとしておこうぜ」


「うん。……ところで、なんだか君から異臭が漂っているんだが…」


鼻をつまみ目を半開きでこちらをみる。


「あー、やっぱり結構臭うのな…。とりあえず風呂に入ってくるわ」


「そうするといいよ。なるべく早くに、ね」


「はいはい」


ギルド内にある湯浴み部屋へ向かうか風呂屋に行くか迷い、たまにはと風呂屋に向かう。

匂いを落とすだけなら湯浴み部屋で十分なのだが、時間も時間だし、何より疲れを癒すには湯に浸かるのが一番だと考えたのだ。湯浴み部屋は小さな桶に湯が入っているだけだから。


夕暮れ時、一番街が活気を増す時間帯。仕事終わりに酒にありつく男たちを横目に通り過ぎると目的地《風呂屋ミネ》に着く。


「おーっす」


「いらっしゃい!あ、カナ!最近顔見せないからどうしたかと思ったよ!」


ガラッと扉を開け、声をかけると名物おばばことミネさんが番台に座り返して来た



「そんなに毎日来るところでもないだろう」


「風呂屋なんだから毎日来ていいんだよ!あんた二、三日に一回くらいしか湯浴みしないんだから!冒険者なんだから湯浴みくらい毎日しなさいよ!」


「はーい、次から気をつけますよと。あ、いつものね」


「全く。あーいよ!今五番と七番が空いてるけどどっちにする?」


「むむ!そーだな…今日は五番にしとく」


「あいよ!」


ミネさんから鍵を受け取ると階段を登り特別室へ入る。


特別室は身体の不自由な人や訳あって公衆の面前に身体を晒すことの出来ない人の為の個室の風呂だ。

俺は後者の公衆に身体を晒すことができない部類に入る。


特別室に入ってすぐ服を脱ぐ。1分と経たないうちに全裸になると桶で湯をすくって頭から被る。

適当に石鹸で身体をこすり、また湯をかけ泡を落とす。

表面上は綺麗になった身体をたっぷりと湯が貼ってある湯船に浸からせる、ら


「ふぅ」


__気持ちいい


全身に染み渡るような感覚に思わず声を出す。


湯船に浸かると自分が今日どれほど疲労していたのかが分かる。この湯はミネさんが特殊調合したマナダイトを使って沸かしている。その効果は傷口を活性化させ治りを早くする効果を持つ。


ふと自身の体を見つめる。

腹部には根深く刻まれた赤黒い刻印がある。生涯人に見せるわけにはいかない。これはカナ=フライムという人間の最も恥ずべき恥部であるから。当然この湯では消えることない。



ある程度体が温まったらすぐに湯船を出て服を着る。これ以上肌を晒してもしものことがないとも言い切れない。油断は禁物だ。


「おや、もう上がったのかい?」


「うん、もう十分温まったからね。いいお湯だったよ傷もばっちり治ったしさ」


「そーかい、それならいいんだ。ほれ」


ミネさんは満足そうに頷くと俺に向かって何かを放った。


「っと、お!ミルク、いいの?」


キャッチしたのはよーく冷えたミルクだった。風呂上がりには最適な飲み物だ。


「あぁ飲みな!そのかわりちゃんと毎日風呂に入れとまでは言わないけど湯浴みくらいはするんだよ!」


「はいはーい。それじゃありがと」


ミルクを手に店を後にする。


外は少し肌寒いくらいだがお風呂で火照った体にはちょうどよく、寒いというより涼しい感じだ。

帰路の途中店で串肉を買いそれを食べながら帰る。


__なんか見られてるな。


風呂屋を出たくらいから視線を感じていた。それだけならこの人混みだしそこまで不自然じゃない。しかし串肉を買っている際もその視線が途切れることはなかった。これは明らかに不自然だ。

__面倒だけど…確かめてみるか。


串肉を口に咥えミルクを皮の鞄に放り込むと、薄暗い裏路地に向け走り出した。


数分間全力ではないが人気のない場所目指し足を動かし続ける。走り出した当初は視線も感じなくなったがなんとなく人の気配がする。


__やっぱり追いかけてきたか


追いかけられる理由に心当たりはなくもない。

カナはユーヴェルのギルドで五本の指に入る実力者だ。しかし、レベルは決して高くない。

ギルドのトップクラスとなればレベルは七以上が求められる。十段階のうちレベル七となれば十分トップクラスの力の持ち主だ。

レベルはどのギルドでも開示が義務付けられているため隠すことはできない。ユーヴェルのナンバーワンは現在レベル八であり、他の五本の指にに入る冒険者も全て八に到達している。


しかしカナの公式発表されているレベルは三。それもある一定の期間から全く変動していない。

今でこそみんなカナの実力を知っているのでそれを口にする者はいないが他のギルドから来た冒険者に決闘を申し込まれることが今でも少なくない。


おそらく今回のこれもその類の輩だろう。

カナを闇討ちでもして名声を得ようとでも考えているのではないだろうか。


いつもなら適当にあしらうか返り討ちにして終わりなのだが今日はそうもいかない。


__今日はもう寝たい…。またいつか相手してあげるよ。


カナはステータスを全開にして直帰した。


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