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2匹の獣

更新遅くなりました。「誰がドロシーを殺したか?」の第8話?です。読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

<オズの国>


「どうしたんですか?」

地面を這って何かを探しているライオンにブリキの木こりが話しかける。

「ああ…ブリキの木こりか。なんでもないよ。」

ライオンは驚いたようにびくりと肩を震わせた。そして、いつも通りの表情を繕ってブリキの木こりを振り返る。

「そうですか?何か探しているように見えたので…。」

「そんなことないよ。特に探すものもないだろう?」

ブリキの木こりがそう問いかけるとライオンはわざとらしく上体を起こして、何もないと言うように両手を挙げる。

「そうですね…。あ、そういえば昨日この森に誰か来たようですが、誰だったんでしょう?」

「シュルトとグリモワが来ていたぞ。たまに来てるだろう?」

「ああ…盗賊団の方々だったんですね。そのほかにはいらっしゃいませんでしたか?」

「いなかったな。」

ライオンは息をするように嘘を吐き、ロゼとリズの存在をブリキの木こりには

言わないことにしたらしい。

「そうですか。ちょっと気になることがあるので失礼しますね。」

「ああ。」

そうしてブリキの木こりとライオンは一度別れた。ブリキの木こりは深い森の出口に向かって行った。



ロゼとリズ、そしてシュルトとグリモワは深い森を抜けてシュルトを先頭にしばらくどこかに向かって歩いていた。

「どこいくの〜?」

土地勘のないロゼとリズはどこに向かっているかさっぱりわからなかった。

「エメラルドの都だ。そこにオズがいるんだぜ?」

シュルトが足を止めずに得意げに言った。

「あんたらそんなことも知らねぇでオズのとこに行くんだー、とかって言ってたのか?」

グリモワが呆れたようにロゼとリズを見やる。

「しょうがないだろうが。とりあえず黄色の道を辿っていけばオズってやつに会えるって言われたんだし。」

リズが少し拗ねたようにグリモワに言った。

「そーだそーだ!あの女の子が言ってたもん!」

リズに続いてロゼも拗ねたように声を上げる。

「悪かったって。んでその女の子ってのは誰だ?」

グリモワは降参と言ったように手をひらひらと胸の前に挙げて見せる。

「なんか青いお家の子だったよ〜?双子っぽかった!」

「そういえば、女の子がいた村っぽいとこだけ真っ青だったな。」

それを聞いてシュルトが後ろを振り返る。

「そりゃあマンチキンだな。青い村みてぇなとこはマンチキンの国ってとこだ。」

ロゼとリズはやっと名前を知れて謎が解けたように納得した。

「聞いてもあの女の子たち教えてくれなかったんだよね〜。」

ロゼはあの双子の女の子、マンチキンの双子が教えてくれなかったことを思い出したのか不満だと言わんばかりに口を尖らせた。

「教えてくれてもよかったと思うんだけどね。」

それにリズも便乗するように不満を口にする。

「それもそうだな…。マンチキンは気がいいやつが多いはずなんだけどな。」

「そうなの?あんまそんな感じしなかったよ〜?」

グリモワが不思議そうにマンチキンのイメージを頭の中に思い描く。

「そうだな…。俺様が昔マンチキンの国に出向いてやった時は気前のいい奴らだったぜ?」

シュルトのその言葉にリズが怪訝そうに眉を顰める。

「だいぶ感じの悪い女の子たちだったぞ。」

「まぁ機嫌でも悪かったんじゃねぇの?」

シュルトがそう言うとマンチキンたちは機嫌が悪かったと言うことで場が治った。


「あとどんくらいで着くの〜?」

歩くのに飽きてきたらしいロゼが暇だと言わんばかりに駄々を捏ね始めた。

「あとちょっとだっての。」

もう何度も聞かれているらしく、グリモワが苦笑しながらロゼを宥める。

「あれはなんだ?」

リズが今4人が進んでいる道の少し先の方を指差す。そこには大きな底の見えない穴が空いていた。

「こりゃ派手に空いてんな!」

シュルトがその大きな穴に気づくと特に問題はないとでも言うようにガハハと笑う。

「何笑ってるんだよ。どうやって通ればいいんだ?」

リズが不機嫌そうにガハハと笑うシュルトを睨む。

「あ〜?俺様がなんとかしてやるって!」

機嫌が良さそうに笑いながら大きな穴の淵まで歩いていく。

「とりあえずグリモワからだな。」

「絶対落とさねぇでくださいよ?」

恐る恐ると言ったようにグリモワがシュルトの手を取る。そしてシュルトがグリモワを抱き上げた。

「本当に落とすなよ?フリじゃねぇっすからね??」

「大丈夫だって。俺様が落とすわけねぇだろ?」

「いやだってこの前…」

グリモワが言い切る前にシュルトが前触れもなく宙に浮かんだ。

「よし!行くぞー。」

「飛ぶ時言えって毎回言ってんのに…。」

グリモワは絶対に落ちるまいとシュルトに強くしがみつく。

「おいっ、痛いだろうが!爪やめろ!」

「急にあんたが飛ぶからだろ!?」

シュルトとグリモワはこう言った状況に慣れているようで大きな穴の上を飛びながら言い争っている。

「見てよリズ!飛んでるよ!」

ロゼはその場でぴょんぴょんと飛び跳ねながら満面の笑みで視線をリズの顔と飛んでいるシュルトと抱き上げられているグリモワを行ったり来たりさせている。

「いや…何それ。」

リズはぽかんとした顔でシュルトたちの方を眺めている。シュルトは大きな穴の反対側にグリモワを運ぶと、また大きな穴を飛んで双子の元に戻ってきた。

「次はどっちが行く?俺様が運んでやるよ。」

シュルトは得意げに笑みを浮かべる。

「はいはい!!」

ロゼが元気よく手を挙げる。

「んじゃてめぇから行くか!ほらつかまれ。」

「わーい!」

シュルトがロゼを抱き上げると、ロゼはシュルトの首にぎゅっと腕を回してつかまる。

「いや…ちょっ…」

リズが止めようとしている間に二人はさっさと飛び去ってしまった。またもやぽかんとしている間にシュルトはロゼを大きな穴の向こう側に下ろして、リズの元に戻ってきていた。

「てめぇで最後だぜ〜?」

シュルトはニヤつきながらぽかんと突っ立ったままのリズを抱き上げる。

「え?ああ…ありがとう?」

「ハッハハ!んじゃいくぞ?」

リズはぽかんとしたまま大きな穴の向こう側にシュルトに抱えられて渡り切った。

「そんじゃいこーぜ。」

全員がわたり切ったと確認するとグリモワがさっさと歩き始めた。

「いこー!」

ロゼもグリモワに続く。そしてシュルトも歩いて続こうとしたが、リズが歩き出さないのを見てリズの手を引いて歩き出す。

「シャキッとしやがれ!」

シュルトがリズの背中を叩く。

「いった…。何するわけ!?」

リズはすぐにシュルトから飛び退いて背中を庇うようにさする。

「てめぇがぼさっとしてやがるからだろ?」

「だからって力加減って知らないの!?」

リズはスタスタと先に歩いてロゼの隣を歩く。

「なになに〜?」

「なんでもない!」

リズはロゼの腕に自分の腕を絡めた。シュルトは後方であちゃーっという顔で後頭部をぽりぽりと掻いていた。そうしてしばらく歩いていくと急に先頭を歩いていたグリモワが止まった。

「なんかいるぞ。」

後ろを振り返ってシュルトと目を合わせる。

「なんだよ?さっきのやつか〜?」

面倒くさそうにグリモワの元に歩いていく。

「わかんねぇっす。」

「どこにいるんだ?」

グリモワとシュルトはキョロキョロと前方を確認する。だが双子の真後ろに大きな影がかかる。

「なんかいるのか?」

リズが不安そうに一歩前に出ようとするが、目の前に何かの唾液のようなものが上から垂れてきた。

ロゼがリズの腕にしがみつく。真後ろには先ほどシュルトが気絶させた獣と同じように体がクマ、頭がトラの見た目をした奇妙な獣が口を開けて居座っていた。

「そっちかよっ…!」

シュルトが素早く弓を構えるが、今にもリズとロゼに噛みつきそうな獣が2匹。間に合いそうになかった。

「こっちこいよ。」

グリモワがそこら辺にあった石を投げて奇妙な2匹の獣の意識を誘導する。幸い獣たちはグリモワの誘導に夢中になってくれた。

「いこ!」

ロゼがリズの手を引いてシュルトの元に駆け出す。

「よし、いい子じゃねぇか。」

シュルトの手の届く範囲までくると、シュルトが二人をぐいっと引き寄せて獣からとうざける。シュルトが獣と双子の間に入る。

「おい、避けろ!」

グリモワにそう叫んでからシュルトは弓を構え直す。グリモワが弓の軌道から外れたのを確認してから矢を放とうとしたその時、急に2匹の獣がその場で苦しみもがき始めた。

「あ?なんだ…?」

囮になっていたグリモワも足を止めて2匹の獣を怪訝そうに観察する。

「おいおい…なんだこいつら?」

シュルトも一度弓を下ろして獣たちに近づく。双子は相変わらず二人で固まって、動かずにその獣たちを見ている。

「どうなってんだ…?」

やがて2匹の奇妙の獣はそのまま横たわってパタリと動かなくなった。

「おい、首見てくださいよ。」

グリモワが何かに気づいて片方の獣の首元にしゃがみ込む。それに続いてシュルトもしゃがむ。

「あ?なんだこれ。」

先程までなかった何やら縄で絞められたような跡が首にあった。

「縄なんて使ったのかよ?」

シュルトはグリモワの装備を今一度確認するがそれらしきものは見当たらない。もちろん周りにもあるはずがなかった。

「なに…?死んだの…?」

遠巻きに見ていたロゼがリズの腕にしがみつきながら恐る恐る口をひらく。

「そうみてぇだな。まぁラッキーか?」

「ラッキーって…なんで死んだの?」

ロゼに続いてリズも口を開く。

「さぁな。気味悪ぃもんはほっとけ。この世界にいたら山ほどあるぜ?」

「そうだな。とりあえずあんたら、オズに会いたいんだろ?先進んだ方がいいんじゃねぇか?」

シュルトが特に気にした様子もなく立ち上がって双子の元に歩み寄るのを見て、グリモワも双子を安心させるように続いて口をひらく。

「そういうものなのか…?」

リズが少し安心したようにシュルトを見上げる。

「ああそうさ。不思議なもんだらけなんだぜ?」

「ほらいこーぜ。」

グリモワも気にすることなくエメラルドの都へと歩みを進める。それを見てロゼとリズも足を前に、一歩一歩踏み出す。互いに手を繋ぎながら。



そして、4人が去った後その2匹の獣は次第に腐敗して地に帰った。クマのような模様の描かれた目玉と、トラのような模様の描かれた目玉を残して。


読んでいただきありがとうございました。また数日以内に更新しますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

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