ケシ畑
めちゃ遅くなりました…!「誰がドロシーを殺したか?」第9話です。最後まで読んでくださると嬉しいです。よろしくお願いします。
<カンザス州の農村>
カンザス州の隣にある大きな森の中。ロゼとリズ、双子の母親が住んでいた家がある場所。その近くに仕掛けられた罠には、丸々と太った体長3メートルほどもあるグリズリーがかかっていた。そしてそこからそれほど離れてない場所に仕掛けられていた罠には体長2メートルほどのサーベルタイガーがかかっていた。罠にかかった2体とも腐敗が進んでおり、やがて地に還った。そしてその2体がかかった罠はかつてロゼとリズが家を守るためにと、仕掛けておいた罠であった。
<オズの国>
4人はしばらく歩いて、深い森を抜け、明るい道に出た。
「これで深い森は抜けたな!」
シュルトを先頭に4人が深い森から抜けてきた。
「この後はどこに行けばいいんだ?」
とりあえず双子はシュルトとグリモワについていきながらも、どこに行けばいいのかわからずに歩みを進める。
「俺様についてくれば確実だぜ?」
シュルトが双子を振り返り、自信満々に胸を張らせた。
「はーい!」
ロゼはるんるんでシュルトの後ろをくっついていく。
「本当にこっちであってるの?花畑しか見えないんだけど。」
リズは道の先にケシらしき花の花畑しかないことに怪訝な顔を見せる。
「安心しろって。ちゃんとこの先にあるよ。」
グリモワがリズの頭にポンと手を置いて言った。
「それならいいけど。」
リズは少し照れたように顔を背ける。
「お花畑だー!」
ロゼは広い花畑にテンションが上がったようで、走って花畑に突っ込んでいく。
「おい!止まれ!」
シュルトが止めようと手を伸ばしたがロゼには届かず、ロゼは花畑に走り去ってしまった。
「なんかまずいのか?ただの花畑だろ。」
リズはなにを止める必要があるのかとでも言うようにきょとんとしてシュルトに問いかけた。
「見てりゃわかる。」
もう手遅れだと言う顔でシュルトが答えた。
「なんだよその顔…」
リズがそう言い切る前に花畑の方からドサっと何かが倒れるような音が聞こえた。その音にリズが素早く花畑の方に顔を向ける。
「ロゼ…!?」
リズは花畑の中にロゼが倒れているのを見て焦ったように花畑に駆け出そうとするのをグリモワにひょいっと片腕で抱えられて、止められた。
「ちょっ…離せって!」
「一回落ち着けよ。あの花畑のせいで寝てんの。ロゼは。」
グリモワが淡々とリズを牽制しながら告げる。
「はぁ?どう言うことだよ!離せ!クソジジイっ!」
リズはグリモワの言葉の意味がわからず、バタバタとグリモワの腕の中で暴れる。
「クソジジイ?俺が?」
グリモワはぽかんとして腕の力を緩めてしまった。
「ロゼ…!!」
その隙にリズはグリモワの腕の中から抜け出し、花畑の中に駆け出した。
「っははは!てめぇなにやってんだよ。」
シュルトが息も絶え絶えに笑いながらグリモワの肩に手を置いた。グリモワはリズを離してしまったことに気付いたのか、ハッとして耳を真っ赤に染めた。
「笑うなよ。」
グリモワは耳の赤さを隠すように、ジロリとシュルトを睨んだ。
「悪かったって。」
シュルトはまだ笑いがおさまらない様子でグリモワを見ては、吹き出している。
「笑ってねぇであいつらどうするか考えやがれっ!」
グリモワは耳をさらに真っ赤に染めながらシュルトにゲンコツを食らわせた。
「いってぇ!?んだよ…悪かったって言ってんじゃねぇか。」
シュルトはやっと笑いがおさまったようで、叩かれた頭をさすりながら花畑の方に目を向ける。
「どうすっかなぁ〜…。」
「つーかあのガキども看板見てねぇのか?ケシ畑って書いてあんだろ。」
グリモワは頭を悩ませながらシュルトに目を向けると、シュルトは看板を見つけたようで呆れたように花畑の中で仲良く眠っている双子に目を向けた。
「リズの方まで眠っちまって…仲良しだな。」
「そんなん言ってる場合っすか…?」
二人はしばらくその場で悩んだ。
「よし!息止めて、あいつら抱えて走りゃいいんじゃねぇか?」
「心中したいんすか?」
「はぁ?誰が野郎と心中したがるよ?」
「いや、無理があるだろ。距離考えてくださいよ?」
グリモワは呆れたとでも言うようにため息をついて、シュルトから一歩離れた。
「じゃあどうすんだよ?」
「それを今考えてるんじゃねぇんすか?」
「飛んだって無駄だもんなぁ…。」
「どこまで行けば眠らないで済むのかわかんねぇっすもん。」
二人はあまり良くはない頭で考え続けて気づけば1時間ほど経っていた。
「そういやボス、あんたあの双子浮かせねぇの?」
「あ?舐めてんのか?浮かせるに決まってんだろ?」
その言葉に二人は顔を見合わせて目を丸くした。
「なんで先に言わねぇんすか…。」
「なんで先に聞かねぇんだよ。」
「え、俺のせいっすか?」
二人とも悩んでいたのが馬鹿馬鹿しくなり、花畑の横にある細道を歩いて花畑を抜けた先に行き、シュルトが魔法と呼ばれるもので双子を浮かせて自分の元に引き寄せた。
「最初からこうすりゃ良かったんじゃねぇか。もっと先に言えよ。」
シュルトはジトっとグリモワを睨みながら言う。
「いやボスのできることなんてそんな全部把握してないし…。」
「でも俺がこいつら浮かせて運べるって知ってたじゃねぇか。」
「そりゃそうっすけど、自分の能力くらい把握しといてもらわないと…」
「俺が悪いってか?」
「…俺が悪いでーす。」
シュルトが拗ねたようにグリモワに言い返しているとグリモワは面倒臭くなったらしく、適当に会話を終わらせた。
「つーかこいつら起きるまで待つか〜?」
「まぁ待つしかねぇんじゃねぇっすか?」
「俺様は寝てるからこいつら起きたらおこせよー。」
そう言ってシュルトはすぐ近くにあった大木の幹に寄りかかって座って、目を閉じてしまった。
「え、俺暇になるんすけど…。」
「知らねぇ。」
少しするとシュルトは寝息を立てて眠り始めた。
「はぁ…待つか。」
グリモワもシュルトの隣に腰を下ろして双子が目覚めるのを待った。
2時間も経とうかと言う頃、ロゼが身を捩り目を開けた。
「あれ…?今なんじ…?」
ゆっくりと上体を起こすとキョロキョロと周りを見渡す。
「やっと起きやがったか?」
「あれ、リズは?」
「そこで寝てるぜ?」
まだ寝起きでぼんやりとしながらリズを探すロゼにグリモワがロゼの隣で眠ったままのリズを指差す。
「おまえが起きたんだからもうちょいしたらそっちも起きるんじゃねぇの?大人しく待ってろ。」
「なんで寝てるんだっけ…?」
ロゼはぼんやりとしたまま眠そうに目元をこすりながらきょとんとした顔で首を傾げた。
「そりゃおまえが勝手にケシ畑に走って行ったからだろ。」
「ケシ畑?」
「あそこの花畑のことな。」
グリモワがロゼの後ろの方に見える先程までいたケシ畑を指差した。
「お花畑じゃなかったの〜?」
「まぁ花畑って言われたら花畑だな。ちょっと危険な花畑ってとこか?」
「危険なの?」
「ほら、おまえもさっきまで眠ってたろ?あの花畑はな、匂いを嗅ぐと眠っちまうっていう花畑なんだよ。」
ロゼはまだよくわかっていないようでこてんっと首を傾げている。
「おまえら双子を俺らがこっちまで運んだんだよ。あのまま花畑で眠ってたら死ぬまで眠り続けちまうんだぜ?」
それを聞いてロゼはばっとリズの方を向く。
「リズ起きる…?」
「そのうち起きると思うぜ?おまえも起きたしな。」
その言葉に安堵したようにロゼが肩から力を抜く。
「待ってればいいの〜?」
「ああ。待ってりゃ起きてくれるだろうよ。」
「じゃあ待つ!」
ロゼはリズの頭を自分の膝に乗せ、優しく髪を撫でながら起きるのを待った。
そして数十分待っていると、リズの瞼が震えた。
「ん…?」
リズの瞼が開いたとわかると、パッと目を輝かせ安堵したようにロゼがぎゅっとリズを抱きしめる。
「起きた!?リズ起きたー!!」
「なに…?苦しい…。」
起きたばかりでぼんやりしながらもリズはロゼの腕から逃れようとロゼの腕を掴む。
「おー、やっと起きたか。んじゃうちのボスも起こしますかね…。」
グリモワはきゃっきゃっと騒いでいる双子を他所にぐっすりと眠っているシュルトを起こそうと立ち上がり、肩を揺らす。
「ボス〜。双子起きたっすよ。」
何度か強く肩を揺らしてみたがなかなか起きない。
「ボス〜?叩くっすよ?怒らないでくださいよー?」
グリモワはバシッと割と強めに頬を叩いた。
「あ?んだてめぇ今俺様のこと引っ叩いたか?」
不機嫌を隠そうともせずに鋭い目つきで瞼を開けた。
「お、起きた。双子も起きてるっすよ?」
「あ?あー!やっと起きたか!」
シュルトはガバッと立ち上がり、双子の間に遠慮もなしにしゃがんで肩を組む。
「てめぇら俺様を待たせるとはいい度胸だなぁ?」
そう言いつつも嬉しそうに双子の肩をバシバシと叩く。
「痛いんだけど。」
「起きたよー!」
リズは眉間に皺を寄せながらシュルトの腕の中から抜け出し、ロゼはニコニコと嬉しそうに笑いながらシュルトの腕の中に留まった。
「起きたなら先に進むか?もう少しでエメラルドの都につくと思うが…」
グリモワも立ち上がって双子のもとに歩いていきながらそう言った。その言葉を遮るようにロゼが元気よく立ち上がり、ぴょんと跳ねて言った。
「いこー!」
「元気だなぁ!」
シュルトもそれに続いて歩き出し、先頭に出て案内する。その後ろにロゼとグリモワも続いていった。
読んでいただきありがとうございました。次は数日以内に投稿できるかと思いますので、よろしくお願いします。




