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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
2章 過去
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27/28

27、明日への恐怖

昨日は、泣き疲れで

そのまま、眠ってしまったらしい

朝、いつもより早い時間に起きた

何もすることがなく

ベッドの上で座っていた

秒針の音だけが鳴っている

ふと、時計を見ると

いつの間にか朝ごはんの時間になっていた

いつまで経っても来ない

ことねを呼ぼうと思った瞬間

昨日のことを思い出した

ことねは、もう私の世話係じゃない

私には、世話係がいない

熱などを出した時に使用人達を呼ぶ

電話に伸ばした手が止まる

呼ばない方がいいよね

そもそも、呼んだところで来ない気がする

だって、私あんなこと言ったもんね

そう考えていた時

部屋のドアが開いた

もしかしてと思い振り向くと

そこには、ことねではなく

嫌々来た感じの顔をしている

使用人が一人いた

一言も発することなく

車椅子の準備を始めた

私は、挨拶をしようと思ったが

結局無視されるんだろうと思い

何も言わなかった

淡々と作業を進め

私を車椅子に乗せ

部屋を出た

食堂から楽しそうな話し声が聞こえた

だけど、私が入った途端

みんなが静まり返った

一気に空気が重くなるのを感じた

早くここから立ち去りたい

けど、朝ごはんはできていて

テーブルにパンとスクランブルエッグや

野菜が乗ったお皿が2つ乗っていた


私が出ていかないことを察したのか

次々と理由をつけては食堂から出ていった

車椅子を押していた使用人は固定し終わると

そのまま、出ていってしまった

私は、ひとりでご飯を食べ始めた

食器同士が当たる音だけが響く


「1人だと食堂ってこんなに広く感じるのね」

そう呟いても

誰も、答えてくれない

ご飯を食べ終わっても

ご馳走様と言っても

美味しかった?

などと言ってくれる人はいない

誰も来ない

そうと思った私は

お皿を重ねて持ち

キッチンに向かった

ただ、シンクに手が届かなかった

お皿が落ちないように

ゆっくりと手を伸ばす

けど、届かない

試行錯誤しながら何度も繰り返している

その時、上から腕が伸びて

持っていたお皿を取り上げた

私は、上を見たまま

ポカンとしていた

そして、シンクをお皿が置かれた時

そこには、ことねの姿があった

突然のことで追いついていない

私を置いてことねは

パパっと洗い物を済ませ

出ていってしまった


何も言えなかった

私の中には、色んな感情があった

どうして来たのという疑問

嬉しいという気持ち

そして、罪悪感

そんな気持ちがぐるぐるして

動けず何も言えず

また、1人になった


お昼ご飯も一人で食べて

午後、部屋で勉強をしている

私は、その間

明日のことを考えていた

そう、明日は

交流会の日

交通事故の話がどこまで

広がっているか分からないが

お母様含めほとんどの人が

噂話が好きな人達だった

まぁ、今回の場合

お母様は、別の意味で広めていると思うけど

今の私にとって

唯一希望が持てる場所

そこまでもがなくなったら

私は、完全に1人になる

だけど、みんななら

そう期待している私がいた


結局、勉強は捗らないまま

夜になってしまった

また、嫌々来た顔をしている

使用人に車椅子を押されながら

食堂へ向かった

最低限のことはしてくれる

ただし、それ以外のことはしない

そんな雰囲気が出ていた

それでも、良かった

こんな私に最低限のことをしてくれる

それだけで良かった

視界に入るところに

誰かがいる

それだけで、少しは救われている

のかもしれない

だけど、やっぱり寂しい

1人になった時

ふと、そう感じる

その瞬間、周りが一気に静まり返り

自分がいる部屋が広く感じる

その時だけは、自分自身に

「大丈夫」と言い聞かせても効果がない

どんなに大丈夫、大丈夫と言っても

静かな空間、目を開けると見える

ただ、広いだけの部屋が

私を現実に戻す

音楽を流しても

動画を見ても

明日への恐怖は消えなかった

なら、寝てしまえばいい

そう思い横になるけど

このまま、寝てしまったら

すぐに朝が来る

そうすれば、交流会に行かなくてはならない

寝たくないと思うのに

目は段々と閉じて

体が脳が寝ると訴えてるようだった

しばらくして、私は

いつの間にか眠りについていた


「お嬢様、ひとつ聞いてもいいですか?」

「なに?」

「退院する前に義足の練習を

してたんですよね」

「そうね」

「でも、やっぱり車椅子ってことは」

「そう、なかなか上手くできなくて

今でも車椅子のまま」

「そうなんですね」

「でも、今は車椅子でも悪くないかなって

少し思ってきたの」

「どうしてですか?」

「あなたが押してくれるから」

「私は、いつでもどこでも押します」

「あはは、変な告白みたい」

「そうですね」

「でも、やっぱり自分で歩きたい

気持ちもあるの」

「いつか、一緒に隣を歩けるように

なったらいいですね」

「それは、いい考えね」

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