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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
2章 過去
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28/28

28、感情

朝が来てしまった

ベッドの上から動けずにいる

車椅子に座ってないからでは無い

怖いから動けない

ベッドからでたら

交流会に行かないといけない

こんなことをしている間にも

時間は進んでいくし

ただ、気持ちの問題だけだし

そんなことわかってるし

でも、無理なんだもん

その時になっちゃえば

行けるのかもしれない

だから、早く誰か来てくれないかなと

思っている私と

誰も来ないでこのまま

一日がすぎて欲しいと思っている私がいる


「神様お願いです

このまま、一日を終わらせてください」

そんな願いは届くはずもなく

部屋の扉が開いた

ことねが入ってきて


「お嬢様、交流会に行きますよ」

そう言われた時

私は、頷くことしか出来なかった

そのまま、私は黙って車椅子に乗り

家の外に出た

去年までは

楽しみだったこの道も

今となっては

進みたくない道

しばらくして

小さく交流会の会場が見えてきた


あぁ、今1人で歩いてたら

このままどこかに行けちゃうのに

無理だとわかっていても

何度もそう思ってしまう

車椅子じゃなかったら

歩けたら走れたら

私は、どこまで行くのだろうか

どこか、遠くの場所に

いや、そもそも

あの時私が飛び出さなかったら

今もずっと変わらない

楽しい日々があったはずなのに

少しずつ会場が大きくなってくる

時間は止まってくれない

ことねも止まってくれない

私は、動けない

私の鼓動はどんどん早くなる

呼吸が上手くできない

だけど、ことねに迷惑かけたくない


私は、行けば何とかなる

そう自分に言い聞かせて

会場の前まで行き

扉が開いた瞬間

怖くなり俯いた

そのまま、中に入った


一年に1回ある

子どものための交流会

最初はある一人の子が

引っ越してきたばかりで

馴染めないと親に相談したのがきっかけで

始まった近所の集まりだった

それが、だんだんと大きくなり

交流会という呼び名が定着していた


顔をあげると

中には友達がワイワイ楽しそうに話していた

特に堅苦しい挨拶とかもなく

来たら自由に過ごす感じの時間

ことねが車椅子を押す

しばらくして私は気づいた


みんな、目を合わせてくれない

たまたまじゃなくて

意図的に目を合わせないようにしていた

声をかけても無視

私から離れたところに集まっている

これじゃあ、家と同じ


交流会は毎回

10時から15時までの5時間

楽しかったはずの

あっという間だったはずなのに

今日は、長かった

どんなに時計を見ても

時間が進まない

だって、10分おきに見てるから

それだけ、今の私にとって

すごくつまらなくて

寂しいことだった

ことねも話してくれないし

周りには誰もいない

ずっと、みんなが楽しそうに話している

声と姿を聞いて見てジュースを飲むだけ


ここでも何も出来ないまま

長かった時間はすぎ

交流会が終わった

最後は、みんなで挨拶をする

私は、後ろの方で

小さく会釈をして

すぐに外に出て帰路についた

ことねは、一言も発することは無かった

私の中には

やっぱりかという気持ちと

やるせない気持ちがぐるぐると回っていた

次第に私は

また、泣き出しそうになっていた

もうすぐで家に着くというのに

顔に力を入れてないと

涙がまたこぼれてしまう

だけど、泣き顔で家に帰っても

誰も心配してくれないし

被害者ヅラしてると言われる


家に着くと

お母様と目が合った

心のどこかで

まだ、おかえり

そう言ってくれることを願っているみたいだ

この期待は、いつまで続くのだろう

だって、見てごらん私

あのお母様の顔

まるで、帰ってきたの?と言ってるようだ

私が目を逸らした瞬間


「可愛くない」

その言葉が飛んできた

私は、目を逸らしたまま

車椅子を動かした


ほら、やっぱりこうなるでしょ

いつまで期待してるのよ私

期待したところで何も変わらないの

だったら、いっその事

寄り添わなければいいのよ

だって、誰も寄り添ってくれない

それなら、私もそうすればいい

その方が楽でしょ

気も使わなくていいし

ビクビクしなくていい

そうよ、感情を出すから悪いの

感情を出さずに

心を閉ざしてしまえばいい


そうすれば、敵はいなくなる

だって、1人になれるから

暗い部屋にいる時と同じ

ただただ、黙ってればいいの

なぁんだ、簡単なことじゃん!


「みんな、嫌いよ嫌い

ことねも弥生も綾斗もお母様も

嫌いになっちゃえばいい」

私の口からはその言葉が出たことに

気づいたのは

言い終わった時だった


「私の過去はここまで」

「そんなことがあったんですね」

「お母様に可愛くないと言われとき

初めて、電動車椅子で

よかったと思ったわ」

「今までは思わなかったんですか?」

「ずっと、押してくれていたから」

「あ、なるほど」

「でも、自分で動かす時もあったの」

「そうなんですね」

「ねぇ、なにかして遊ばない?」

「え?」


突然そう言ったお嬢様は

少し微笑んでいた


「ほら、ずっと暗い話してたでしょ

だから、空気も重くなっちゃった

私、思い空気ってあまり好きじゃないの」

「それは、私も同じです

何して遊びましょうか?」

「そうねぇ……NGワードで遊びましょ!」

「いいですね、昔何度か

遊んだことあります」

「決まりね!」


「チッ、楽しそうに話して

しかも、過去の話してたわよね

なんで、あいつなんかに

生意気な使用人のくせに

まぁ、いいわすぐに身分というものを

分からせてあげるから」

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