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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
2章 過去
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26/28

26、伝わらない本音

次の日から私の生活は

終わりのない地獄になった

朝、ことねに車椅子を押してもらいながら

1階に行き

いつものようにお母様に挨拶をした

しかし、無視され

使用人たちや家に遊びに来る

大人達からは、陰口や

冷めた目を向けられ

朝も昼も夜も

ひとりでご飯を食べる日々

最初は、寂しいつまらないと思っていた

けど、段々となんとも思わなくなった

この生活に慣れてきた

使用人や大人たちの陰口は

無視すればいい

だけど、数人無視できない人達がいた

それが、ことねと弥生と綾斗だった


ことねは、私の世話係だから

という理由もある

けど、弥生と綾斗が私のそばを離れず

ずっと味方でいるのかが不思議だった

弥生は、歴が長く

みんなのリーダーだから周りを

自分の評判を気にするはず

綾斗は、真面目な印象

周りの個性が強いからか

あまり、目立たない性格をしている

だけど、彼もまた周りからの評判を

気にするはずなのに

なぜ、2人は私の味方になるんだろう

みんなにとって今の悪者は

お母様でもお姉様を轢いた運転手でもない

私だと言うのに


私は、自分と一緒にいたら

3人が不幸になる

特に、綾斗と弥生が

そう思って何度も

避けてきた

だけど、獲物を見つけた獣のように

どこまでも追いかけてきた

次第に、使用人たちの中

ある噂が広まっていた

弥生と綾斗もグルなんじゃないかと

ことねは幸い

世話係だからという理由で

ターゲットにはならなかったが

予想通り、弥生と綾斗に目線が行った


それからしばらくは

4人で過ごす日々が続いたが

お母様がついに動き出した

弥生と綾斗に告げたらしい

「このまま、叶恵につくのなら

あなた達をクビにする」

この言葉を言われ

2人は、少しの間私と距離を

置くようになった

これで、不幸にならない

そう思った矢先

結局元に戻った

2人は、気にしていないのか

それとも、覚悟の上なのか

私のそばに戻ってきた


ある日、私は

2人に言ってしまった

「なんで、私のそばに来るの?」

「私たちは、お嬢様の味方だからですよ」

「お嬢様は、何も悪くないと僕は思います」

「そんなの、ただの綺麗事じゃない

2人はただ、私のことを可哀想としか

思ってないんでしょ」

「そんなことないですよ」

「そんなことを言う

弥生は、リーダーの立場を守りたいよね」

「そんなことは」

「綾斗だってそうでしょ」

「……」

「ほら、2人とも気まずそうにしてるじゃん

だったら、来ないでよ

結局、2人とも自分が1番じゃん!」


そう言ったあと

我に返った

けど、もう遅かった

2人とも、俯いて一度頭を下げてから

去ってしまった

こんなことを言いたかったわけじゃない

本当は、聞きたかっただけ

どうして、私のそばにずっといるのか

いや、いてくれるのか

味方になってくれるのか

それを聞きたかっただけなのに

なんで、あんなことを

2人が私の事を可哀想だと思っているかなんて

実際分からないのに

違う、本当に可哀想だと思っているのは

自分自身なんだ

自分で自分を惨めに思って

それで、イライラして

2人にあたって


その時

「お嬢様、大丈夫ですか?」

ことねがそう聞いてきた

自分でもその言葉が

ことねの態度のどこが気に入らなかったのか

分からないほどムカついて

ことねにまで当たってしまった

私は、同じ過ちをこの短時間で

2度もやってしまった

ことねの顔は、呆れていた


次の日、私は実感した

ことねにも綾斗にも嫌われたんだと

ことねは、すぐに私の世話係を辞めた

綾人も私を避けるようになった

ただ、弥生だけは分からなかった

私のことを嫌っているのかどうか

ううん、嫌ってるはず


自分で自分を殺したくなる

人によっては

まだ、8歳の子ども

そんな、子どもの言うことを

真に受けるなんてありえない

そういう人もいるかもしれない

けど、そんな人も

私のあの姿を見ればきっと意見を変える

酷い言い方をして

罪のない人に当たって

自分のせいだと言うのに

まるで、自分は悪くない

あれは、事故だったんだと

言うかのように振舞って

被害者ヅラして

ほんとに私って


クズでどうしようもない子どもだ


そう頭によぎった瞬間

1粒の涙が出た

一人部屋で泣いている

止まらない涙

止めてくれる人などいない

誰も駆けつけてくれない

私は、家で居場所を失った

でも、わかっている

全部自業自得だってこと

みんなが私を避けていたんじゃない

私がみんなを遠ざけていた

近寄らせないように無意識にしていた

どうしてかは分からない

嫌いな訳でもない

ただ、信用出来ない

それでも、味方はいる

そのことはわかっているのに

みんなに優しくされる

自分にムカついていたからなのか

もっと惨めに見えたからなのか

どっちにしろ自己満で行動した

結果がこれだ

「はは」

小さく笑いが出た

もう、感情が分からない

ぐちゃぐちゃになっている

どうして、笑いが出たのかも分からない

ただ、逃げたい

楽になりたい

こんなに考えているのに

答えが出てこない

道も見えない

光もない


「やんなきゃ良かったよ

もっと、ちゃんとみんなの意見

聞けばよかった」

今までの後悔が全部出てくる

そもそも、私が飛び出したのが原因だ

そこから全てが壊れた

私が壊したんだ

自分の生活を

みんなのお母様の性格を

壊したのは、誰でもない

私自身だ

そして、私はずっと被害者ヅラ

どうして、こんな人が生まれたんだろう

どうして、お姉様が死んじゃうの

だったら、私が


死ねばよかったのに


今の地獄から逃げ出したい

けど、その術がない

次の日から、私の生活は

今よりももっと大変になった

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