25、仲良し家族
私とお母様とお姉様は仲が良かった
お父様は、私が物心ついた時には
いなかった
どえしていなくなったのかは分からない
何度聞いても誤魔化された
だけど、私には2人と
ここで働くみんながいたから良かった
一緒にご飯を食べて
お喋りして笑ってお出かけして
1年に1回ある交流会では
たくさんの友達が出来て
ゲームして走って遊んで
ずっと、笑っている毎日だった
誕生日は、いつも遊園地や
動物園に遊びに行って
お姉様の時は、お買い物をしたりして
私もお小遣いを出して
お母様と一緒にお姉様の
誕生日プレゼント買って
ケーキを食べていた
周りからもあんなに仲のいい家族は
なかなかいないと言われるくらいだった
お金持ちとはいえ
毎日贅沢をしているわけじゃない
誕生日とクリスマスくらいしか
贅沢をしないけど
それよりも、みんなと一緒にいれる方が
嬉しかった
だけど、そんな仲よし家族は長くは続かない
お姉様の12歳の誕生日
今年もお姉様が行きたいと言っていた
お店に来ていた
服が欲しいらしくて
色々なお店を見て回っていた
アウトドアパークに気に入る服がなく
別の場所に行くため
アウトドアパークを出て歩いていた
その時、反対側にお姉様に似合いそうな
服を見つけた私は
お姉様にあの服可愛いよと
言いながら走っていた
服に夢中で赤信号に気づかなかった私は
そのまま、飛び出してしまった
横から車が来ていた
運転手も私も気づいた時には遅かった
その時、私は押された
その瞬間、悲鳴が響いた
私は、朦朧とする意識の中
お母様がお姉様の名前を
叫んでいるのが微かに聞こえた
その時、自分の右手と右足の感覚が
ないことに気づいた
そのまま私は、意識を失った
気がついた時には病院のベッドの上だった
まだ、右手と右足の感覚がない
私は、恐る恐る見ると
なかった、私の右手と右足がない
こんな姿を見たことがない
立つことも
歩くことも
走ることも
何も出来ない
こんなとこは、経験したことがない
私、どうなっちゃうの?
このまま、寝て過ごさないといけないの?
もう、みんなと遊べないの?
あれこれ嫌なことが思い浮かぶ
お母様、お母様
いつもそばにいてくれるのに
今日は、いつまで経っても来ない
鼓動が早い
どうすればいいか分からない
動けないから何も出来ない
しばらくして、隣のカーテンが開いた
カーテンの中からお姉様とお母様がでてきた
見えなかっただけでそばにいたんだ
そう思った私は安心した
だけど、すぐに病室を出ていってしまった
お姉様は、動かないし
お母様は、泣いてる
私は、一人残されてしまった
またしばらくして
お母様だけが戻ってきた
私が「お姉様は?」と聞くと
「ねぇ、なんでなんで、飛び出したの?」
と低い声で聞かれ
私は、戸惑った
「ねぇ、なんで?」
「えっと、お姉様に似合いそうな
服があったから
ねぇ、お姉様はどこ?」
「京香は、死んだわ」
「え……」
その時、私は8歳だった
こんな子どもにすぐ理解しろなんて
無理な話だ
言葉が出ない私を置いて
お母様は、ずっと話している
「どうして、あんたのせいで
なんで、京香の誕生日だったのに
命日になっちゃったじゃない!」
「ご、ごめんなさい」
「謝っても戻ってこない
良かったわね、あなたはそれで済んで」
「……」
元々お母様は
お姉様の方がお気に入りだと思っていた
時折出る対応の差でそう感じていた
それでも、優しくしてくれる
同じように接しようとしてくれる
お母様が好きだった
そんな、好きなお母様は
もういない
この交通事故が原因で
お母様は、私のことを
邪魔者扱いするようになった
葬儀には、車椅子で出た
お姉様にごめんなさいを言いたい
けど、今すぐ帰りたい気持ちもあった
空気が違う
周りの大人たちの目が違う
私のことを悪霊や悪魔を見るような
目でチラチラ見て
ヒソヒソと話している
最悪なことに
私は、耳がいい
だから、あの人たちがヒソヒソ話として
している会話も全部聞こえていた
私がお姉様を殺したと広まっているらしい
そのことを広めたのは
お母様だった
誰とも話せないまま
葬儀は終わり
私は、病院に戻った
次の日から
義足になれるための練習が始まった
義足は、重いし自分の足じゃないから
立つことで精一杯だった
その間もお母様が病院に来ることは無かった
このリハビリは
3ヶ月続いた
結局お母様は1度も来なかった
その上、迎えに来たのは
世話係のことねだった
家に帰ってからも
お母様は、私の前に現れなかった
この時から、薄々と感じていた
「ああ、お母様は私のこと嫌いになった」
私がポツリとつぶやくと
思っていたよりも声が出ていたのか
「そんなことないですよ」
とことねが言った
ことねは、私を元気づけるために
言った言葉だってことはわかっていたのに
「何も知らないくせに」
反抗的なことを言ってしまった
自分では、止めることが出来ず
次から次にことねに当たってしまった
「ことねには、分からない
私が今でどんな思いをしてたか
分からいなわよ!」
「でも、今からでも知ることは」
「できないわよ!もうほっといて!」
今にも泣きそうだった
どんな状況でもことねは
私の味方でいてくれた
今も味方でいてくれてる
そのとこが気に入らないわけじゃない
嬉しいし感謝している
だけど、私の中で
お母様と周りの大人たちが変わったことで
信用することができなくなっていた
「あれ?旦那様がいるって聞きましたけど」
「ああ、お母様は再婚してるの」
「え?再婚して、また彼氏を作った
ということですか?」
「そうね」
「……す、すごいですね」
「ほんと、罪悪感とかないのかな」




