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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
2章 過去
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24/28

24、思い出の形

あれから、数日後

私は、誓いを守るために

いつもより動いていた

と言っても

今日は、穂乃果さんを見ていないから

今日の仕事内容を確認できていない

とりあえず、いつも通り

洗濯と掃除を終わらせ

キッチンで座っていた

気づけば12時をすぎていた

お腹は空いているが

それよりも、心配が勝っていた

ただ、どこにいるのかが分からない

どうすればいいのか考えていると

2階から扉が開く音が聞こえた

そして、穂乃果さんが降りてきた

私が近寄ると

穂乃果さんは顔を上げた

その時の表情は、きっと

一生忘れられないものになると

すぐに感じた

すごく、暗く今にも泣きそうな表情だった

こんな、穂乃果さんを見たことがない

体に力が入っていない

私は、固まっていた

その時

「な、ななちゃん」

穂乃果さんが私の名前を呼んだ

私が返事をすると

ゆっくりと上を向き

「お、お母さんが冷たいの」

と言った

私は、一瞬いや、数秒

穂乃果さんが言った言葉が理解できなかった

理解したくなかったのかもしれない

ずっと上を向いたままの穂乃果さんに

なんと声をかければいいのか分からない

重い空気が流れる

そして、鼻をすする音の後に


「ごめんね、今ななちゃんの顔

ちゃんと見れない前を向くとね

涙が溢れちゃう」

と言った

こんな時にまで

この人は我慢をしてしまうのか

そう思ったと同時に

体は動いていた


「穂乃果さん、泣きたい時は泣きましょう

上ばかり見たら首が疲れてしまいます

私の体に身を任せてください

私、絶対見ないので」

私の声も震えていた

目頭が熱くなる

でも、今は違う

私の番じゃない

穂乃果さんは、小さくありがとうと言って

私の体に身を任せた

けど、私は何も出来ない

穂乃果さんみたいに言葉をかけることも

何も出来ない

今だって、穂乃果さんは我慢している

もっと大きく泣けばいいのに

小さく泣いている

これじゃあ、安心させることが出来ない

何も変わらないまま

時間が過ぎ

外から徐々に救急車の音が聞こえた

電話はしていたようで

すぐに病院に向かうことが出来た


が、やはり手遅れだった

昨日の晩に心肺停止になりそのまま

誰も見ていない

たった一人部屋で亡くなった

私は、手続きをしている

穂乃果さんを待っていた


その間、ずっと考えていた

一度も話せなかった

たった、一言穂乃果さんに

お母様と話してみたいですと言えばよかった

それなのに、出来なかった

もし、できていたら?

今の状況が変わったかもしれない

もし、もし、こうだったら

そんなことをずっと考えてしまう


しばらくして、穂乃果さんが戻ってきて

私たちは、家に帰った


そして、次の日

朝から穂乃果さんに呼ばれ

ソファーに座っている

穂乃果さんの顔色は良くない

それもそうだ

昨日の今日だ

立ち直れるわけもない

少し沈黙が続いた後

先に口を開いたのは穂乃果さんだった


「ねぇ、ななちゃん相談なんだけどね」

「はい」

「ななちゃんは、納得出来ないかも

しれないけどねここの仕事を

辞めて欲しいの」

「え……」


言葉が出ない

突然のクビに理解が追いつかない

確かに、私は頼りない

自分でもそう思っている

けど、まさか

クビにされるなんて


「く、クビですか?」

「ううん、クビじゃなくてね

ななちゃんにはもっといいところで

働いて欲しいの」

「ここ以上にいい所なんてないです」

「あるわ、私の知り合いにいるの

お金持ちでねメイドを沢山雇ってるのよ」

「けど」

「そこにいる、お嬢様のお世話係を

雇いたいみたいなのそれで、あなたを

紹介したわ」

「どうしてですか」

「あなたなら、出来ると思って」

「でも、私、穂乃果さんに安心感を

与えられてない助けられてない」

「十分助けてもらったわよ」

「私は、まだだと思います」

「今回のことは、譲れないわ」

「そんな」


違う、違う

こうなって欲しいんじゃない

もっと、違う形で

もっと、たくさんの安心感を

今まで、穂乃果さんがしてくれたように

私も恩返しがしたかった

そう誓ったのに

これじゃ、守れない

けど、穂乃果さんの目は真剣だった

私は、その目を見て

断ることが出来なかった


穂乃果さんから教えてもらった

屋敷に行くため準備をして

家を出る時


「ねぇ、1つお願いしてもいいかな?」

「はい、なんですか?」

「もし、会話の中でお嬢様に

今幸せそうじゃないって言われたら

それは、ここに来てから

お嬢様に出会ってからなんですって

言ってちょうだい」

「どうしてですか?」

「とにかく、そう言って欲しいの

きっと、お嬢様も心を少し開いてくれる」

「わかりました」


この時の私は

この言葉の意味が分からなかった

けど、覚えておいた方が

良さそうな気がした


そして、私は穂乃果さんの元を離れ

屋敷に向かった


「……それが、七海がここに

来た理由なのね」

「はい、そしてお嬢様に会いました」

「私は、穂乃果さんという方と

接したことは無いけど

あなたが、花言葉を教えてくれた時に

言ったここに来てから幸せなんですは

穂乃果さんが言ってとお願いしたんだ」

「でも、事実でもあります」

「過去のあなたも楽しそうだった」

「今とは、違う楽しさでした」

「どっちの方が良い?」

「選べないです

私は、どっちにも良さがあると思います

思い出はそれぞれの形が

あっていいと思うので」

「確かにそうね」


私の話を聞いていた

お嬢様は、少しだけ笑っていた

きっと、お嬢様の中で

何か変わったのかもしれない


「さぁ、次はお嬢様が話してください」

「え?私も?話したじゃない」

「まだ、ありますよね」

「うぐ、鋭い」

「顔色を伺ってきた代償ですかね」

「まぁ、いいわもっと詳しく話してあげる」

「お願いします」


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