22、私らしさ
ランチの後は
穂乃果さんに引っ張られて
服屋に入った
ご飯を食べている時から
私に似合う服を探すと言っていた
きっと、あの時から
ずっと考えていたんだと思った
私が自分の荷物をほぼ部屋に置き終わった頃
穂乃果さんが初めて部屋に入ってきた
パジャマを持ってきてくれたらしい
私がお礼を言って受け取ろうとしたら
「クローゼットに入れるから
座ってていいわよ」と言われた
私は、言われた通りに
座って待っていたが
穂乃果さんがクローゼットを開けたと同時に
中に入っている服にセンスがないことを
思い出した
だが、時すでに遅し
クローゼットの中を見た穂乃果さんは
その場で立っていた
「えっと、その私の私服です」
と私がつぶやくと
「ななちゃんらしさが出てるわね」
と返された
その時、気を使わせたなと感じた
そんなことがあり
今日は、なるべくオシャレ目な
服で来たつもりだったが
やはり、何か違ったみたいだ
そう考えながら歩いていると
隣で歩いている穂乃果さんが
私をガン見していることに気づき
少しビクッとした
何を見られているのかと
ドキドキしながら歩いている
すると
「今日の服装もいいんだけど
なんだか、パッとしないのよねぇ」
と言い放った
「パッとしないですか?」
そう私が聞き返すと
穂乃果さんは、悩みながら
「うん、なんだろうね
ななちゃんの良さが出てないのよ」
私の良さとはなんだろうか
自分では分からなかった
けど、穂乃果さんには
何か見えているみたいだった
しばらく、穂乃果さんは
キョロキョロと辺を見ながら
悩んでいた
そして、ある店の前を通った時
突然立ち止まり
「ねぇ、ななちゃん」
「はい」
「その服はどうして買ったの?」
「えっと……友達のパーティーに
誘われて行ったときです」
私の持っている服の中で
1番派手できれいな服
パーティー用で一回しか着ていなかった
服には興味がなく
穂乃果さんの元で働き始めてからも
一応メイドということで
部屋にあったメイド服
多分、コスプレ用かなんちゃって制服の
メイドバージョン
そんな服が沢山あった
私は、気になり
穂乃果さんに聞いてみると
友人が忘れていったものだと言う
その上、もう何年も取りに来ていないらしく
私は、仕事服として
1回も着ていないという
新品のメイド服を何着か借りた
それから、その服を
毎日着回ていた
そのため、服に関しては
成長することなくここまで来ている
「もし、違ったらごめんね
だけど、聞いてもいいかしら?」
「あ、はい」
「頑張って綺麗な服着ようとしてる?
大人っぽくなろうと」
「友達の服装に合わせて買いました
もしかして、合ってないですか?」
「そうねぇ、ななちゃんはもっと
可愛らしい服がいいと思うわ
あんな感じね」
そう言いながら穂乃果さんは
目の前にある店を指さした
中にはミニスカートや
ワンピースが沢山あるのが
外から見てもわかった
中に入るともっとすごく
カラフルな服が並べられていた
私は、近くにあった
服を手に取りタグを見た
表には、ブランド名が書かれていた
裏側を見てみると
値段が書いてあった
私は、その値段を見てびっくりした
5000円を超えている
私は、いつも
セールしている1000円の服ばかり買っていた
たまに、奮発して2000円の服を
買っていたのに
私は、気になり
他の服の値段も見てみた
すると、ほとんどが
5000円、6000円が1番安くて
高くなると1万近くになっていた
2000円でも奮発していたのに
さらに、高いなんて怖い
けど、それ以上に怖いのは
こんな若い女性向けの
可愛い服屋に平然と入る穂乃果さんだった
そんな、穂乃果さんは
私のことを忘れたかのように
楽しそうにあれこれ
服を見て回っていた
私も服を見ながら
穂乃果さんの後ろを
ついて行くことにした
しばらく、店内を歩いたあと
試着室に行こうと言った穂乃果さんは
大量の服を持っていた
「そ、そんなにですか?」
「えへへ、なんか全部似合いそうでね
絞れなかったの良かったら
着てくれたら嬉しいんだけど」
「着ます!ぜひ、着させてください」
「嬉しいわ」
そして、ファッションショーが始まった
最初に渡されたのはワンピースだった
水色の少しモコっとした
冬にぴったりなワンピース
私は、可愛いと思い
いいなと思ったが
穂乃果さんに見せたら
首を傾げていた
そして、こっちにしてみてと
違う服を渡された
次は、膝丈スカートと白のトップス
ガーリー系の服だった
ガーリー系なんてきたことが
そもそも、スカート自体を制服以外
ほとんど履いたことの無い
私は、自分の姿に見慣れなかった
それからも、見せては
別の服を着て
また、着て
見せてを繰り返した
そして最終的に選ばれたのは
ガーリー系の服と
ピンク色のワンピース
なんでも合わせやすそうな黒のスカート
そして、肩出し
「え?肩出しですか?」
「そう!わたし的にはもう少し
服増やしてもいいかなって思ったんだけど」
え?これ以上増やすつもりだった?
こ、この人ある意味すごい
いや、これだけで1万は余裕で
超えてますからね
1着1着の値段が高すぎる
それなのに、まだ服を見ている
なんなら、手に持ってるし
そのまま、こっち来て
「ねぇ、やっぱりこれも着てみて」
「あ、はい」
え?これいくら?
……これだけで1万
あと、3着くらい持ってたけど
一体いくらになるんだろう
買い物が終わり
レジで会計をしている
あれからまた増えて
最終的に7着になった
そして、値段は5万6000円
この値段になるには
私は、一年に4回服を買っていたから
……14年はかかる
そんな値段に驚く様子のない穂乃果さんは
すごいと思ったと同時に
私は、自分の財布の中を見た
今日は、こんなにお金を使うとは
思っていなくて
お昼代と少し買えるくらいしか
持ってきてなかった
だから、カードを出した時
穂乃果さん止められた
「私に払わせて」
「え、でも」
「私からのプレゼント
いつものお礼ね」
私が何回少しでも払いますと言っても
引き下がらず
押しに負けた
そのあとも、ほかの店を回ったが
ピンときたものが無かったため
帰ることにした
「今日は、ありがとうございました
こんなに服買ってくださって」
「いいわよ、似合う服が沢山
見つかってよかったわ
また、お出かけしようね」
「そうですね」
「その時は、今日買った服を
着てちょうだい」
「わかりました」
こんなに、女の子らしい服は
着たことがないから
部屋でもう1回着てみようかなと
思いながら服をもう一度見ていた
「七海は、その時何歳?」
話を聞いていたお嬢様が聞いてきた
「えっと、20歳です」
「なるほど、だから
あなたの服って
ガーリー系ばっかりだったのね」
「あはは、そのあとガーリー系に
ハマっちゃって」
「でも、今なら綺麗系も
行けるんじゃない?」
「ほんとですか?」
「えぇ、私はそう思う」
「今度、服買いに行こうかな
お嬢様、付き合ってくれますか?」
「いいわよ」
「ありがとうございます」




