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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
2章 過去
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20/28

20、愛のこもった料理

冷蔵庫の中に食材がほとんど入っていなかった

ふと、キッチンを見渡す

さっきは、気づかなかったが

食器類は、全部綺麗だった

まるで、使っていないように

ただ、コップだけは使った形跡がある

その時、穂乃果さんの言葉を思い出した


「ななちゃんの分だけ作って」

きっと、穂乃果さんは

ちゃんとご飯を食べていない

料理もしていない

ちらっと視線に入ったゴミ箱を見た

コンビニ弁当や惣菜ばかりを

食べているようだった

これじゃ、栄養が偏る

そう思った私は

近場のスーパーに向かった


心配はかけられないと

足早に買い物を終わらせ

家に戻った

買ってきたのは、肉や野菜と

鮭のムニエルの材料

昼から鮭のムニエルかと思ったが

無性に食べたくなった

それに、作るのもそこまで大変では無い

それに、この家は調味料は沢山あるから

作るのが楽しかった


私の分と穂乃果さんの分を作った

今までで、一番上手くいった気がする

私は、穂乃果さんの分にラップをかけ

自分の分を食べることにした

口に運ぶと

予想通りいちばん美味しかった

ホワイトソースがこんがり焼けた鮭に絡まり

コクのある優しい味わいになった


「私の腕が上がったのかなぁ」

と呟きながら

キッチンを見る


「いや、調味料がいいからだよね」

ほとんど料理をしない私の腕が

急に上がるわけもない

それでも、このムニエルは美味しい


食事を済ませてから

途中で頼まれた

洗濯物も終わらせた

そして、私は部屋に戻り

本棚にある気になっていた本を読んだ

私の知らない本が沢山あり

またしても、夢中になっていた

気づけば空はもう暗くなっていた

私は、慌てて1階に降りた

特に何かある訳でもなく

私は、何となくリビングに行った

そこには、穂乃果さんがいた

びっくりした拍子に私は隠れてしまった

ちらっと様子を見ると

穂乃果さんの前には

私が作ったムニエルが置いてあった

ラップがされたままの状態で

しばらく様子を見ていると

穂乃果さんは、私に気が付き

手招きをした

余計なことをしてしまった

また、ひとりで盛り上がってしまったと思い

恐る恐る近づくと

穂乃果さんは座ったまま


「ねぇ、これはあなたが作ったの?」

「はい、えっと、穂乃果さんの分です」

「私の分?」

「穂乃果さん、ちゃんとした

ご飯食べでないですよね

ゴミ箱にコンビニ弁当とかのゴミが」


穂乃果さんは、しばらくの間黙っていた

またしても、余計なことを言ってしまった

そう思っていると


「バレちゃった?」

「え?」

「そう、私めんどくさがり屋でね

特にご飯に関してはお腹に入れば

なんでもいいやって思っちゃうんだ」

「怒ってないんですか?」

「何を怒る必要があるのよ」


そういう穂乃果さんは、いつもの笑顔だった

そのあと、すぐに軽く手を叩き


「これ、私の分って言ってたわよね?」

「はい」

「じゃあ、食べてもいいの?」

「もちろんです」

「やった、早速温めて食べよ」

「あ、私がやりますよ」

「大丈夫よ、今日は頑張ってくれたから

あ、そうだ」


レンジにムニエルを入れながら

穂乃果さんは、何かいいことを

思いついたように声を上げた


「ねぇ、私がご飯食べ終わったら

お茶でもしない?いい紅茶あるんだ」

そう穂乃果さんが微笑んだ

私は、その誘いが嬉しかった


「はい!ぜひ」

「なら、良かったわ

私がご飯食べ終わるまでテレビでも見てて」

「いいんですか?」

「当然よ、好きなの見てちょうだい」

「ありがとうございます」


私は、穂乃果さんの言葉に甘えて

テレビのある部屋に向かった

今日は、ちょうど見たい番組があった

漫画特集の番組

それに、恋は切なきものが紹介されるという

ニュースを見た

少し昔の作品とはいえ

人気作だったから長く紹介された

恋は切なきものの紹介が終わった頃

後ろから穂乃果さんに声をかけられた

私がテレビに釘付けになっている間に

食べ終わって片付けも終わったらしい


ちょうど見たかったテレビも終わり

リビングに戻りティータイムをすることにした

穂乃果さんが入れてくれた紅茶は

優しい甘さがあり美味しかった

少しの間、紅茶の味を楽しんだあと

穂乃果さんが口を開いた


「ムニエル美味しかったわ

あんなすごい料理できるのね」

「簡単に出来ますよ」

「あら、そうなの?

じゃあ、今度私にも教えて」

「はい、喜んで」

「ななちゃんは、漫画が好きなの?」

「どうしてですか?」

「ほら、さっき恋は切なきものの紹介に

釘付けになっていたから」

「あはは、恥ずかしながら」

「いいことじゃない」

「でも、私漫画が好きっていうか

恋は切なきものが好きなんです」

「そうなのね、なら部屋にあるのも読んだ?」

「はい、懐かしい気持ちになりました

昔、全巻買って読んでたので」

「それは、すごいわ」

「好きになった漫画がそれだけだったので」

「うふふ、他にも好きな本とか

漫画があったら言ってね買ってあげる」

「大丈夫です、恋は切なきものがあるので」

「そんな、遠慮しないで」

「では、もし欲しくなったら」

「うんうん、それでいいのよ」


数時間、穂乃果さんとおしゃべりをした

この家に来て数日しか経ってないけど

少しづつ穂乃果さんのことがわかってきた

穂乃果さんは、他人に優しいけど

自分には厳しいというか後回しにするタイプ

そして、なんでも買ってあげようとしてくれる

優しいし嬉しいんだけど

こっちが心配になるほど買おうとする

しかも、自分のものはほとんど買ってない

私がこの数日間で知ったのはこのくらい

……なんか、過保護な母親みたい

そんなことを考えていると

時間は、11時をすぎていた

明日も早いし寝る準備を始めた


私は、ベッドに入りながら

明日のことを考えていた

材料は、買ってきたから

明日こそは、ちゃんとお昼の時間に

ご飯を食べてもらいたい

夜もしっかりとね

そのまま、私は眠りにつこうとしていた

その時、ふとよぎった


「……材料買ったのバレなくて良かった」と



「ねぇ、お母さん

今日ね、ななちゃんが材料買ってくれてたの

私びっくりしちゃった」

「ほんとに、いい子ねぇ」

「そうだね、今度一緒にお買い物にでも

行こうかな」

「行ってらっしゃい」

「うん、じゃあ、おやすみお母さん」

「はい、おやすみ」

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