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四葉と双葉に友情を  作者: 榊みつば
1章 距離
14/17

14、未完成の部屋

神社を後にしてからも

鎌倉を散策し

和菓子屋で和菓子を買ったり

アンティーク系の雑貨が売ってる店があり

少し覗いたりした

お嬢様は、珍しいものや

アンティーク雑貨が好きなのか

楽しそうに見ていた


「ねぇ、これ七海に似合いそうよ」

そういうお嬢様は

お店の雰囲気にぴったりな

ネックレスを持っていた

しばらく、ネックレスと私を見比べてから

小さく首を傾げ


「いや、やっぱりあなたの

雰囲気に合わないね」

とぽつり呟いた


私は、お嬢様に

どんな雰囲気なのか聞いてみた

すると、少し悩んでから


「そうね、綺麗な緑かな

無限に広がる草原みたいな」

と言いニコッと笑った

私もなんですかその雰囲気と言いながら

笑っていた


「七海はなんでも受け止めてくれる

広い心を持っていると思うの」

「初めて言われましたよ」

「じゃあ、私だけが見つけた雰囲気ね」

「ふふふ、そうですね」

「私は、どんな雰囲気?」

「お嬢様ですか?

そうですね、頼もしいところもあるけど

まだまだ、可愛らしい子どもで

まるで、土台はあるけど中が決まっていない

部屋みたいな雰囲気……あ、ごめんなさい

変なこと言って」


私が頭を下げると

お嬢様は、いつもと変わらない様子で


「だって、子どもだもん」

と笑った

そのあと、何か思いついたように

私の目を見て


「七海が一緒に作ってくれたら

素敵な部屋が完成すると思うんだけど」

「私にセンスがないことはご存知でしょう?」

「えぇ、知ってる

だからこそ、世界に一つしかない部屋が

できると私は思ってる」

「では、頑張ってみましょう」

「楽しみね」


そのあと、電車に乗る前に

駅の近くのカフェで休憩をするとこにした

冷たいドリンクを飲み

一息ついた時


「あなたの過去を教えて」

とお嬢様が言った

突然言われてポカンとしている

私を見てお嬢様は

声に出ちゃったという顔をしていた

何とか誤魔化そうとしていたが

次第に何かが吹っ切れたのか

私の目をまっすぐ見て


「ただ、気になったの

どうして、こんなに私に寄り添ってくれるのか

だから、考えてみたの

色々な理由が出てきたけど

一番しっくり来たのがあなたにも

辛い過去があったからなんじゃないかって

もし、そうなら今度は私が何か

助けられるかなって」


私が何も言わずにいると


「ごめんね、今更こんなこと言っても

何にもならないよね昔のことだし」


その言葉を聞いた時

私は、このままじゃ

誤解されるかもと怖くなり


「違います」

と咄嗟に言った

お嬢様がこっちを見たのを確認してから


「確かに、過去は変えられないです

でも、今の気持ちなら変えられますし

実際にお嬢様と出会ってから私は

何度も変わってると思います

もし、聞いていただけるのでしたら

嬉しいです」

そう、言った瞬間

お嬢様は、安心したようだった

私も、誰かに聞いて欲しかった

でも、自分からは言えない

そんな気持ちをお嬢様は

いつも察知してくれる

だから、今回も言えた

お嬢様には感謝の気持ちが沢山あるけど

少しだけ……悔しい


私は、お嬢様を守るのが仕事

なのに、いつも守られているのは

自分の方だと感じる

私から行動して

お嬢様を守ったことはあっても

言葉に助けられて行動することの方が多い

あぁ、今もお嬢様は私のことを

心配そうに見ている

最近多いなネガティブになること


「それが、あなたの本当の性格ね」

「……え?」


お嬢様からの突然の言葉に

私は、動揺した


「本当の性格……ですか?」

「うん、ひとりで悩みすぎ」

「そうですか?」

「え、嘘!?自分で気づいてなかったの?」

「はい、それが普通かと」

「七海は、いつか自分で自分を壊すね」

「え、そうなんですか」

「そうよ」

「考えたことありませんでした

ひとりで盛り上がってしまうことは

気づいていましたが」

「なら、悩みすぎていることも

気づいてると思う」

「え?でも、さっき」

「すぐに忘れてまた、同じことを

繰り返してるんだと思う」


それが、私の性格

確かに、昔からボーとしてることが

多いと言われていたけど

悩みすぎなんて言われたのは初めてだった

今までは、集中力がないと言われていたから


「でも、どうしてそう思ったのですか?

今までは、集中力がないと言われ続けて」

「私と同じだから」

「同じですか?」

「ほら、あなた前に私に言ったでしょ

ひとりで抱え込みすぎだって」


そうだ、過去に言ったことがある

私が思い出したことに気づいたお嬢様は

そのまま続けた


「その時、思ったの

あなたも一緒じゃないって」

「えっと」

「なのに、よく私に言えるなって」

「あ、ごめんなさい」

「あはは、うそうそ

七海が言ってくれたから私は自分が

抱え込みすぎていたことに気づいたし

あなたもそうだって気づいたの」

「本当ですか?」

「本当よ、感謝してるもん」

「そんな、私に感謝なんて」

「どうして?同じ人間じゃない

使用人だとしても違くても

同じ人間でしょ」

「それは、そうですね」

「なら、感謝はちゃんとしなきゃ」

「その通りですね」

「さ、帰りましょ

帰ったらちゃんと過去のこと聞かせてよ」

「わかりました」

「てか、前に私の過去話したから

七海も話さないとね」

「あはは、ごもっともで」


今日の、鎌倉で

一気に距離が縮まった

ここに来てから

お嬢様と会ってから

私は、すごくいい方向に変わっている

そんなことを感じる

それは、きっと

お嬢様も同じ

よく、笑うようになって

話してくれるようになって

人は、変われるんだ

ちょっとしたことに思うかもしれない

それでも、知らないうちに

自分の中で何かが成長してる

相手の中の何かを変えている

でも、それは言葉じゃないと伝わらない

起こらない変化

1日で話す言葉は数え切れないほどの数

それでも、一つ一つ大切にしていきたい

そう思えた1日だった


そして、その気持ちは

これから何度も

忘れては思い出して

意識してまた忘れて

また、思い出してを繰り返す

そうして、人は成長する

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