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魔剣の呪いがスパルタって!  作者: 軒下水滴
ガイアス編
27/31

26.終戦に向けて


ガイアール公爵領 ボクルンド町 冒険者ギルド:


 ガイアール公爵領のボクルンド町の冒険者ギルドに、戦争のため各地から招集された冒険者が集まっていた。

 ガイアール公爵の要求により、ガイアール領内に居る冒険者は強制的に戦争に参加させられそうになったが、王国がこれを却下し、自由参加となった。


「今回の戦闘でギルドの仲間が何人か亡くなった。冒険者だから依頼を受けて死ぬのは仕方がないが、今回B級以上は半強制的だからなー」

 ボクルンド町の冒険者ギルドのマスターが嘆く。


「ドビアス、お前はこれからどうするんだ?」

「これ以上仲間が死ぬのは忍びない。さっさと終わらせて、オリオール町に帰りたいな。

タクマ、なんとかならないか?」


「ガレック砦に人質は居ますか?」

「いや、居ないはずだ」

「なら、これからガレック砦を一掃しに行ってきます。建物が壊れますが、仕方がないということで」


………

……


ガレック砦:


 ガレック砦の前に立ち、おれは多少躊躇しながら魔法を放つ。

「《メガフレア(大爆炎)》」

「ゴオォォォォォォォォォォ」

 砦全体を爆炎が包む。

「ゴオォォォォォォォォォォ」

 おれは踵を返し、ガレック砦の前から立ち去った。


………

……


翌日:


新生イスカンド帝国 王城:


 ガレック砦を焼き払った後、おれは空飛ぶ自転車を漕いで、バグナール帝国に来た。


 おれは城門の前で叫ぶ。

「ガレック砦に籠っていたバグナール帝国は昨夜崩壊した。それからマールス世界のイスカンド帝国本国も潰してきた。もうイスカンド帝国からの援軍は来ないぞ」


 砦の中から20名くらいの兵が出てきた。

 盾を構え近づいてきた。

「ガレック砦は貴様の仕業だったのか!?」


「《サンダー(雷撃)》」

「バリバリ」

 おれは雷魔法を放ち、近づいてきた兵達を倒した。



数十分後:

 今度は1人の男を中心に変わった服を着た50人くらいの兵が出てきた。

「おれはイスカンド帝国遠征軍隊長エルネスティだ!イスカンド帝国本国がどうのと叫んでいたが、貴様は何者だー?」

 真ん中の男が叫ぶ。

「ただの冒険者だよ」

 わざと聞こえるか聞こえないかの大きさで叫ぶ。


「聞こえん、もっと大きい声で話せ」

「(ただの冒険者だよ)」

 今度は口パクをやってみる。

「貴様ー、わざとやってるな!

《精霊の力を我に》《ヘルファイア(業火)》」

 エルネスティが業火魔法を放ってきた。

 おれは炎が立ち上る前に頭上を右手で払い業火を無効化する。


「おれの業火が消されただと?」

《精霊の力を我に》《ヘルファイア(業火)》」

 再度、炎が立ち上る前に頭上を右手で払い無効化する。


「貴様は何者だ?」

「(佐藤琢磨です)」

 とまた口パクしてみた。

「貴様ー、もう許さん」

 エルネスティが向かってくる。

 

「《フレア(爆炎)》」

「ゴオォォォォォーーーー」

 エルネスティの後ろに居た兵を爆炎で焼き尽くす。


「なに…」

 後ろを振り向き呆然としている。

 

「おい、マールスにあるイスカンド帝国本国は数日前におれが潰したぞ」

「何を馬鹿なことを?」

「ここ数日、イスカンド帝国本国の連絡員が来ていないだろう?」

「なぜそれを知っている?」

「いっただろう、おれが潰したって」

 エルネスティがもう一度振り返り、爆炎で焼かれた兵を見る。

 何かを察したようだが、意を決したように剣を抜き、おれに向かってきた。


………

……


 イスカンド帝国遠征軍隊長エルネスティが死んだ。

 イスカンド帝国がガイアス世界に送ってきたのは100人くらいといっていたな。

 なら、もうほとんど死んで居なくなったはずだ。


 バグナール帝国は今はそのままにしておこう。主戦力の1万人の兵を一瞬で失ったんだ。少しは自重するだろう。


………

……


ガイアール公爵邸:


「何、ガレック砦が炎に覆われ、壊滅しただと!?ブローマン、いったい何が起きたのだ?」

 ガイアール公爵は嬉々として話す。

「見ていた者の話しですと、なんの前触れもなく、突然ガレック砦全体が爆炎に包まれたということです」

 ガイアール公爵軍司令官ブローマンも嬉々として返す。


「それで生き残った敵兵は居ないのだな?」

「建物も何もかもが崩れ去り、人が生活していた痕跡すら残っていなかったという話です」

「何かは分からないが、とてつもない大きな力で我々は救われたのか!これはガイアール公爵家に起こった、神の奇跡だ!」

 ガイアール公爵の顔が陶酔していた。


「ところで、ブローマン、ボージェ砦の戦いにおいて、敵軍の兵糧を冒険者が奪ったという話を聞いたが本当か?」

「はい、そのおかげで、ボージェ砦を攻めていた敵兵が撤退したとか」

「その奪った兵量だが、今は誰が管理している?」

「奪ったのは冒険者かと思います?」

「その兵量は一介の冒険者が持っていてよいものではない。我が国に帰すべきだ! すぐに返納させろ」


……


オリオール冒険者ギルド:


「おい、タクマ、お前にお客さんだ」

 ドビアスさんが胡散臭いやつが来たぞとでも言いたそうに、タクマに話しかけた。

「だれでしょう?」

 少し警戒しながらおれは応えた。


 どこかの使者のようだ。

「貴様がD級冒険者のタクマか?ガイアール公爵様よりの御命令だ。ボージェ砦の戦いの際に、敵兵から略奪した兵量をすべて我がガイアール公爵家に返すように。拒めば略奪罪として軍法会議にかける」

「べつにこの兵量についてはお渡ししてもよいと思っていましたが、頭ごなしで命令され、渡す気がなくなりました」

 おれが応えた。


「貴様、軍法会議が怖くないのか?」

「そもそも私は軍に雇われていません。勘違いも甚だしい」

「いい逃れは通用せん。構わん、ひっ捕えろ」


「ドビアスさん、どうしましょう?」

 おれはドビアスさんに縋るように聞いてみた。

「一応グラッセ侯爵がお前を雇っていることになっていたから、グラッセ侯爵に連絡してみるよ。

お前はお前で好きにしな。

あ、お前が暴れると、グラッセ侯爵に迷惑がかかるかもしれんぞ!」

 最後におれの暴走に抑止をかける一言を放つ。



 そのままボクルンド町まで連れていかれ牢に放り込まれた。


………

……


アースロード王国 王城:


「国王様、ガイアール卿が冒険者タクマを捕え軍法会議にかけるそうです」

 ロートレック公爵が嘆くような口調で話す。


「冒険者タクマとな?ああ、例のエリクサーを献上した冒険者か!して、なんの嫌疑で軍法会議にかけられるのじゃ?」

「ボージェ砦の戦いにおいて、敵の兵糧を奪い取ったのですが、《その兵糧を返すように》というガイアール卿の要求を断ったためということです」


「ガイアール卿の領地では、戦によって食料が不足しておる。兵糧を返すように要求しても、おかしくはないのではないか?」

「国王様、お忘れですか?その兵量は冒険者タクマの物であると承諾したことを。また冒険者タクマは軍が雇っているのでないため、軍の規律では裁けないことを」

「しかしなー、ロートレック卿。ガイアール卿の領地が食料不足なのも確かだし」


「国王様、この際ですのではっきりといっておきます。

 ガレック砦を爆炎で焼き尽くし、バグナール帝国に居た異世界人を瞬時に倒し、マールス世界のイスカンド帝国本国を崩壊させたのは、全て冒険者タクマが1人で行ったことです」

「…」

「ピンとこないようですね?

冒険者タクマが伝説といわれたエリクサーを持っていることを、不思議に思いませんでしたか?

冒険者タクマは、この世界の国全てを敵に回して戦っても、なお勝てる人物なのです」


「では、冒険者タクマを軍法会議で裁いた場合どうなる?…」

「この国全てがガレック砦と同じ運命を辿ります」

「…」

 国王の表情が驚きに変わった。ここにきて、ようやく事の重大さに気付いた。

「な、何をやっているのだガイアールは?すぐに止めさせろー」


数日後:

 ガイアール公爵が王城に呼ばれてきた。


「国王様、突然冒険者タクマを釈放しろとはどういったお考えなのでしょうか?」

「ガイアール卿よ、ボージェ砦の戦で奪った兵糧を冒険者タクマの物として承認したのは私だ。またガレック砦の戦いにおいて軍に雇われていないことも承知しておるな。

それなのに、なぜそちは、不法に軍法会議にかけてまで、冒険者タクマの兵量を奪おうとする?」

「国王様、今は緊急時です。我が領土は深刻な食料不足に陥っております。冒険者の持つ食料がそれを解決してくれるのなら、召し上げるのは当然かと思います」


「なら、もしわしが食料を持っていたとして、そなたはわしを軍法会議にかけて食料を奪うか?」

「何を仰せられる。私がそのようなことをするはずがないではありませんか!?」

「それはなぜじゃ?」

「私は国王様を敬っております。そもそも畏れ多いことであります」

「冒険者ならよくて、国王ならやらないか?」

「当然であります」

(そうか。わしも同じように冒険者を見下し、冒険者ならいいだろうと思っていたのか)

 ハミエル国王が自分の所業を嘆いた。


「ガイアール公爵に申し渡す。

ガレック砦の戦いにおいて、第二騎士団及び国王第二軍を壊滅に至らしめた罪と、冒険者より不当に財産を没収しようとした罪により、

爵位を没収の上、すべての財産も没収する。30日以内に全てを国に返上するように。

「な、なぜ没収などと」

 驚愕の表情で国王を見る。


「そちが兵量を奪おうとした冒険者タクマは、やろうと思えばわしなどすぐにでも殺すことが出来る人間なのじゃ。

ガレック砦を爆炎で焼き尽くし、バグナール帝国に居た異世界人を瞬時に倒し、マールス世界のイスカンド帝国本国を崩壊させた。

そんな冒険者タクマからそちは兵量を奪おうとしたのじゃ。

そちは我が王国を滅ぼすつもりか?

殺すのは忍びないので、爵位を没収ということにした。

だが、冒険者タクマが、それでは気が済まないというのであれば、そちに死罪を与えねばならぬ」


………

……


ペルジュ王国:


バグナール帝国軍宿舎:


「アースロード王国に侵攻した我がバグナール帝国軍が戦いに負けた。幸いまだアースロード王国軍の追撃は無いようだが、本国の王城門前で突然戦いが起こり、マールス人のほとんどが戦死したそうだ。

マールスにあるイスカンド帝国本国も崩壊して援軍は期待できないらしい」

「では、未だこの地で戦闘を繰り広げているペルジュ王国敗残兵も勢いづくな」

「そうだな。で、我々はどうなる?」

「この地に留まり政権を死守するか、バグナール帝国に戻るかだ」



「おい、神崎。バグナール帝国がアースロード王国に負けちまったらしいな」

「あのエルネスティ遠征軍隊長が手も足も出なかったらしいですね」

「そろそろバグナール帝国に見切りをつける時期かも知れねーな。

おれはここから脱出することにする。お前も来るか?」

「そうですね。僕もここから脱出することにします。でもこれからは1人で行動しようと思っています」

「そうか、なら脱出するまでは、お互い協力しようじゃないか」

 その日のうちに、後藤隼人と神崎蓮は、バグナール帝国軍宿舎から消えた。





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