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魔剣の呪いがスパルタって!  作者: 軒下水滴
ガイアス編
24/31

23.アースロード戦争

アースロード王国王城:


 宰相ニコラス執務室。


 バグナール帝国を監視していた者から連絡がきた。

「宰相、バグナール帝国の軍が、我がアースロード王国に隣接する要塞都市サルドゥと要塞都市ワーナーの2か所に集結しております」

「数は?」

「サルドゥが1万人、ワーナーが1万です。また、双方にマールスから来た異世界人40人が参加しているとのことです」


 アースロード王国は要塞都市サルドゥと要塞都市ワーナーに対抗するため、2つの砦を築いた。

一つはガイアール公爵領のガレック砦、もう一つはグラッセ侯爵のボージェ砦。

 ・要塞都市サルドゥ ⇔ ガレック砦(ガイアール公爵領)

 ・要塞都市ワーナー ⇔ ボージェ砦(グラッセ侯爵)

 

「サルドゥの軍の攻撃目標はガレック砦か!ワーナーの軍の攻撃目標はボージェ砦だな。急いて対策会議を行う。関係者を呼び出してくれ」


………

……


翌日:

「宰相、ロートレック公爵とガイアール公爵が到着しました」

「おお、来てくれたか、早速だが会議を行うようみんなに伝えてくれ」


参加者は、

 アースロード王国国王ハミエル

 宰相ニコラス

 第一騎士団団長ダニエル

 第二騎士団団長フェルナン

 第三騎士団団長パトリス

 国王軍総司令官セヴラン

 国王軍参謀長ロドルフ

 国王第一軍司令官ナルシス

 国王第二軍司令官モルガン

 国王第三軍司令官セレスタン

 ロートレック公爵

 ガイアール公爵


 国王軍参謀長ロドルフが議長を務める。

「それでは第一騎士団と国王第一軍は王都の防衛にまわり、

第二騎士団と国王第二軍はガレック砦に、

第三騎士団と国王第三軍はボージェ砦に向かうということでよろしいでしょうか?」

「では、反対意見がないのでこの配置でお願します。他に何かありますか?」


「ロドルフ殿、よろしいだろうか?

異世界人の力は未知数だ。情報分析出来るまでは、防御に徹するべきだと思ってる。

ボージェ砦を預かるグラッセ侯爵から言伝を預かってきた。

ボージェ砦に第一騎士団の防御魔法が使える人間を貸して頂けないだろうか?」


「ロートレック卿、たかが異世界人に、何をそんなに恐れている?」

「ガイアール卿、彼らの力を甘く見てはいけない」


「そういえばオリオールの町にも、異世界人が一人紛れ込んでいるらしいですね。冒険者になって半年も過ぎたのに、未だにD級冒険者をやっているらしい?」

 国王軍総司令官セヴランが煽ってきた。

「ロートレック卿は、D級冒険者程度の強さでしかない異世界人が怖いらしい」

 第一騎士団団長ダニエルも便乗して煽ってきた。


「しかし、イスカンド帝国の協力を得たバグナール帝国はペルジュ王国に勝利しました」

 ロートレック公爵が反論する。


「何も分かっていませんな。

バグナール帝国がペルジュ王国に勝てたのはバグナール帝国が強かっただけのこと。イスカンド帝国の力とは関係のないことです。

そんなに心配なら、我が第二騎士団がボージェ砦も守ってあげましょうか?

ガレック砦に第二騎士団全員を連れて行くのは、ちと大げさだと思っていたところです。半分の150人でも送れば事足りましょう。あははは」

 第二騎士団団長フェルナンがロートレック公爵を馬鹿にしたように嘲笑った。


 ロートレック公爵はハミエル王の顔を伺うが、王は困ったような顔をしているだけで、意見を述べようとしない。


 誰も何もわかっていない。ロートレック公爵は諦めた。

「分かった。防御魔法が使える人間は、冒険者ギルドで探してみることにする」


………

……


数日後:


ボージェの砦:


「ドビアス、タクマ君は今何処にいるんだろうなー?」

「グラッセ侯爵、タクマなら、今頃どこかで戦争のことを知って、こっちに向かっているんじゃないですか?」

「確かに!ではタクマ君が帰ってくるまで、踏ん張るか!」


「そのタクマというのは異世界人ですか?」

 第三騎士団団長パトリスが興味有りげに聞いてきた。

「ええ、マールスの世界ではなく、地球という世界から来たそうです」

 ドビアスが応えた。

「強いのですか?」

「強よいですね。おれの目の前で、A級討伐対象のカウカウを、なんの躊躇もなく、素手で一発殴っただけで倒しちまった。魔法も詠唱なしで放てる」

「それが本当だとすると、マールス世界からの移転者も、かなり警戒する必要がありますね」



 グラッセ侯爵が作戦を話し始める。

「異世界人は魔法にも剣にも長けている。剣を交えれば、おそらく負けるだろう。

なので、徹底して籠城し、剣を交えないようにしようと思う。

向こうは何としても城門を破って砦に侵入しようとする!門に取り付く兵は、狙撃隊が弓と魔法攻撃で駆逐する。

狙撃隊は防御隊が防御魔法を張って守り抜く。砦を守り抜けば、敵兵は兵糧が不足し引き下がるだろう。

基本方針は以上だ!

ここを突破されるとオリオールの町に敵兵が押し寄せる。何としてでもこのボージェ砦で食い止めるんだ」

 一気に捲し立てた。


「で、すまんがドビアス、我々が籠城している間、冒険者を指揮して、敵の兵糧運送部隊を襲ってくれ」


………

……


10日後:

 ボージェ砦。

 斥候が慌ただしくグラッセ侯爵の居る部屋に入って来た。

「グラッセ侯爵様、要塞都市ワーナーに集結した軍がここボージェ砦に向かって進行してきます」

「人数は?」

「ざっと見積もって1万!」

「例のマールスからの異世界人も参加しているか?」

「わかりません」


 国王第三軍司令官セレスタンが指示を出す。

「城門の前と後ろに土壁を作れ。

敵兵が近づいてきたら、魔法を放ってくるかも知れん。防御隊はバリアを展開して狙撃隊を守れ。バリアが切れないよう交代要員も忘れるな」


 バリアは持続性の魔法でないため、入れ替わり立ち代わり展開しなければならない。


「敵兵だ!範囲魔法をぶっ放してくるぞー、守りを固めろー」

 誰かが叫ぶ。

 敵兵は少人数で砦に近寄ってきては範囲魔法を放ち、また離れていく


「防ぎきれそうか?」

 グラッセ侯爵がバリアを張った兵に問う。

「これくらいの攻撃なら防ぎきれます」


 変わった服装の兵が近づいてくる。

 事前に通知済の異世界人だ!

 兵達が口々に叫んでいる。

「異世界人らしきやつらが攻めてくるぞ、バリアを複数展開しろー」

「威力が桁外れです。バリアが瞬時に消えてしまいます」

「ならもっと大人数でバリアを展開するんだ!」

「おい、城門の前の土壁が崩れてきた。補強しろ」

「バリアと土魔法が使える者は壁上に行って、防御隊をサポートしろ」


……

 

 バグナール帝国軍は、ボージェ砦から少し離れた場所まで軍を戻した。

 この日は、砦の門をなんとか守り切った。


………

……


ガレックの砦:

 砦の前にはバグナール帝国の軍が展開している。


「どれ、余興と洒落込もう」

 アースロード王国の第二騎士団団長フェルナンがそうつぶやくと、単騎で砦の壁の前まで駆けて行った。

「おれは、アースロード王国の第二騎士団団長フェルナン。誰かおれと立ち会う者は居ないか?」

 フェルナンは剣を得意としていた。攻撃魔法さえその剣で切り裂くことができるのである。


「ふっ、馬鹿が出てきた。

おい、お前、お前が異世界人と偽り、相手をしてやれ。名前はそうだな《ウツケモノ》とでも名乗っておけ」

 イスカンド帝国遠征軍副隊長デニスが笑いを堪えていった。

「承知しました」

 バグナール帝国の軍人が応えた。


「私は異世界人のウツケモノだ、私が貴殿の相手をしよう。

《精霊の力を我に》《ヘルファイア(業火)》」

 ウツケモノが魔法を放つ。

「おりゃ」

 フェルナンが頭上で剣を振り、業火をかき消す。

 そのままウツケモノに向かって歩き出す。


「《精霊の力を我に》《アイスランス(氷槍)》」

 ウツケモノが再度魔法を放つ。

「おりゃ」

 フェルナンの剣が氷槍を砕く。

「ぬるい、この程度か」

 ウツケモノが攻撃魔法を飛ばすも、フェルナンはそのすべてを剣で打ち払った。

「死ね」

 フェルナンの剣がウツケモノの体を切り裂いた。

「見たか、異世界人が強いといっても、この程度だ!

イスカンド帝国の兵よ、命が惜しくばさっさと自分の世界に逃げ帰るんだな」


「ダドリー副司令官、いわせておいていいのですか?」

「構わん、馬鹿は調子に乗せて置いたほうがいいんだ」



翌日:


「おい、今日は要塞から出て陣を張り、敵軍を迎え撃つ。敵軍が敗走したら、追撃して殲滅するぞ」

 団長フェルナンの指示に従い、第二騎士団300人が砦から出て陣を展開した。


 敵陣から、変わった服装の兵が40人ほど、前に出てきた。


「魔法の威力は大したことはないが、警戒を怠るな」

 団長フェルナンが兵に注意を促した。


「「「「「《精霊の力を我に》《ヘルファイア(業火)》」」」」」

「「「「「《精霊の力を我に》《バリア(防壁)》」」」」」

 敵兵40人の攻撃魔法と、第二騎士団のバリアが激突する。


 第二騎士団の頭上に業火の柱が上がる。

「無駄なことを」

 フェルナンは得意げに頭上で剣を振払ったが、

 業火の威力は衰えることはなかった。

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…馬鹿な、昨日とは威力が違う」

 周りを見ると、バリアを張ったはずの兵が何人も倒れていた。


「「「「「《精霊の力を我に》《ヘルファイア(業火)》」」」」」

 40人全員がフェルナンに向け魔法を放つ。

 フェルナンの体が消し炭も残さず消え去った。


 この戦いを、砦の壁上から見ていた兵に戦慄が走る。

 壁上の兵は、自分達の防御魔法が役に立たないことを悟る。

「あの業火魔法は防げません。壁上から降りることを許可してください」

 防御隊の1人が上司に懇願する。

「駄目だ、お前らは壁上の狙撃隊を守るのだ」

「では、防御魔法を使える人間を集って、防御隊を強化してください」

「騎士団が全滅した今、これ以上防御魔法を使える人間を探すのは無理だ」

 にべもなく却下された。

 狙撃隊が不安な表情をして防御隊のやり取りを聞いていた。


 防御隊が戦々恐々としている中、40人の異世界人を先頭に、バグナール帝国軍が近寄って来た。


………

……


アースロード王国王城:

 作戦室。


「報告します。ガレック砦が落とされました。死者多数」


「何、ガレック砦が落とされただと?フェルナン第二騎士団長はどうした、彼なら異世界人など容易く倒せるはずだ!」

 第一騎士団団長ダニエルが焦った様子で話す。

「敵方の業火魔法により、炭も残さずに焼き尽くされました」

「…」


「なお、第二騎士団員300人全て、異世界人とおぼしき敵兵40人の放った業火魔法により焼き殺されました」

「馬鹿な…異世界人は弱かったはずでは?」

 国王軍総司令官セヴランが頭に手をやり驚愕の表情を浮かべる。


「どういうことだ、ガイアール公爵、セヴラン国王軍総司令官、ダニエル第一騎士団団長。話が違うではないか?」

「「「…」」」

 ハミエル国王が、震えながら問うが、誰からも返事が返ることは無かった。



「すまぬ、ロートレック公爵。この国を救ってくれ…」

 国王がロートレック公爵に頭を下げた。




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