12.ルフィナ
お金が入ったので、しばらくノーマン帝国の王都に滞在して《転移の洞窟》の調査と観光と洒落込むことにした。
「今日はちょっと、調べたいことがあるので一人で行動するよ」
おれは単独行動すると言い、3人娘は、盗賊から回収した装備品のリメイクと、買い物をすると言って出かけていった。
おれは、街の雑貨屋で買った地図を見ながら、図書館に行ってみる。
郷土記や奇伝を手あたり次第見てみたが、転移に関する記事は乗っていなかった。
(街の本屋を探してみるか?)
……
…
繁華街を歩いていると、脇道に古びた本屋兼雑貨屋らしき店があったので入ってみた。
「すみません、郷土記か奇伝の本ありますか?」
「郷土記関連はこの辺で、奇伝は少ないですがこっちにあります」
店員が案内してくれた。
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郷土記関の本を全て見てみるが、それらしき記事は見当たらなかった。
…
次に奇伝を見てみる。
何冊目かで、興味深い記載を見つけた。
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天界からきた男がこの世界の女性と恋をし、子供を残したまま天界に帰り、二度と戻って来なかったという話だ。
その男は天界からラフエンテ王国に降り立った。
その男は初めすごく弱かったが、後に刀という武器を携え無双していく。
刀は鞘という入れ物に納められ、瞬時に鞘から刀を抜いて切る、居合切りという剣術を使ったという。
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(ここに書いてあるのは、日本刀と居合切りか?)
参考になりそうなので、この本を購入した。
………
……
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店を出て近くの喫茶店で、さっそく購入した本を開いてみた。
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天界から男はノーマン帝国の洞窟に入り、天界に帰ろうとしたが失敗し、気付いたら別の国にいたという。
その後男はラフエンテ王国の洞窟へ入り、天界に帰って行ってしまった。
女性と子供はラフエンテ王国に引っ越し、いつまでも男の帰りを待った。
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ノーマン帝国の洞窟は別の世界ではなく、この世界のどこかに転移するのか。
ラフエンテ王国の洞窟は違う世界に転移する可能性大。
ただ天界が地球だと仮定して、男は本当に地球に帰れたのだろうか?
男がまた戻ってきて、《天界に帰れた》といったわけでもない。
とりあえずノーマン帝国の洞窟はハズレだな。
……
…
本を読み終え、ゆっくりティータイムを楽しんでいたところ、後ろに座って男が立ち上がり、よろめいておれに倒れかかってきた。
男の2本の指がおれの懐に向かって伸びる。スリか?おれはその指を2本の指で挟み制止する。
「へへへ、だんな、ほんの出来心です。ここは私が支払いますのでご勘弁を」
スリをしてきた男が悪びれる様子もなく謝罪してきた。
「じゃあお茶をもう一杯追加で」
あまりにも呆気らかんと話すので、咎める気が失せ、お茶一杯で許してやることにした。
奢ってもらったお茶啜っていると、ルフィナが現れた。
おれはどうぞといって席に着くように促す。
お茶を飲みながら軽い世間話をしていると、フェルナが本に気付き、
「あ、その本私も読んだよ。最後は切ないね。また天界から戻ってきてくれたらいいのに」
と、言ってきた。
「この本有名なの?」
「いえ、それほど有名ではないかな、ただ私の生まれた家にもあったから。
おばあさんなんて本に感化されたのか《我が家は物語に出てくる男女の子孫だ》なんて言う始末です。笑ってしまうね」
「そうなんだ?じゃあ少し反りの入った剣とかも持っている?」
「うんあった」
「それじゃあ本当に子孫かも知れないね。この本に出てくる刀と呼ばれているものは、反りの入った剣だから。
実はおれも天界へ帰る方法を探しているんだ。笑っちゃうよね」
「いえ、素敵ね」
その後少し話をして、宿屋に戻った。
………
……
…
その日の夜、ルフィナ部屋を訪ねてきた。
「タクマ、私ルフィナ、部屋に入ってもいい?」
「うん、どうぞ」
「ちょっと話を聞いてもらいたいんだけど、いいかな?
私ね、ラフエンテ王国のフロレス辺境伯家の人間なんだ。
最近そのラフエンテ王国と隣のゲルムズ帝国の間で戦争が始まりそうなの。
それで、情報を集めるために、私がこの国にきて調査しているというわけ。
茶店でタクマにスリを仕かけたのは私の仲間なの。
止めろといったんだけど、どうしても実力を確かめたいと言って。
試すようなことしてごめんね。」
「いいの?おれにそんな重要な秘密をしゃべっちゃって」
「うん、私達はもうラフエンテ王国に帰るから。ねえ、私達に協力してもらえない?
今、腕の立つ人を探しているの。それ相応のお金も払うわ。といってもタクマはお金に執着ないもんね」
「…じゃあ君の家にある本をおれに読ませてくれるかな?」
「ええ、いいわよ」
「もしかして、ファスト町でパンツを落としたのも、情報収集のためにわざとやったの?」
「違うわよ。あれは本当に手が滑って落ちたんですー」
ルフィナが顔を真っ赤にして、弁明していた。
ルフィナの情報を整理すると。
・ゲルムズ帝国が戦争の準備をしているという噂が流れている。
・最近鉄鉱石の値段が跳ね上げっている。
・鉄鉱石の産地である、サットン公爵領の鉄鉱石の輸出先を調べた結果、サットン公爵領からゲルムズ帝国へ、鉄鉱石が大量に輸出されている。
「ゲルムズ帝国には四天王と呼ばれる強者が居るの。
大量の武器に、最強と呼ばれる四天王。このまま戦争すれば、ラフエンテ王国は勝てないわ。
ラフエンテ王国にはゲルムズ帝国の四天王に対抗出来る人物がいないの。
タクマ、どうかペルジュ王国を助け、四天王を退けて頂けるようお願いできない?
私に出来ることならなんでもする」
「おれはいずれ何処かに行ってしまうから、四天王が生き延びた場合、誰かがその四天王を抑えなければならないな。
ルフィナ、四天王より強くなるつもりある?」
……
…
宿屋に戻り、ルフィナが2人に帰国することを告げる。
「セルジュ、ノエル、私これからタクマと一緒にラフエンテ王国に帰ることになったの」
「「え、これから」」
セルジュとノエルが驚く。
「うん、ラフエンテ王国とゲルムズ帝国が戦争するかも知れないから、帰ってくるようにと言われているんだ」
「そうなんだ!?気を付けてね、ルフィナ、タクマ君」
「気を付けてくださいね、ルフィナ、タクマさん」
翌日、おれとルフィナはラフエンテ王国に向けて出発した。
………
……
…
王都隣町:
「スパルタン、少しこの町に滞在して、ルフィナの闘気量を底上げしようと思っているんだけど、協力してくれる?」
『はいマスター、極限まで追い詰めましょう』
その日から、ルフィナの地獄のような特訓が始まった。
…
今日もおれの修行に必死でついてくる。
「もう駄目、死んじゃう」
といい、ルフィナが意識を失った。今日何度目だろう。
気を失う度に、おれを経由して、魔剣スパルタンに《パーフェクトヒール》をかけてもらう。
ルフィナの修行を始めて30日が過ぎた頃、ノロノロではあるがサイクロン号を動かせるようになった。
ルフィナの闘気の量もだいぶ増えたので、ペルジュ王国に向かうことにした。
サイクロン号の運転はルフィナに任せる。
今はノロノロ運転だけど、そのうち30キロくらいは出せるようになるだろう。




