雌蝙蝠6.アキメネスはヴァンパイア!?
「オレには、前世の記憶があるんだ」
「え?」
「嘘だと思うかもしれないけど、前世では女性だった」
「まさか、アキメネスも転生者って事?」
「エリカもそうなの!?じゃあ、オレ達には共通点があるんだ!」
「そうだよ。ウチは元男性だったけど、病気で死んだと思ったらヴァンパイアになってた」
「にんにくが大好物のヴァンパイアなんかいるの?初めて聞いた」
「自分でもびっくりだよ。しかも血は苦手だから、普通の食事で栄養を摂るしかなくてw」
「なにそれ、ポンコツじゃんwww」
「でも、人外だから運動神経はいいのよ!足は速いし、重いものでも軽々持ち上げられる。にんにくを食べるとさらにパワーアップするしね!正直、男性だった時より運動面では長けてるww」
「そうなんだ。じゃあ、牙は何の為にあるの?」
「多分、生にんにくにかじりつく為かなww」
「え、にんにくを生で!?だから臭いんだ」
「ウチの話はもういいでしょ。アキメネスは前世で何してた?」
アキメネスに色々言われて悔しいし、そろそろ彼の話も聞きたいので話を促す。
「オレの前世の話を聞いても、つまんないと思う」
「アキメネスの事を知りたいから教えてよ。ウチの一方的な話だけじゃ、不公平じゃん」
「分かった…」
渋々話してくれた内容は衝撃的だった。
前世の彼(女性)は、幼い頃に両親から虐待を受けていて、近所の人からの通報で児童相談所に保護された。
施設や学校では穏やかに過ごしていたが、高卒で就職した会社がブラック企業だった。
上司からのパワハラや残業は当たり前で、わずかな時間を眠る為に自宅に帰り、再び会社に戻る。そんな日々の繰り返しで、過労死したらしい。
気が付くと街外れで両親に捨てられていた。
残された手紙には『アキメネスは役立たず』と書かれていた。
ふらふらとさまよい歩き、漂うにんにく臭を辿ってウチの家に来たのだ。
「こんな小さな体で辛かったね…」
「うん、だけどもう大丈夫!優しいエリカに出会えたから」
そっと抱きしめると、彼も抱きしめ返してくれた。
「オレは、これからもここにいていいの?」
「もちろん、好きなだけいていいよ!あ、にんにくは控えるから」
「やったー!」
「アキメネスが住むからには、換気をこまめにしなきゃだね」
ウチは、しばらく閉じきっていた窓を開ける為、力を込めた。
「ふんっ!」
勢いよく開け放った反動で、体が飛び出しそうになる。
慌てて体を引っ込めた為か額をぶつけた。
「痛っ!」
「大丈夫?」
アキメネスが駆け寄り、心配そうにウチの顔を見た。
「エリカ、血が出てる!」
「あ…」
ふらついてベッドに倒れ込んだウチの額からはわずかに出血しているようだ。
「オレが、すぐ治るおまじないかけてあげる!」
そう言うと、出血部分を舐めた。
「唾液には消毒効果があるんだよ」
「もしかして、ウチの血を飲み込んじゃった?」
「うん、全然平気!」
無邪気に笑う彼の方が、よほどヴァンパイアらしいなと思った…。
蝙蝠7へ続く…
読んでいただきありがとうございます!
小話⑥初めて転生ものを書いたのですが、こんな感じでいいんでしょうか?前世の回想を長く書くと重くなりがちなので、なるべくあっさりにしようと思った形です。




