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第14話 特殊警察

 特殊警察、小坂は珈琲を片手に新聞を読んでいた。ここは警視庁の中にある特殊警察の部署で、精鋭の集まりなので数十名程しかいない。そして、仕事もそこまでないのがこの部署だ。


 そして今日も、何もせずに終わるのだと思っていた――数分ほど前までは。


『特殊警察、特殊警察、東京都渋谷区にて怪しげな人物を発見。至急、向かってください。繰り返します。東京都渋谷区にて怪しげな人物を発見。至急、向かってください。繰り返します――』


 その放送に、特殊警察の面々は一斉に立ち上がり、上官の指示を待つ。上官は、資料を見ていたが直ぐに片付けて顔を上げる。そして、人数を数えると口を開いた。


「小坂、そして遠藤は直ぐに現場へ向かえ。連続殺人事件の犯人の可能性もある。何かあった時の保険として、山本、山田、佐々木は近くに潜伏しろ。」

「「「「「はっっっっっっ」」」」」


 連続殺人事件の犯人か……それは危険だ。犯人は、針を扱う。その針には、調査したところグレートタイラントがドロップする毒が塗られていた。


 そして、犯人を捕らえたとしても難しいのは、殺された者たちが皆、有名な公開指名手配犯であったことだ。勿論殺人は犯罪だ。だが、危険で有名の公開指名手配犯であれば?正当防衛ということで通ってしまうかもしれない可能性がある。


 それだけはなんとしても避けなければ。今回指名された者たちは、皆Aランクの称号を持つ探索者だ。万が一、何かあった時、戦える者でないとより危険だからだ。


 何が起こるか分からないのがこの職の面白いところだ。死闘でも、なんでもかかってこい。上等だ。


 ――ああ、そう言ったさ。だが、今この目の前の者たちを見て同じことは言えるか?答えは否だ。Aランクの称号を持っていても、ここまでの人数の者たちとは戦えない。


「お前たちは何だ」

「特殊警察さん、俺達だってね、普段ならこんなことしないんですよ。でもね、邪魔されちゃ困るんだよ」


 目の前には、二十名程の、仮面をつけた者たちが武器を構えて立っている。その武器は、針などではなく、棍棒、杖、剣、刀、銃、様々だ。


 背中を見せたら終わりだ。遠藤と小坂は、背中を合わせ、警棒を手に、囲む仮面を付けた者たちを睨みつけながら観察する。


 たった先程まで、渋谷区で発見された怪しい人物を尾行していただけだったのに。何故こうなった。怪しい人物は、ここに居る者たちよりも不気味な雰囲気を纏っていた。顔には仮面を付け、黒スーツに黒手袋という格好。怪しい他ない。職質を行った者によれば、「コスプレ」と言われたそうだが、絶対に違うだろう。


 纏う雰囲気がダンジョンの魔物よりももっと不気味だった。そして、不思議と尾行している私達が逆に観察されているように感じた。


 その怪しい者がビルに入って行ったので、追おうとしたらいつの間にかこの仮面をつけた二十名程の者たちに囲まれていた。


 これでもAランク探索者だ。そこら辺の人間や魔物たちの気配は読めるし、圧勝することだって出来る。だが、読めなかった。囲んでいるこの目の前の者たちは気配が全く読めなかった。


 完全に、裏社会で生きてきた者たちだ。武器を構える姿勢が熟練の探索者のそれだ。何故だ。何故、私達は今囲まれている。そして、何だ?普段ならこんなことはしないが、邪魔されては困る?何が?


 怪しい者はやっぱり怪しかった。本当なら今直ぐにでもその怪しい者を追いかけたい。本部にも連絡したい。だが、今直ぐにでも襲ってくる気配を放っている者たちが目の前にいる中、そんな事はできない。


 私達には、戦うという選択肢しか残されていなかった。



 ◇◆◇



 東京都千代田区にある警視庁で、特殊警察の部署はいつになく慌ただしくしていた。小坂たちに指示を出した上官も、膨大にある資料を一枚一枚目を通し、暗記している。


 資料には、国民の名簿が載っていた。膨大すぎる名簿の資料を一つずつ追い、目当ての名前を探す。探す。探すが、見つけられなかった。全ての資料に目を通した。だが、目当ての名前はなかった。


 目当ての名前――それは、月虎の若頭、如月藤吾(きさらぎとうご)の名前だった。


 今日もまた、少なめです。

 そして一つご報告が。もしかしたら、明日と明後日投稿できないかもです。


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