王宮で探る 25
「そのお茶会に参加します!」
私の宣言に、一瞬、その場が静まりかえった。
が、すぐに、アルが私に向かって猛烈な勢いで止めにきた。
「何言ってるんだ、ライラ! 今の話、聞いていただろう!? あいつらの茶会に行くのは絶対にダメだ! 危険だ!」
「うん、わかってる。でも、大丈夫だよ。すごく気をつける。だから、安心して、アル」
胸をはってそう言う私に、アルが首を横にふった。
「いや、全く安心できない! 安心できるわけがない! あのな、ライラ。ライラが気をつけるから大丈夫とか、そういう問題じゃないんだ。王宮であっても、あいつら主催の茶会なら、あいつらのテリトリーに入ることになる。当然、まわりはあいつらの手先になって動く奴らで固めているだろうし、何を仕掛けてくるかわからない。こっそり茶に何か入れることぐらいのことは、平気でしてくるような卑劣な奴らだぞ!?」
「うーん……なるほど。確かに、イザベルさんにつけられたジュリアンさんの強い邪気を思えば、それも納得というか……」
「いや、イザベルなんて、側妃アメルダと第二王子のフレッドの邪悪さに比べれば、あれでも、まだましなほうだ。とてつもなく傲慢でとんでもない性悪だが、単純バカだからな。だからこそ、ジュリアンも油断しすぎて、邪気まみれにされたんだろうが」
アル……。
イザベルさんには、またもや王子とは思えない毒舌全開になってるよ……。
でも、あんな強烈な邪気をふりまいていたイザベルさん以上となると、お茶会に行けば、そこは邪気の巣窟みたいな感じなんだろうか……。
もしや、部屋中に邪気が充満して、まっくらだったりするのかな?
そうなると、私の場合、側妃アメルダ様や第二王子のフレッド様の姿すら見えなかったりするかもしれないよね。
邪気をすいとりまくらないと、席にも座れなかったり、だされたお茶やお菓子も邪気で見えないかもしれない……。
そこまで邪気がうずまく場所に行ったことはないけれど、一体、どれだけの種がとれるんだろう……?
私は種を入れるために、特別にドレスに大きめの隠しポケットをつけてもらったりしているけれど、そんなんじゃ、到底、はいりきらないよね。
とはいえ、どの種もとりこぼさず、ちゃんと持って帰って植えたいし。
こうなったら、お茶会に行くスタイルとしては、ものすごく変になるけれど、旅行用の大きいバッグをもっていくべきか……。
なんて想像をめぐらせていると、アルがあきれたように言った。
「ライラ……。種がどれだけ沢山とれるかとか、その種をどう収納するかとか、なんて想像している場合じゃないからな」
「ええっ……!? アル、なんで私の考えていることが、わかったの!?」
「あのな……。俺が、どれだけライラを見ていると思ってる。ライラの考えていることくらい、手にとるようにわかる」
「そうなの!?」
そこで、ふふっとコリーヌ様が微笑んだ。
「アルはライラちゃんといる時は、一瞬たりとも見逃さない勢いで見つめているし、言葉はひとことも聞き逃さないよう聞いているものね」
コリーヌ様の言葉に一気に恥ずかしくなる。
が、恥ずかしがっている場合じゃない。
お茶会に参加できるよう、アルを説得しないと。
「アル。私を心配してくれるのは嬉しい。でも、やっぱり、私はお茶会に参加する! だって、私はグリシア侯爵家が絡んでいる邪気について調べに王宮へきたんだから。ある意味、ものすごいチャンスだよ? 主要人物たちが、そこに集まってるから、邪気のもとが誰なのかも、もしかしたら、わかるかもしれない。それに、そこから逃げていては、真相にはたどりつけないし。アルが王宮をでても、コリーヌ様が安全に過ごせるように、私は全力をつくしたい。あんな強い邪気を二度とコリーヌ様がつけられないように原因をつきとめないと。アルも安心できないでしょう?」
「まあ、それはそうだが……。しかし、あいつらの茶会に出席することは、敵の中に飛び込むことだ。ライラがそこまでしなくてもいい。いや、しないでくれ。もちろん、何をしかけてこようが、俺が絶対にライラを守る。それでも、あの邪悪な奴らが集まる中に、ライラを連れて行くことを俺はしたくない」
「ありがとう、アル。でも、やっぱり行く。あの邪気のことを知るには、行くべきだと思うから」
「こうなったら、ライラはひかないからな……」
と、アルがためいきをつくと、コリーヌ様がやさしい眼差しを私に向けて微笑んだ。




