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怪物  作者: 水野 すい
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手掛かり

「さてと」


夏輝は立ち上がり、子供たちの輪に戻った。

一緒に夕食を摂り、夏輝が後片付けを終えてトイレに行った時だった。


トイレを出ると、廊下には康太の姿があった。


「うおっ、びっくりした…!どした?トイレ空いてっけど」


夏輝はそう言ってトイレのドアを開けた。

康太はどこか神妙な面持ちで夏輝を見上げた。


「…あの、オレ…夏輝兄ちゃんに話したいことがあって…」


康太はそう言って俯いた。


「ん?あ、お前まだ算数苦手なのかー?しゃーねーから見てやるよっ」


夏輝が笑いながらそう言って歩き出そうとすると、康太は「違うよっ…!」と言って夏輝の腕を掴んだ。


「なんだ?どした?何か言いづらいことでもあったか?」


夏輝は不思議そうにそう言ってしゃがみこみ、康太の顔を見た。

康太は少し辺りを見渡し、言いづらそうにしながら口を開いた。


「実来姉ちゃんのことなんだけど… 」


言われ、夏輝の表情からゆっくりと笑みが消えた。


「……実来のこと?」




******




康太たちの部屋に移動した夏輝は、部屋に入るなり康太を見た。


「...それで、実来のことって?」


康太は畳に腰を下ろし、「うん...」と呟いてから夏輝を見て言った。


「...あの時オレ、よく実来姉ちゃんの部屋に行って寝てたんだよ。夜、眠れなくて」


「康太が7歳の時か」と夏輝。


「うん...それで、あの日もそうだったんだ」


「あの日って、実来がいなくなった日...の前日ってことか?3月18日」


小学校の卒業式は3月19日だった。

19日の朝に、俺たちは実来がいないことに気づいて探し回っている。

警察の調べじゃ、実来は3月18日の夜にあのビルで飛び降りていた。


康太は首を横に振った。


「違う..その前の日、3月17日の夜だよ」


「卒業式の2日前ってことか」


「うん。その日もオレ、眠れなくて実来姉ちゃんの部屋に行ったんだ。多分...12時くらいだったと思うけど、オレその時まだ時計の見方、学校で教わってなくて、夏輝兄ちゃんたちに何となく教えてもらっただけだったし、だから何時かは、宛てにならないと思うけど....。でも、多分それくらいの時間」


「実来、何か言ってたのか」


「それが...オレが部屋に行った時いなかったんだ、実来姉ちゃん」


「いなかった...?」


夏輝は怪訝な表情を浮かべた。


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