願いごと
夏輝は廊下を歩き、かつての部屋の前で立ち止まった。
かつては部屋の横の看板に【なつき】【きょうすけ】と書かれていた札には、【こうた】【ゆうき】と書いてあった。
「うわ―懐かしいっ」
夏輝は嬉しそうに呟き、ドアを3回ノックした。
すると「はーい!」と声が聞こえ、夏輝はドアを開けた。
「よーっ!康太っ、勇樹!」
夏輝がそう言うと、康太と勇樹は夏輝を見て嬉しそうに笑った。
「わー!夏輝兄ちゃんだ!」
「夏輝兄ちゃん!」
2人はそう言いながら夏輝に歩み寄ってきた。
夏輝は中に入り「久しぶりだなあ~!元気だったか???」と2人の頭を撫でた。
2人は恥ずかしそうに夏輝を見て、「もう子供じゃないから頭ナデナデはいいよっ」と言った。
「はあ~?生意気になりやがってっ!まだガキだろうがっ」
夏輝はそう言いながら2人の髪をわしゃわしゃと掻いた。
2人は「やめろよっ」と言いながらも楽しそうに笑った。
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それから夏輝は2人を連れて庭へ行き、他の子供たちと一緒に遊んだ。
サッカー、キャッチボール、おままごと、砂遊びをしてあっという間に3時間が過ぎた。
辺りもすっかり暗くなった頃、夏輝は疲れ果てて縁側に腰を下ろした。
「うあーっ疲れた…!」
夏輝がぐったりと項垂れると、隣に子供たちが3人来た。
「夏輝兄ちゃんもう疲れちゃったの〜?おじさんだあっ」
言われ、夏輝は「うっせーよっ」と笑い、彼らの頭をわしゃわしゃ。
すると、「みんなごはんだから準備手伝って〜っ!」と先生たちの声が聞こえた。
子供たちは「はーい!」と言って走って行った。
夏輝は「疲れたあ〜…」と呟き、縁側から空を見上げた。
「あ…」
夏輝は1人小さく呟いた。
都心からは離れているせいで、星がよく見える。
ああ、やっぱりこの場所は思い出しちゃうなあ。
この星、実来とよく見たなあ。
流れ星が流れた時、願い事したっけ。
12歳時、俺は隣で願い事をする実来を見ていて流星を見逃したなあ。
でも、9歳の時からここで流星を見る度に何回も願った。
"実来と結婚できますように"なんて。
12歳の時ーーー最後に実来と星を見た日、流星を見逃したせいで願いは叶わなかったのかな。
あの日、実来の横顔を見てないでちゃんと願い事をしていれば、星は俺の願いを叶えてくれたかな。
いや、そんなわけないか。
だって何回も願ってたけど、結局叶わなかったもんな。
もしも願いが叶うなら、今横に実来がいるはずなんだから。
ああ、だめだだめだ。
またナーバスになっちゃってたわ。




