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怪物  作者: 水野 すい
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願いごと

夏輝は廊下を歩き、かつての部屋の前で立ち止まった。


かつては部屋の横の看板に【なつき】【きょうすけ】と書かれていた札には、【こうた】【ゆうき】と書いてあった。


「うわ―懐かしいっ」


夏輝は嬉しそうに呟き、ドアを3回ノックした。

すると「はーい!」と声が聞こえ、夏輝はドアを開けた。


「よーっ!康太っ、勇樹!」


夏輝がそう言うと、康太と勇樹は夏輝を見て嬉しそうに笑った。


「わー!夏輝兄ちゃんだ!」


「夏輝兄ちゃん!」


2人はそう言いながら夏輝に歩み寄ってきた。

夏輝は中に入り「久しぶりだなあ~!元気だったか???」と2人の頭を撫でた。

2人は恥ずかしそうに夏輝を見て、「もう子供じゃないから頭ナデナデはいいよっ」と言った。


「はあ~?生意気になりやがってっ!まだガキだろうがっ」


夏輝はそう言いながら2人の髪をわしゃわしゃと掻いた。


2人は「やめろよっ」と言いながらも楽しそうに笑った。




******




それから夏輝は2人を連れて庭へ行き、他の子供たちと一緒に遊んだ。

サッカー、キャッチボール、おままごと、砂遊びをしてあっという間に3時間が過ぎた。

辺りもすっかり暗くなった頃、夏輝は疲れ果てて縁側に腰を下ろした。


「うあーっ疲れた…!」


夏輝がぐったりと項垂れると、隣に子供たちが3人来た。


「夏輝兄ちゃんもう疲れちゃったの〜?おじさんだあっ」


言われ、夏輝は「うっせーよっ」と笑い、彼らの頭をわしゃわしゃ。

すると、「みんなごはんだから準備手伝って〜っ!」と先生たちの声が聞こえた。

子供たちは「はーい!」と言って走って行った。


夏輝は「疲れたあ〜…」と呟き、縁側から空を見上げた。


「あ…」


夏輝は1人小さく呟いた。


都心からは離れているせいで、星がよく見える。


ああ、やっぱりこの場所は思い出しちゃうなあ。

この星、実来とよく見たなあ。


流れ星が流れた時、願い事したっけ。

12歳時、俺は隣で願い事をする実来を見ていて流星を見逃したなあ。

でも、9歳の時からここで流星を見る度に何回も願った。


"実来と結婚できますように"なんて。


12歳の時ーーー最後に実来と星を見た日、流星を見逃したせいで願いは叶わなかったのかな。

あの日、実来の横顔を見てないでちゃんと願い事をしていれば、星は俺の願いを叶えてくれたかな。


いや、そんなわけないか。


だって何回も願ってたけど、結局叶わなかったもんな。

もしも願いが叶うなら、今横に実来がいるはずなんだから。


ああ、だめだだめだ。

またナーバスになっちゃってたわ。


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