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怪物  作者: 水野 すい
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83/100

まだ言えてない

2024年8月18日 18:30


恭介君、遅いな。

塾で引き留められちゃったのかな。

それとも、途中で事故に遭ったとか?

大丈夫かな?


先に連絡先交換しとくべきだった。

どうしよう。


菜々美がそんなことを考えていた時、足音が聞こえた。


「恭介くーーーーー」


菜々美が嬉しそうに顔を上げると、そこには知らない男たちが6人。


「お姉さん何してんの?かわいいね〜」


「こんなとこで1人でいて、暇なら俺たちと遊ぼうよ」


ニヤニヤする彼らを見て、菜々美はすぐに立ち上がって歩き始めた。

すると彼らは「ちょっと無視しないでよ〜」と言いながら男たちはついてきては、菜々美の前に立ちはだかった。


菜々美は俯き「やめてください。通報しますよ」と言いながら睨むように彼らを見上げた。


「そういう顔もかわいいじゃん〜?」


「ねえそんなこと言わずにさ〜?」


そう言いながら男たちは、菜々美の腕を掴んだ。


「ちょっと..!」


菜々美の声を無視して、「いいからついてこいよ」と言いながら男たちは菜々美の腕を引っ張った。


「ちょっと....!やめてっ!」


菜々美は必死に抵抗し、力を振り絞って腕を振り払おうとするも、男たちは3人がかりで菜々美を引っ張り、菜々美は近くに停まっていたハイエースに引きづりこまれた。


「やめてっ...!離してよっ...!助けて!恭介君っ....!!!!」


菜々美の叫び声も虚しく、ハイエースのドアがしまった。

ハイエースは乱暴に発車し、菜々美の口にはガムテープが貼られた。




******



ハイエースが移動している時間は、恐ろしく長く感じた。

その間、暴れていた菜々美の顔を、男の1人が思い切り殴りつけた。

菜々美は唇が切れ、鼻血が出ていた。


初めて人に殴られた。

こんなにも痛いものだなんて知らなかった。

殴られた瞬間目の前が真っ白になって、なぜか自分からネジが飛んだかのような機会音がした気がした。


あまりの動揺で、それからのことはあまり覚えていない。

気がつけば、小さなアパートに一室にいた。

恭介君、今頃心配してないかなーーーーー。



******



男たちに掴まれ、乱暴に部屋に連れ込まれた。

部屋のボロいソファの上に投げつけられたと同時に、男の1人があたしの上に馬乗りになり、あたしの首を締めた。


「なあ、誰だよこいつの顔殴ったの。終わってからにしろって言っただろ」


「悪かったよ。その女が暴れるからついむかついてさ」


「ふざけんなよ。興奮しねえだろ」


「別にもう血も止まってるだろ。いいから早く脱がせろよ」


男たちはそんな会話を繰り広げ、菜々美の周りに集まった。

その内の1人は、呑気にキッチンで飲み物を飲んでいた。


男たちは菜々美のシャツに手をかけ、乱暴に引っ張りボタンを開けた。

菜々美はまだヒリヒリする唇に力を込め、「やめてっ...!!」と叫んだ。


「うるせえな...!」


男はそう言いながら菜々美の唇を塞いだ。

ねっとりした舌が菜々美の口の中に入り、菜々美は泣きながら「やめて..!」と声を出した。


「なあこいつ処女?」


「いや、違うっぽい。面倒臭いからやっとけって言ったんだよ」


「まじで?うける」


「まあいいんじゃね?何でも」




******




何時間が経っただろう。

口の中は血と涙が混じり、変な味がした。

全身がヒリヒリして激痛が走る。


何度も首を締められて喉も苦しい。

声が出ない。


どうしてこんなことになったんだろう。

あたしは一生、恭介君しかいないと思っていたのに。

もう嫌だ。


ああ、恭介君心配してないかな。

こんなに汚されたあたしのこと、愛してくれるかな。


でも、恭介君が初めてで良かったな。

これは悪い夢で、あたしは恭介君としかしていない。


きっとそうだ。


恭介君に遊ばれてるんじゃないかなんて思ったせいで、変な夢を見ているんだ。

目が覚めれば恭介君が隣で寝てるはずだ。


ああ、そういえばまだ『好き』って言えてないや。




ーーーーーねえ、恭介君、好きだよ。




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