一生忘れない
恭介はそんな夏輝を見て、すぐに微笑んだ。
「意外。なっちゃんって実来ちゃん以外とそういうことしたいと思ってたんだね。興味ないと思ってた」
「んー興味はなかったなあ。でも衝動的っていうか、気づいたら抱きついちゃってたっていうか…でもまあ、経験してみないと分かんないことってあるんだなーって思った」
キョトンとながらそう言う夏輝に、恭介は「…まあ、付き合う気がないなら気をつけないとだね」と微笑んだ。
「だなあ〜〜。でもさ、それでもキスしたいとか、やっぱ思わなかったんだよなあ。状況が状況だったのもあるけどー…この年齢でこれって…俺ってやっぱどっかおかしいのかも…」
夏輝はそう言いながらぼんやり空を見上げた。
「それだけなっちゃんが実来ちゃんを好きってことなんじゃないかなって俺は思うけど。だから他の女の子に興味持てないんでしょ?多分」
恭介は穏やかに微笑んだ。
「まあ、それはそうなんだけど…でも、ずっとこのままってわけにもいかないのかなーって」と夏輝。
「どうして?羽住さんのこと好きになりたいの?」
「そうじゃないけど。でも、いつかはこうやって1個ずつ価値観が変わってさ、他の人を好きになっていくのかなーって」
ぼんやり呟く夏輝に、恭介はクスッと微笑んだ。
「実来ちゃんのこと忘れたいの?」
そう言うと、夏輝は勢いよく恭介をの方を見て「違う!絶対一生忘れない」と言った。
「...でも実際、実来とは話せないし、触れられないし、塚本さんにも言われたけど、いつまでもこのままってのもね」
夏輝はそう言って苦笑した。
「別に無理に誰かを好きになる必要なんてないでしょ。俺はいいと思うよ、ずっと実来ちゃんを好きななっちゃんで」
恭介が微笑むと、夏輝は「...まあ、それもそうだなっ!」と笑い、「てかこんな、実来がいる場所で女の子の話とか何かちょっと嫌だわ」と呟き、自分の隣に置いたゼリー缶を手に持った。
夏輝は両手でゼリー缶を持ち、ぜり―缶に向かって「俺は実来が好きだぞっ!ずっと!」と言って笑った。
そんな夏輝を見て、恭介は「実来ちゃん、嫉妬してるかもね」と微笑んだ。
夏輝は笑いながら、わざとらしくゼリー缶を抱きしめて言った。
「実来愛してるぞ~~~~~~」




