『好き』の種類
「夏輝くーんっ!今日一緒に帰ろ♡」
放課後、クラスに綾花が来た。
「あ、無理。今日用あるから」
夏輝がそう言うと、綾花は「あっ」と呟いてからすぐに微笑んだ。
「...えーっしょうがないなあ♡じゃあチューして♡」
綾花がそう言って夏輝を見上げると、「はあ?無理。なんで俺が綾花と」と笑いながら帰る準備をした。
「もうーっ。じゃあ明日は?明日一緒に帰ろっ♡」
「んー考えとく」
夏輝がそう言って笑うと、綾花は「じゃ決まりね♡」と微笑んだ。
「はいはい。じゃあな~」
夏輝はそう言って教室を後にした。
「はーい♡ばいばーい!」
綾花が夏輝を見送ると、近くにいた健斗が「おいおいおいおいっ!」と駆け寄って来た。
「なんだよ今のっ!?」
「んー?なにが?」
綾花がニヤニヤすると、健斗は驚いた顔で言った。
「夏輝、明らかにお前に対する態度違くなってないか!?綾花って言ってたぞ!?先週課題届けに行って付き合えたんか!?」
「ふふん♡」
「えっ!?夏輝が!?彼女作ったの!?」
「残念ながら友達宣言されましたあ」
綾花がそう言うと、健斗は「えっそうなの?にしては前より仲良くなってね?」と不思議そうに綾花を見た。
「まあねっ。でもいいの!私は付き合えなくても親友枠になろうと思います!ほら、よく考えてみたらさ?彼女になったらいつか終わりがあるかもだけど、親友なら一生一緒だし?『好き』にも種類があるでしょ?」
「それにしてはチューしようとか言ってなかったか...?」
「それは冗談って言うかあ、ワンチャンって言うか?♡」と綾花。
「それ友達か...?先週何があったんだよ?」
「んー、おっぱい触られた♡」
「ますますどういうこと!?」
健斗がそう言うと、綾花は笑って言った。
「でも、前より夏輝くんに近づけた気がして嬉しいのっ。まあ、彼氏になってくれないのは悲しいけど...でも、これでいいかなって思うの」
そう言うと、健斗は不思議そうにしながらも苦笑した。
「まあ、夏輝もなんとなく、前より楽しそうだったな。今日」
そんな夏輝と綾花のやりとりを見た恭介は、表情を変えずに廊下を歩いた。




