何の為に
中学に入ってから、女に話しかけられることが増えた。
『好き』とか『付き合いたい』とか、そういう鬱陶しいやつ。
だけど次第に思った。
父も母も、異常なくらい異性に執着していた。
それがどんなものなのか知りたくなった。
子供を放置してでも手に入れたいほどの快楽なのか、と。
中2の時、初めて女を抱いてみた。
やっぱり良いことなんか何もなかった。
すごい吐いたし、発疹が出た。
なっちゃんは、実来ちゃんとこういうことがしたかったの?
だとしたらオススメできないのに。
でも同時に、その女が俺に付き纏ってくるようになった。
鬱陶しいと思う反面、利用価値を見出した。
そうしよう。
なっちゃんとはあまり話さなくなったけど、元気そうにしてる姿はたまに見掛ける。
なっちゃんは女なんかいなくていいと思う。
こんなずるくて、汚くて、醜い生き物になんか触れる必要がない。
ーーーーーそれなのに。
『初めてこう、女の子とぎゅってした。体小さいんだなあ』
『綾花と出会えて良かったよ』
『彼女にはしてあげられないけどー…これからは友達ってことで、どう…?』
なっちゃんがこの間、羽住綾花に言っていた言葉。
ちょっと待ってよ。
なっちゃんはずっと、中学の時から女になんか興味なかったはずでしょ?
何を言われても適当にあしらってたでしょ?
それが友達?出会えて良かった?
初めてぎゅってしたって何?
女に触れたってこと?
音声からはそれ以上触れた感じはしなかった。
でも、それでも。
なっちゃんの心には実来ちゃんしかいないんじゃなかったの?
だったら何の為にーーーーーー。
羽住綾花も、このままにしておいたら『また』同じことになるかも知れないなあ。
ちゃんと仕事してくれなきゃ困るよ、実来ちゃん。




