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子供で良かったこと
それから何回も警察の人が来ては、「大丈夫か」とかそんな言葉をかけてきた。
そんなこと思っていないくせに、同情したフリをする。
両親を見ているようで腹が立った。
それに、何が「大丈夫」なのか。
黒焦げになった両親だったものを見て、俺が涙を流したから同情しているのか。
もし隣の家のおばさんや、おばさんの家にいた柴犬が黒焦げになっていたら確かに俺は「大丈夫」ではないだろう。
でもいなくなったのは両親の方で、困ることなんか何もない。
元々決まっていたことだ。
予期していたことが起きただけで、どうして俺が泣かなければならないのか。
放火犯を絶対捕まえるからな、なんて言われたけど、それに対する俺の回答は『最初からいないものを探してどうするんですか』だ。
もちろん、口には出さないけどね。
だって声が出ないから。
俺が子供で良かったと思うのは、大人が9歳の子供を一切疑わないという点だ。
勢いよく燃える家を見て、おばさんの家に戻った。
マッチは学校の理科室で捨てた。




