何かやだ
2020年 夏輝・恭介・実来 11歳
「じゃあ次は〜なっちゃんと恭ちゃんどっち派?」
体育の時間、実来が座って見学をしていると、隣の女子3人組からそんな声が聞こえてきた。
目の前の校庭では、クラスメイトたちがドッヂボールをしている。
「なっちゃんチビだし恭ちゃんでしょ!優しいし」
「だよね!なっちゃん意地悪なんだもん〜いっつもからかってくるし。恭ちゃんいつもニコニコしてて可愛いよねっ」
「そうかな?私はなっちゃん派だなあ〜。意地悪してくるのも、ユカと話したいってことだもん。そういうなっちゃんカワイイな〜って」
「えー!ユカちゃんもしかしてなっちゃんのこと好きなの〜〜??」
「そんなんじゃないよ〜〜〜いいからいいから。じゃあ次はナオ君とヒロ君ならーーーー」
帰り際、下駄箱に実来が来た。
「あれ、恭介はー?」
夏輝が言うと、実来は「恭ちゃん今日図書委員会行かなきゃいけないんだって〜帰りは2人だね」と言いながら靴を履き替えた。
夏輝は「へ、へえ…2人ね…」と呟いた。
実来は「なに?私と2人じゃ嫌なんだ?」と夏輝を見た。
夏輝は「は?!ちげーよ!いちいち突っかかってくんなよっ。ほら帰ろーぜ」と言って恥ずかしそうに歩き出した。
「ねえなっちゃん」
帰り道、実来はふと言った。
「ん?」
夏輝は道端に落ちていた木の棒で草むらを突いたりしながら適当に返事をした。
「なっちゃんってさ、ユカちゃんのこと好きなの?」
実来がそう言うと、夏輝は「はあっ!?」と立ち止まった。
「違うの?」
実来はキョトンとした表情で夏輝を見る。
夏輝は慌てた様子で「そんなわけねーだろ!」と不機嫌な表情を浮かべた。
「じゃどうしてユカちゃんに意地悪するの?お話したいんじゃないの?」
「はあ?何でそうなるんだよ?」
「だって.....」
実来はそう呟き、少し口を尖らせた。
「だって?」夏輝は不思議そうに実来を見る。
実来は口を尖らせたまま何も言わずに遠くのコンクリートを見ていた。
夏輝はよく分からないまま「なんだよっ」と言って、右手で実来の頬を掴んで自分の方を向かせた。
「どーした?何かあったのか?」
キョトンとした顔で実来を見る夏輝に、実来は「もういいっ!」と言って顔をそむけて歩き出した。
「そーゆーのユカちゃんにすればっ!?喜ぶんじゃないのっ」
スタスタと歩いて行く実来に、夏輝は「はあ?」と呟き、実来の隣まで小走りで行った。
「意味わかんねー。何怒ってんの??ブッサイクな顔になってんぞっ」
夏輝がヘラヘラそう言うと、実来は「うるさい!」と言って歩いた。




