↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪物  作者: 水野 すい
PR
56/100

笑って生きていくんだよ

そう思った時、目の前で泣いている綾花が眩しく見えた。

太陽のような温かさ。


綾花に触れた時、実来に触れた時と同じ感覚を覚えた。

自分の中に流れこんでくるような温かさ。

すべてを包み込んでくれるような優しさ。


一生このままこうしていたいと思った。

初めて人に見せた自分の弱さが、このままでもいいと思えた。

全部話してしまいたいと思った。


実来を救えなかった自分が、一瞬だけ許されているような気になった。

こんな気持ちになったのは実来を失ってから初めてだった。


「そんな風に言ってくれる人がいるなら、俺はまだ生きてていいのかもなあ....」


夏輝はそう言って苦笑し、手で涙を拭った。

そう言われ、綾花は涙でぐちゃぐちゃに崩れた顔で「当たり前だよっ.....!」と必死に言った。

夏輝は綾花の勢いに驚き、目を見開いた。


「夏輝くんは生きてていいじゃない...!生きるんだよ...!生きて...美味しい物も、楽しいことも、嬉しいことも...幸せも..!全部手にできるんだよっ....!誰の許可もいらない、誰の顔色も伺わなくていい。夏輝くんの人生なんだよ!好きも、嫌いも経験していいの!ずるいことしたっていいの!無理なんかしなくていいの!責任なんて感じなくていいの!人を恨んでもいいの!もう十分過ぎるくらい苦しんだんだから...好きなことして、笑って生きていくんだよ...!」


綾花は泣きながら、必死に夏輝の肩を掴んで続けた。


「確かに..夏輝くんの言う通りだよ。悲しみを分け合いたいだなんて...綺麗ごとだった。夏輝くんの悲しみを代わってあげることはできないけど、でも...!これから夏輝くんが経験する悲しみも、喜びも、夏輝くんの中にある量は変えてあげられないけど....同じ分だけ、私も感じるんだよ。私だけじゃないよ...夏輝くんが思ってる以上に、夏輝くんを大切に思う人はたくさんいるの。その人たちみんな、大切な分だけ夏輝くんの傷み、一緒に背負うんだよ。1人じゃないってことだけは忘れないで...!」


綾花に言われ、夏輝は静かに涙を流しながら綾花を見つめた。


「...ありがとう。綾花」


夏輝がそう言うと、綾花は少しハッとして「あ...ごめん。偉そうなこと言っちゃったね。はは...」と呟いて涙を拭った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。