実来がくれたもの
「分かった!じゃあ夏輝くんって呼ぶね♡」
綾花がニヤニヤすると、夏輝は「うん、いいよ」と言ってから綾花を見た。
「でも、俺がさっき言ったことは撤回しないよ」
「さっき言ったことって?」
「俺はたぶん、この先もずっと綾花を好きになることはないと思う。だから、そういう期待はしないで欲しい」
真剣にそう言う夏輝を見て、綾花は「..分かった」と頷いた。
「じゃあ私、相原くん...じゃなくて夏輝くんの親友になるよ!」
綾花はそう言って微笑んだ。
「お、おう....」と夏輝。
「あと、1つだけ聞いてもいい?あ、答えたくなかったら答えなくてもいいんだけどさっ!」
「ん?」
「毎日カレーばっかり食べてるのも、実来ちゃんに関係ある?あと、マリーゴールドと黄色」
綾花がそう言うと、夏輝はフッと笑った。
「1つじゃなかったのかよ」
「あ、ごめん」と綾花。
「...カレーは実来もあるけど、初めてお腹いっぱいに食べた物だから好き。マリーゴールドは実来の好きだった花。黄色は...実来がくれた俺の好きな色」
淡々とそう言う夏輝に、綾花は「...そっか。ありがとう」と微笑んだ。
「聞かないんだ?どういうことーって」
夏輝が苦笑すると、綾花は満足したように笑った。
「それだけ一気に知れたら十分だよっ。まあ、気になる情報しかなかったけど...でも、いつか話してよ。夏輝くんが話してもいいと思える日が来たら。永遠に来なかったとしても、私友達やめてあげないから」
「永遠にって…こっわ」
夏輝はそう言いながら少し嬉しそうに笑った。
「だってそれが夏輝くんの傍にいれる方法なんだもん〜。あ、ねえ、峯くんって実来ちゃんこと知ってるってことだよね…?」
綾花は少し聞きづらそうに夏輝の顔を覗き込んだ。
「うん。知ってるよ」と夏輝。
「そっか…仲良かったんだね」
綾花がそう言うと、夏輝は「仲良かったって言うかーーー」と言って綾花を見た。
「俺と恭介と実来は、家族だから」
夏輝の言葉を聞き、綾花は「え…?」と瞬きをした。
「…俺も恭介も実来も、同じ施設で育ったんだ。だから恭介も俺と同じ気持ち」
「施設って…」
綾花はそう呟き、ネット記事で見た児童養護施設を思い出した。
「俺ら、親いなかったから。だから小学生の時からずっと3人だった。だから俺と恭介にとっての実来は、こんなに特別なんだよ」




