なっちゃん
「ふは、わざわざ握手して友達になるって変な感じ〜」
綾花はそう言って笑った。夏輝も苦笑し「だね」と2人は手を離した。
「ーーてかさあ」
夏輝はキョトンとした顔で呟いた。
綾花が「ん?」と言うと、夏輝はそのまま表情を変えずに言った。
「初めて女の子とこう、ぎゅってした。体小さいんだなあ」
そう呟く夏輝に、綾花は「えっ?本当に?」と笑い出した。
「うん。だって今まで興味もなかったし」
「そんな急に子供みたいなこと言って、相原くんって面白いね?」と綾花。
「別に面白くねーよ。感想言っただけだろ。あ、あとさ」
夏輝はまたキョトンとした顔で続ける。
「初めておっぱい触った」
「はっ!?なにそれふざけてんの!?」
綾花は途端に恥ずかしそうに言った。
「ちょっと泣きすぎてそれどころじゃなかったから感触?分かんないけど。ちょ、もう1回触らして」
真顔でそう言う夏輝に、綾花は「最低過ぎるんだけど!?」と言い、夏輝は「冗談だわ。お前の貧相な体なんか興味ねーよ」と笑い出した。
「ええっひどいっ!あ、じゃあ♡触らせてあげるから付き合お♡」
綾花がニヤニヤしながら言うと、夏輝は表情を変えることなく「あ、無理」と答えた。
「ひどっ!!」
「あ、じゃあじゃあ!友達記念に綾花♡って呼んでよ!」
綾花がそう言うと、夏輝は「あ、うん。あやーーーーー」とすぐ口を開き、綾花は「あーーー!」と大きな声を出した。
「なんだよ...」
夏輝は面倒臭そうに綾花を見る。
「記念すべき第1回だよ?ちゃんと目見て言ってよっ!」
綾花に言われ、夏輝は「お前まじ面倒臭いな」と顔をしかめ溜息をつく、改めて綾花を見た。
「...綾花?」
夏輝がそう言うと、綾花はみるみる顔が赤くなった。
「きゃ♡幸せ♡」と綾花は両手で頬を覆った。
「バカじゃねーの...」
夏輝は呆れた顔で綾花を見た。
「あっ!あとさ、私も峯くんみたいに『なっちゃん』って呼んでもいい?友達記念♡」
綾花がそう言うと、夏輝は「あ、それも無理」と即答した。
「何でよっ」と綾花。
「それは実来がくれた名前だから。実来以外の女の子には呼ばれたくない」
夏輝がそう言うと、綾花は「そっか..」と少し悲し気な表情を浮かべた。
そんな綾花を見て、夏輝は「あ、いや」と呟いてから口を開いた。
「ごめん。綾花が嫌とかじゃなくて、綾花は実来じゃないから。綾花は綾花だから、実来と重ねたくないってこと」
夏輝が言うと、綾花は「え?」と不思議そうに夏輝を見た。
「いやだから、実来の代わりみたいに思いたくないってこと。こんな...情けない姿見せちゃったのとか綾花が初めてだし、そんな風に言ってくれた人っていなかったから。だから実来とは違う呼び方にして?」
そう言われた綾花は微笑んだ。




