これからは
夏輝の泣く声はだんだん大きくなっていき、夏輝は勢いよく前のめりになり、綾花の腕が振り解かれた。
綾花が夏輝を見ると夏輝は振り返り、今度は自分から綾花に抱きついた。
綾花は一度「うおっ」と不思議そうに夏輝を受け止め、すぐに優しく微笑んだ。
綾花にしがみつくように泣いている夏輝の腕に右手を置き、左手で頭をぽんぽんと撫でた。
どれくらい時間が経っただろうか。
頭が痛い。目が痛い。
夏輝は顔をあげ、「...ごめん」と呟いて綾花から離れた。
綾花は「ううん」と優しく微笑み、夏輝を見た。
夏輝は恥ずかしそうに静かに涙を拭い、鼻を啜っていた。
「ちょっとはすっきりした?」
綾花に言われ、夏輝は「うん、まあ...」と鼻声で答えた。
綾花は微笑み、「まだ甘えたかったら甘えてもいいんだよ?」と言って両手を広げた。
夏輝は真っ赤に充血した目で綾花の方を向き「はっ!?誰がお前に甘えるかよ..!」と言って別の方を向いた。
「さっきまで散々泣いてたくせに〜」
綾花が笑って言うと、夏輝はムスッと表情で「泣いてねーよ!」と言った。
「てかっ...!馴れ馴れしいんだよっ...!クソが...!」
夏輝がそう言い、綾花は「ふはっ子供みたいっ!」と笑い出した。
「てかキャラ変わってない?もっとこう、穏やかじゃなかった?あ〜猫被ってたんでしょっ?」
「は!?うっせーよ勝手に分析すんなっ...!」
夏輝はそう言って涙を拭いたティッシュを綾花に投げた。
綾花は「やば、面白いんだけどっ...!!」とげらげら笑った。
「うっせーなまじで...」
夏輝はそう呟き、笑っている綾花を見て次第に少しだけ微笑んだ。
「...あのさ」
夏輝はそう言うと綾花に向かって正座をした。
綾花は「えっ、あ、はい」と言ってベッドから降り、夏輝の向かい側に自分も正座した。
夏輝は先ほどとは違い、表情を整えて綾花を真っ直ぐ見つめた。
「さっきはごめん」
夏輝はそう言って綾花に頭を下げた。
綾花は「えっ?さっき?なんだっけ..え?」と慌てた様子で夏輝を見た。
夏輝は顔をあげた。
「...無理やり乱暴なことして、ひどいこと言った。本当ごめん。最低だった」
夏輝はそう言って再び綾花に頭を下げた。
綾花は「ああ...もういいよ!全然気にしてないから!」と微笑んだ。
夏輝は顔をあげ「本当に..?」と申し訳なさそうに綾花の顔を見た。
「本当だよ!あ、付き合ってくれるなら許してあげてもーーーー」
綾花がそう言っている途中で、夏輝は「あ、それは無理」と真顔で言った。
「ひどっ」と綾花。
夏輝は少しクスッと笑ってから言った。
「えっと、彼女にはしてあげられないけどー....これからは友達ってことで、どう..?」
夏輝はそう言い、右手を差し出した。
綾花は差し出された右手を見て、いつの日か手を振り払われたことを思い出した。
「...手、握ってもいいの?」
綾花がそう言うと、夏輝は「うん..この前は、振り払ったりしてごめんな」と言った。
「ううん。急に触った私が悪いからいいの」
綾花はそう言うと微笑み、左手で夏輝の手を握った。




