大好き
卒業式が迫り、俺たちは浮かれていた。
俺たちの小学校は住んでいる地域によって中学校が西と東で別れる為、当然同じ施設に住む俺と恭介と実来は同じ中学校だ。
施設で中学校の制服を試着していた時、俺は鏡を見た時、自分がかなり大人になったように思い、嬉しくなったことをよく覚えている。
「なっちゃんと恭ちゃんすごーい!かっこいいね!お兄さんだあーっ!」
低学年の子供たちに囲まれ、そんなことを言われた。
「だろー?俺はもう大人だからな」
夏輝はわざとらしく腕を組んだ。
横で恭介は苦笑した。
「えーでも恭ちゃんの方が背おっきくて大人っぽーいっ」と言われ、夏輝は「なんだとっ!?」と言い、悔しそうに「いいの!背はこれから伸びるし、恭介なんかすぐ追い抜くんだよ!」と言った。
笑いながらそんなことを話していると、廊下から実来が走って来た。
「なっちゃん恭ちゃん!見て見て~!かわいい?」
実来はそう言ってセーラー服のスカートを掴み、2人を見た。
夏輝は頬を赤らめ、恭介はいつものように穏やかな表情で「うん、かわいいね」と言った。
「でしょでしょー!ねえ、なっちゃんは言ってくれないの?」
実来は冗談らしくそう言い夏輝を見た。
夏輝は「は、はあ...?何で俺がそんなこと言わなきゃいけねーんだよっ」と腕を組み、実来から視線を逸らした。
「もーっ!あーあ、恭ちゃんは優しいなあっ。だからなっちゃんは女の子にモテないんだよー?」
実来に言われ、夏輝は「はっ!?うっせ!」と恥ずかしそうに言った。
「でも」
実来はそう言って夏輝を見て微笑んだ。
夏輝が「な、なんだよ?」と実来を見ると、実来は笑顔で言った。
「すっごく似合ってる!かっこいいね!」
実来にそう言われ、夏輝は「え....」と固まった。
実来はクスっと微笑み、「チビだけど!」と笑った。
夏輝は顔を真っ赤に染め、「うるせーよ!」と実来を睨んだ。
「はあ、中学校楽しみだなあっ!これからも3人で仲良くしようねっ!高校も、大学も、会社も、老人ホームも一緒にしようよっ!」
実来はそう言いながら両腕を夏輝と恭介の腕に絡ませて笑った。
恭介は「そうだね」と穏やかに微笑んだ。
「いやっ、さすがにそれは無理だろっ」と夏輝も笑った。
「無理じゃないよ!だって私、2人のこと大好きだもん!」




