俺の何を知ってるの?
言われ、綾花は実来の事件のことが頭を過ぎった。
「私は…相原くんの為なら何でもできるよ。明日ちょっといいなって思ってくれても、明後日やっぱりうざいなって思っても、急に優しくされても、急に冷たくされても、それでいいって思うんだよ…!」
「あ…ごめん…!泣かせたかったわけじゃなくて…!」
夏輝は泣いている綾花の横に行き、慌てて辺りをキョロキョロしてティッシュの箱を差し出した。
綾花はティッシュで涙を拭きながら「だって…!相原くんが酷いこと言うからあっ…!」と言った。
「え、あ、いや、まじでごめん!ごめんって…!泣かないで…!」
夏輝は先程までの真面目な顔はどこへ行ったのか、慌てながら綾花に言った。
綾花は夏輝を見上げ、「じゃ、デートしてくれる?」とケロッとした様子でそう言って涙を拭き取った。
夏輝は「えっ…」と顔を引きつらせた。
「デートは無理だけど、まあ、健斗たちが一緒なら別にいいけど…」
夏輝がそう言うと、綾花は「本当っ?!やったあ〜〜♡♡」と言ってスマホを出した。
「あのねー見て見てっ!行きたいとこがあってねー」
綾花はそう言ってブラウザを開いた。
夏輝が呆れた表情で綾花のスマホを覗いた。
その時、夏輝の表情が一瞬で凍りついた。
綾花が開いていたページは【○○町 百田実来 事件】という検索履歴だった。
綾花は「あっ……」と呟き、夏輝はただ動揺して言葉を失っていた。
「あ、いやこれは違くて…」
綾花が焦った様子で夏輝を見ると、夏輝は怪訝な表情で綾花を見た。
「…どういうこと?何、これ?」
初めて見る夏輝の表情に、綾花は「それは…」と言って沈黙した。
「何でこんなの調べてる?俺の何を知った?」
夏輝がそう言うと、綾花は少し沈黙してから言った。
「…この間、見かけたの。相原くんが、あの雑居ビルに入って行くところ。それで…気になって、屋上に行った」
「は…?」
夏輝は顔をしかめた。
「…花と、供え物のゼリーを見た時、誰かが亡くなったんだって直感で分かった…ビル全体が、時間が止まったみたいだったのに、花だけは綺麗に咲いてたから…」
そう言った綾花の目から一筋、涙が零れた。
夏輝は動揺しながら、綾花を睨みつけるようにただ見つめていた。
「…それで?だから調べたのかよ」
冷たくそう言う夏輝に、綾花は静かに頷いた。
「…詳しいことは分からないけど、相原くんが何か…つらいこと抱えてるんだって思った」
綾花がそう言うと夏輝は溜息をつき、ベッドの上に座って足を組んだ。
「…何も知らないくせに知ったようなこと言うなよ。勝手に人の事詮索しといて、腹立つんだよ」




