明日がくるなら
「てか本当わざわざごめんねー?家の方向逆じゃね?」
夏輝がそう言うと、綾花はすぐに微笑んで言った。
「全然!私が相原くんに会いたくて来たの!」
「そ、そっか…!ありがとう」
困惑した夏輝を見て、綾花は昨日調べたことを思い出して涙が溢れそうになった。
つらいのは私じゃない。
相原くんなのに。
大事な人がもうこの世にいない、そんな相原くんの気持ちを考えたら……
「ん、どうした?」
夏輝は不思議そうに綾花を見た。
「えっ?!いや!何も!じゃあさじゃあさっ!お礼に1日デートして♡♡」
綾花はそう言ってニコニコ夏輝を見た。
言うと、夏輝はいつもの笑顔でも、ぼんやりした顔でもなく、どこか困惑したような、気まずそうな表情で言った。
「あ、あのさ羽住さん」
「ん??♡」
「こんなこと言うの…ちょっと自意識過剰みたいでキモイと思うんだけどさ…」
「うん?何言ってても相原くんはかっこいいよー?」
「あ、うん、それはありがとう!ありがとうなんだけどっ…!!」
夏輝はそう言うと咳払いをして、再び綾花を見た。
「…俺、いま本当に誰とも付き合う気とかなくて。変に期待させるようなこともしたくないし、2人で出掛けたりはできない。ごめん」
夏輝はそう言って綾花に軽く頭を下げた。
言われ、綾花は少し動揺したように目を見開き、すぐに笑った。
「や、やだな…!まだ告白もしてないのに振らないでよっ」
綾花が苦笑すると、夏輝は申し訳なさそうに苦笑した。
「そうだな…ごめん。俺は羽住さんのこと嫌ってるわけじゃないし、可愛いと思うし、いい子だとも思う。でも…それだけ。それ以上の気持ちはないし、これからもそれ以上の気持ちを持つことはないと思う。だから俺に費やす時間、めちゃくちゃ勿体ないと思うから…分かって」
夏輝に言われ、綾花は「…嫌だ」と呟き、顔を上げた。
「嫌だ。私の時間をどう使おうと私の勝手だよ?それに、今日はそう思ってないかも知れないけど、明日のことも、明後日ことも分からないんだよ…?」
少し泣きそうな綾花を見て、夏輝は淡々と続けた。
「…不確定な未来なんか、俺は信じられないから。明日が来るかも分からないのに、明日の自分になんか委ねたくない」




