なに...ここ?
【ごめんね、今日は用事があるからまた今度!】
夏輝からのメッセージを見つめ、綾花は口を尖らせた。
すると、一緒にいた女子たちに「なに綾花、また相原くんに振られた?」と言われた。
「そーなの。優しくはしてくれるんだけどなあ~」
綾花は不服そうに呟いた。
「懲りないね本当。脈ナシってことじゃん?」
「今は脈ナシでもこれからだもーん。絶対相原くんと付き合ってやる~」と綾花。
「時間の無駄だって。なんか中学の時エリとかも相原くんにちょっかいかけてたけどまっじで難攻不落だったってよ~。好きな人でもいるんじゃないのー?てか遠距離してる彼女とか??」
「えーそういう感じでもないんだよね~~。掴みどころないって言うか、あんま教えてくれないって言うか?ま、そこもまた気になる要素なんだけど♡」
「綾花って本当能天気だね~~。諦めなよっ」
「絶対嫌だっ。あ、下駄箱行ったら相原くんに会えるかもだしそろそろ帰るね!また明日っ!」
綾花はそう言いながらリュックを背負い、そそくさと教室を後にした。
綾花が下駄箱に行くと、夏輝の姿は既になかった。
綾花は口を尖らせ、とぼとぼと歩きながら学校を出た。
『暇だし本屋さんでも寄って帰ろーっと』と思いながら綾花がいつもとは違う方向へ歩き出すと、反対側の歩道で自販機の前にいる夏輝を見つけた。
綾花はぱあっと明るい表情になり「相原くーー」と言ってから『やばい、今日用事あるって断られてたんだった…!普通に声かけるとこだった…』と思いすぐに腕を下ろした。
『でも…本当に彼女とかじゃないよね?ちょっと見るくらいならいいよね…?本屋さん行きたいだけだし…?』
綾花はそう思いながら、夏輝に見つからないように夏輝の後を尾けた。
夏輝は手に持っていた缶をリュックに入れ、そのまま歩き出した。
綾花もそれに続く。
駅を通り過ぎ、反対側に来た。
『どこ行くんだろう…彼女の家だったりしないよね〜〜〜〜……?!』と思いながら綾花はどんどん街中から離れていく夏輝の後を追った。
そしてしばらく歩いた時、綾花は不思議そうに「…なに、ここ…?」と呟いた。
そこは、蔦が張り付いている廃墟とか化した雑居ビルだった。
そのビルはもう随分前から廃れているのか、所々窓ガラスが割れていて、埃まみれだった。
《立入禁止》の文字の横をくぐって中へ入って行く夏輝の背中を見て、綾花は首を傾げた。
夏輝が中へ入って行ってからしばらくして、綾花は中を覗きに行った。
真っ暗で、不気味な雰囲気。
綾花はスマホのライトをつけ、辺りを照らした。
『相原くんはここで何してるんだろう…?上に上って行ったよね?まさか…麻薬売買とか、そういう犯罪系…?!』
綾花はそんなことを思いながら階段の上を照らした。
階段には足跡がついているものの、どれも同じようなサイズのものばかりで、殆ど埃がないようにも見えた。
『…もしかして、何回も来てるのかな』
そう思いながら、綾花はゆっくりと階段に足を乗せた。
軋む音がしてビクッとなり、すぐに走ってビルを出た。
『だめだ…1人で行くのは怖いよお…下で待ってよ…』
結局、綾花はビルが見える道路の縁石に座り、夏輝が出てきたのは19時を過ぎた頃だった。
それから夏輝は普通に家に向かって歩き出し、そのまま家に帰って行った。
綾花は夏輝が家に帰って行ったのを見るなり、不思議そうに1人で首を傾げた。




