再会
その日塚本は実来が飛び降りた、あの雑居ビルの屋上に来ていた。
ゼリーのかかった花束や転がった空き缶を見て、「酷いことするなこりゃ…」と呟いた。
同日の夜、夏輝と恭介は雑居ビルの屋上に来ていた。
夏輝は以前自分が持ってきたマリーゴールドを見て、またその横にゼリー缶を置いた。
そんな夏輝を見ながら、恭介は綺麗に束ねられた汚れていないマリーゴールドを見て、ふと辺りを見渡した。
「どうした?」
夏輝が振り返ると、恭介は「ううん」と微笑み自分もゼリー缶を置いた。
2人が床に腰を下ろすと、「ここは立入禁止だぞー」と後ろから声が聞こえ夏輝はビクッとして振り返り、恭介は静かに振り返った。
そこには塚本が立っていた。
「塚本さん、何でここに?」
夏輝は驚いた顔で塚本を見て立ち上がった。
恭介は静かに立ち上がって塚本を見る。
塚本は手に持っていた『ふるふるゼリー』をマリーゴールドの横に置いた。
「これ、どうせお前らだろ?」
塚本に言われ、夏輝と恭介は顔を見合せて、夏輝が「まあ、はい」と呟いて頷いた。
塚本は「だと思ったよ」と微笑み、恭介を見た。
「久しぶりだな、恭介」
塚本が言うと、恭介は「ご無沙汰してます」と微笑んだ。
「元気だったか?」
塚本が言うと、恭介は「はい。お陰様で何とか」と微笑んだ。
恭介の言葉を聞くなり、塚本は夏輝を見て笑った。
「夏輝とはえらい違いだなこりゃ。恭介は5年前も落ち着いてて、礼儀正しかった。5年ぶりの反応までこうも差があるとは....」
「うっせーよ....」と夏輝。
恭介は微笑みながら「急にどうされたんですか?」と塚本を見た。
「恭介に会いに来たんだよ。昼間ここに来てみて、お前らが定期的にここに来てるんじゃないかなーって思ってビルの前で張ってたら案の定だ。分かりやすい奴らめ」
「僕に?」と恭介。
「そうそう。この間は夏輝に会って、クソとか頼らないとか、そりゃもう散々なこと言われてさあ。優しい恭介に慰めて欲しくなったよ。昔からだけどー、夏輝より男前だなあ?」
塚本がそう言い、夏輝は気まずそうに目を泳がせた。
「ふは、なっちゃんらしいですね」と恭介は微笑んだ。
「..恭介はどうだ。色々、整理できたか?」と塚本。
「....どうなんでしょうね。俺もなっちゃんと同じで、実来ちゃんのことはいつも頭にありますよ。まだ諦めてないし、諦めるつもりもありません。だから、整理できたかと言われたら、できてないって答えるのが正しいかも知れないですね」
恭介は苦笑した。
「...そっか。でも、俺は嬉しいよ。お前らがまた一緒にいて。あの頃お前ら、実来ちゃんと3人でずっと一緒にいたんだろ。実来ちゃんも、お前らが一緒にいること望んでると思うしな」
塚本はそう言って景色に目をやった。




